東日本大震災の発生から10年。 台湾への感謝と友情がテーマ 「日台友情Always Here 311十周年東北友情特展」がエンディングへ。日本から台湾へ、“ありがとう”を届けたい。

LEARN 2021.03.20

東日本大震災時は250億円にも上る支援金やメッセージ、コロナの時はマスクの応援と、いつも日本を支えてくれる台湾。そんな台湾の友情へのお礼を込めて、台湾での日本の窓口が主催し、Hanako編集部がプロデュースした展示「日台友情Always Here 311十周年東北友情特展」(会場〈華山1914〉)が3月21日に幕を閉じる。その評判がSNSを通じて、いま華山は日本と台湾の交流の場となっている。

日本から台湾への感謝ができるだけ多くの台湾の方々に届くように!

日台友情Always Here 311十周年東北友情特展

会場では写真家による震災時の写真、復興へと進む東北の様子を伝えるほか、雑誌『Hanako』の防災特集や防災グッズも展示。日本と同じく地震が多い台湾に防災の必要性を訴えた。そのほか、日本で活躍する料理家、プロデューサーが愛用する台湾グッズなどもディスプレイし、外からみた台湾の魅力もお届けしている。オープン当初から、来場者によるSNSでの書き込みなどで、連日多くの方々が訪れてり、日本からのメッセージが少しずつ台湾へ届いているように見える。会場のスタッフは「みなさん30分以上は会場にいらっしゃいます。中には展示の文章をじっくり読んで3時間いらした方もいます。ありがたいです」と話す。来場者の年齢層も広く、防災グッズに見入ったり、自宅にもあるお馴染みのキッチン用具を見つめたりする親子の姿も。

日本で活躍する料理家やスタイリストらによる、「日本の暮らしで活躍する台湾グッズ」の展示。
日本で活躍する料理家やスタイリストらによる、「日本の暮らしで活躍する台湾グッズ」の展示。

展示に協力いただいたディレクターの福田春美さんは「あの年の4月、毎週末、車を5時間運転して、被災地の小さな避難所などを中心に炊き出しに出たことを鮮明に覚えています」と当時を振り返る。福田さん愛用のお茶の道具はキッチンで撮影された写真と共に実物も並べられている。本誌で連載をしている料理人の野村友里さんは、かつて本誌の取材で台湾を訪れた時に出会った電気鍋を展示。今では朝食などでも調理する電気鍋のヘビーユーザだ。

本誌の記事を中国訳し、日本の防災グッズも並べた。
本誌の記事を中国訳し、日本の防災グッズも並べた。

東北からの感謝メッセージを収めた動画に、応えてくださった台湾。

日台友情Always Here 311十周年東北友情特展

中でも多くの方々が足を止めるのが動画上映のコーナー。津波で残った品々をディスプレイし、その前で東北からのメッセージがモニターで投影される。東北の方々から台湾への感謝の言葉が8分にわたって編集された動画だ。撮影した写真家の木寺紀雄さんは「震災当時、ニュースで台湾からの支援の大きさは知っていたが、東北に取材に行って初めてその大きさがわかった。この事実をもっと多くの日本人に知ってほしい」と話す。

動画には津波で流されながらも、台湾からの義捐金を活かし再建した南三陸病院や、4億円もの台湾からの支援金を3日間で被災者に手渡す調整をした宮城県気仙沼市の担当者らが登場する。中でも陸前高田市の発酵をテーマにした商業施設〈CAMOCY〉の河野通洋・八木澤商店社長の「寄付金も嬉しかったが、被災者の心に寄り添ってくださった台湾が忘れられない」との言葉が多くの共感を呼んでいる。

日本で発売された台湾特集も展示。
日本で発売された台湾特集も展示。

台湾とのキャッチボールができて、実現できた「日本からの感謝」。

コロナ禍の中、この展示は日本で構成した内容を台湾で具体化するというキャッチボールの上にようやく完成した。平面の展示デザインは日本のデザイナー高橋了さんが担当。その後、台湾の設営会社が動線や装飾などの具体的な形に落とし込んでいくプロセスを経ている。そして、展示には日本のクリエーターに加えて、台湾のクリエーターも参加している。特に「日本と台湾の10年の友好のプロセス」は台湾のクリエーターが執筆し、展示コンテンツに厚みを加えた。日本からの一方通行的な発信ではない、台湾クリエーターたちの力がなくては実現できなかった。今後、日本と台湾の心の距離がさらに近くなるようにと願う。

「日台友情Always Here 311十周年東北友情特展」
■〜3月21日(日)
■華山1914文化創意産業園区 中7B

(photo:Jimmy yang)

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