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私らしく生きる。 自立した女性ヒロインが活躍する映画9選。ライター・志村昌美さんがセレクト!

LEARN 2021.06.05

自分だけが頑張っても「私らしく生きる」のは難しいということ、隣のあの子は敵じゃないということ、そろそろみんな気が付いている。みんなが生きやすい未来を作るために何ができるんだろう。今回はライターの志村昌美さんに、自立したヒロインを描く映画を紹介してもらいました。5月28日(金)発売 Hanako1197号「気持ちいい生活の選びかた。」よりお届け。

1.『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』フェアであることを求めて戦うことの大切さ

同性婚が認められなかった時代に、とあるカップルが遺族年金の権利を巡って制度に立ち向かう姿を描いた実話ドラマ。「主演のエリオット・ペイジは本作の参加を機に同性愛者だとカミングアウトし、その後トランスジェンダーであることを公表し改名。そういう彼の生き様も含めて、気づきや学びの多い作品です」(DVD4,180円、デジタル配信中/発売・販売元:松竹)

2.『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』ルールに囚われがちな私たちの心に響く作品

NYのカルチャーシーンに影響を与え続けるアイリス・アプフェルのドキュメンタリー。「この作品は名言だらけなのですが、私が好きなのは“ルールがあっても破るだけ”という言葉。いくつになってもカラフルな服をまとい、心から人生を楽しんでいる彼女を見ていると、年を重ねるのが怖くなくなります」(DVD 5,170円/発売・販売元:KADOKAWA)

3.『あなたの名前を呼べたなら』タブーとされている、階級を超えた恋愛の話

インド出身の女性監督ロヘナ・ゲラの長編デビュー作。ファッションデザイナーを夢見ながらメイドとして働く主人公と、彼女が尽くす御曹司の関係性が少しずつ変わっていき……。「幼い頃から階級差別を目の当たりにしてきた監督の思いのこもった作品。今なお格差や古い慣習に苦しむ女性がいることを学べるだけでなく、純粋にラブストーリーとしても楽しめます」

4.『ビリーブ 未来への大逆転』性差別撤廃に貢献した、実在する女性の物語

女性弁護士のルース・ベイダー・ギンズバーグが史上初の男女平等裁判に挑む姿を描いた実話ドラマ。「女性が家庭に入るのが当たり前だった時代に、仕事と結婚・子育てを両立した彼女の生き様がすばらしい。この映画に感銘を受けたら、ドキュメンタリー『RBG 最強の85才』もぜひチェックを」(Blu-ray 2,200円、DVD 1,257円/発売・販売元:ギャガ)

5.『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』13歳の主人公のピュアな言葉が心に響く

©2018 A24 DISTRIBUTION, LLC
©2018 A24 DISTRIBUTION, LLC

“クラスで最も無口な子”に選ばれてしまうほど内気な女の子が、不器用な自分を変えて憧れのクラスメイトたちに近づこうと奮闘する様子を描く。「ティーンが主人公の映画ですが、人間関係での葛藤や孤独など、大人が見ても共感できる点がたくさん。思春期の揺れるアイデンティティをどう確立していくか、見ているうちに一緒に思考を巡らせることができます」

6.『ドリーム』理不尽な境遇でも努力し続けた3人の女性

Photofest/アフロ
Photofest/アフロ

1960年代に活躍した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を陰で支えた、NASAで働く3人の黒人女性スタッフの知られざる物語を映画化。「人種と性別、2つの差別に苦しむ女性たちが夢に向かって奮闘する姿を描いた作品です。“前例がなければ自分が前例になればいい”という彼女たちの考え方に勇気をもらえます」(Blu-ray発売中、デジタル配信中)

7.『幸福路のチー』主人公と一緒に、自分の人生について考える

台北近郊に実在する「幸福路」を舞台に、祖母の死をきっかけにアメリカから帰郷した女性が幼少期の思い出を振り返りながら自分を見つめ直す様子をとらえたアニメーション映画。「主人公が自分らしさを取り戻す姿を見つつ、台湾の歴史や社会情勢についても学べる作品。アニメだとより気軽に見られると思うので、自分の幸せを見つめ直すいい機会になるはずです」

8.『5月の花嫁学校』女性が解放されていく姿をユーモラスに描く

『5月の花嫁学校』

1967年のフランス。女性解放運動が強まり、完璧な主婦を育てる修業は時代遅れとされる中、若い女性のための家政学校の校長が起こした変革とは!?「自由と平等を手にした女性たちが変化する様は必見。新しい良き妻の鉄則と女性の権利向上に尽力した女性たちの名前を挙げるシーンも注目です」(ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開)

9.『37セカンズ』自分らしく生きようともがく姿が心を打つ

『37セカンズ』

出生時に37秒間呼吸ができなかったために足が不自由になってしまった女性が、ある出会いをきっかけに自らの殻を破って成長していく様子を追う。「障がいがあろうとなかろうと、女性が抱える葛藤はみんな同じなんだなと実感した作品。HIKARI監督は日本人女性監督としてこれから世界で広く活躍していく方だと思うので、そのあたりにも注目してもらいたいです」

時代の変化に伴い、自立したヒロインが求められるように。

女性ヒーローである『ワンダーウーマン』や『キャプテン・マーベル』をはじめ、それまで主人公の男性を引き立てる存在だった女性たちがパワフルに活躍する姿が目に入るようになってきた今。「現代が舞台の作品はもちろん、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のように古典がベースの作品でも女性の描き方に変化が感じられます」と志村昌美さんは話す。

とはいえ、まだまだ平等だとはいえないのが現実だ。「クロエ・ジャオ監督がアジア系女性初のアカデミー賞監督賞を受賞したりと、業界が変わりつつあるのを感じるので、今後ますます女性のパワーが強くなっていくことを信じています」

Selector…志村昌美(しむら・まさみ)

志村昌美(しむら・まさみ)さん

映画宣伝会社で作品の宣伝業務を経験した後、ライターに転向。監督や俳優のインタビュー、映画評などを中心に雑誌やWebで執筆活動を行う。

(Hanako1197号掲載/illustration : naohiga photo : MEGUMI, Yoshiki Okamoto, Keiko Nakajima text : Yuko Tanaka, Koharu Ishizuka, Momoka Oba, Rio Hirai, Mariko Uramoto, Makoto Tozuka, Ayako Nozawa edit : Rio Hirai(FIUME Inc.))

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