アートから漫画作品まで! 引き込まれるメディア作品を堪能。 お台場〈日本科学未来館〉で「第23回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」開催。
秋らしい日が増えてきた今日この頃。さまざまなクリエーションに目を向けたり、体験してみたりしてみませんか? お台場にある〈日本科学未来館〉で9月27日まで開催されている「第23回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」を訪ねましたので、受賞作品を中心にご紹介します。
お台場〈日本科学未来館〉の会場でたっぷり体験するメディア芸術。
アートの他にも漫画やアニメ、テレビ番組に至るまで身近なメディア作品も対象としている「文化庁メディア芸術祭」。「第23回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4つの部門を中心に入賞作品が展示されていて、多くの優れた作品を楽しく体験することもできる貴重な機会です。
会場の〈日本科学未来館〉にある「ジオ・コスモス」で見られるのは、今回新設されたフェスティバル・プラットフォーム賞を受賞したYouYouYouによる『球小説』。大きな球体のディスプレイ「ジオ・コスモス」に9編の小説が映し出される作品です。同時に映し出される9つの小説はどれも花火大会の日が舞台。回廊を歩きながらゆっくり作品の世界に想いを馳せたくなります。
アート部門で大賞を受賞したのは、アダム・W・ブラウンさんの『[ir]reverent: Miracles on Demand』。装置にパンが入っていて、そのパンが「出血」しているかのように見える作品です。ありえない「出血」というと古い教会に言い伝えられた「奇跡」を思い起こさせますが、この作品の「出血」は微生物によるものだそう。
佐藤雅彦さんら4人による『Shadows as Athletes』は、エンターテインメント部門で大賞を受賞した作品です。フェンシングや新体操を行うアスリートの影を中心に撮影されていて、アスリートの姿よりもその影が映し出されることでアスリートのひたむきな姿がより強く感じられます。
アニメーション部門では、新海誠さんのアニメ映画『天気の子』が社会にインパクトを与えた作品としてソーシャル・インパクト賞を受賞しています。そのほかアニメ部門、エンターテインメント部門の受賞作品は上映会があるので、気になる作品はチェックを。事前予約が必要な上映作品やワークショップもあるので、訪れる前に公式サイトで確認してみてくださいね。
マンガ部門の展示室では、大賞に島田虎之介さんの『ロボ・サピエンス前史』、ソーシャル・インパクト賞に真鍋昌平さんの『闇金ウシジマくん』、優秀賞に安野モヨコさんの『鼻下長紳士回顧録』と人気作品の原画や貴重な資料も展示されています。試し読みができる仕掛けもあるので、漫画ファンでなくても改めて興味が湧いてきそうです。
不自由さも楽しさの要素に。メディア芸術らしい仕掛けも体験できる。
エンターテインメント部門の受賞作品には体験型の作品も。新人賞を受賞した『トントンボイス相撲』は子どものころに遊んだ紙相撲を声で戦います。トントンと指で叩く代わりに、「トントントン」とマイクの前で声を出すと土俵の上で力士が動く仕組みです。リハビリを目的として開発されたというこのゲームですが、ダイバーシティスポーツとして海外でも人気だとか。
同じくエンターテインメント部門で新人賞を受賞した『Buddience 仏像の顔貌を科学する』は奈良大学の学生によるもの。感情認識AIが、自分の顔写真が奈良にあるどの仏像に近いかを判断して教えてくれるというユニークな作品です。会場以外にも奈良大学のホームページに同じ仕組みが用意されているので、家族や友人と一緒に試すと静かに盛り上がるかもしれません。
会場には「マンガタッチレス閲覧コーナー」も準備されています。ディスプレイに表示された漫画は、画面には触れずに、バーの上で手を動かすとページが進む仕組みです。すぐに上手にめくれるようになりますよ。
さらに外出に気を遣う今の試みとして「第23回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」の特設サイトで、受賞者のトークイベントや会場を360度VRカメラで撮影したVRツアーの閲覧も可能です。
”時代(いま)を映す”表現が集結した「第23回文化庁メディア芸術祭作品展」。作品を体感することで、影響し合う時代と文化の流れを感じてみてはいかがでしょうか?