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娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第十三夜2本目/親娘ともども“しみるお酒”とお気に入り「PET 酔鯨 特別純米」~

LEARN 2020.06.07

弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 最新のペットボトル日本酒を紹介する第十三夜、2本目は高知を代表する人気のあの銘柄!
(photo:Tetsuya Ito,Minami Murata , Ding Ding illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第十三夜2本目は、容器は変わっても味は変わらず「PET 酔鯨 特別純米」。

娘・ひいな(以下、ひいな)「ペットボトルの日本酒2本目は『酔鯨』だよ」
父・徹也(以下、テツヤ)「知ってる、知ってる。『酔鯨』って有名なお酒だよな」
ひいな「そうなの。有名な蔵のお酒がペットボトルになってるんだよ!」
テツヤ「全部、同じかたちなんだね」
ひいな「そう、全部同じ。『この容器のまま電子レンジ等でお燗しないでください』って注意書きが書いてあるね(笑)」
テツヤ「この、横着もの(笑)!」
ひいな「ちなみに、〈はせがわ酒店〉から出てるペットボトル酒4本のうち、今回3本紹介するんだけど、紹介できなかったもうひとつの蔵はいつか紹介したい蔵だから後回しにしました!」
テツヤ「また今度ってことで。高知の酒といえば『酔鯨』のイメージあるな」

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ひいな「高知のお酒って辛口のイメージがあるのね」
テツヤ「うん、俺も勝手なイメージだけど、甘口のイメージは全くないよね」
ひいな「ないよね、やっぱり。カツオとか魚に合うお酒が多いのかな」
テツヤ「もしかしたら高知ってさ、醤油も甘めなんじゃない? カツオのたれって甘くない?」
ひいな「そうだっけ?」
テツヤ「食べ物と合わせるから、甘くないお酒のほうがいいのかもしれないよね。俺のあくまでも勝手な予想だけど(笑)」
ひいな「(笑)」
テツヤ「このペットボトルのパッケージいいね。北斎とかさ、浮世絵感あるよ」
ひいな「オーソドックスな渋さでまとまってていい感じ」

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テツヤ「これだけで、きっと海産物が獲れるところのお酒なんだろうな、って感じがするね」
ひいな「そうだね」
テツヤ「これでいくら?」
ひいな「1210円」
テツヤ「え〜〜〜〜〜! お買い得! 安いねぇ」
ひいな「容器代と輸送代が節約できるのかな」
テツヤ「ペットボトルでコストダウンってことか」
ひいな「普通のペットボトルよりも蓋が少し固めだから開けにくいんだけどね」
テツヤ「俺が開けるから、任せなさいよ」
ひいな「じゃ、飲もう〜!」

ひいな「おいしい!」
テツヤ「うまい!」
ひいな「しみるお酒っていう感じしない?」
テツヤ「うん、しみるね。これ、きっと燗もいいんだろうな」
ひいな「うん、燗もおいしいと思う。この酒はね、ボリュームのある旨みとキレのいい味わいで、余分な香りがないぶん、少しの酸で後味を切ってるけど、後味に重心が乗ってる感じ。『酔鯨』ってどれを飲んでも間違いないんだよね」
テツヤ「これは純米酒?」
ひいな「うん、特別純米酒。『酔鯨』を飲みたくなる時って、割とさっぱりしたとか、キレがいいとか、そういうのを求めてる時な気がするんだよね」
テツヤ「なるほどね。で、このお酒には何を合わせるんだろう?」
ひいな「おつまみ持ってくるね!」

「PET 酔鯨 特別純米」に合わせるおつみは「ザーサイときゅうりの和えもの」。

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ひいな「今回はいたってシンプルなおつまみだよ。ザーサイを汁ごとボウルに入れて、細く切ったきゅうりと和えて、ごま油をちょっとだけ垂らして、最後に白ネギをのっけただけ」
テツヤ「まずいわけないじゃん! ザーサイは桃屋?」
ひいな「そう」
テツヤ「絶対うまいだろ!」

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ひいな「それはよかった(笑)」
テツヤ「このお皿は笠間の作家・近藤文さんのお皿だね」
ひいな「色合いが素敵だよね」

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テツヤ「いただきます!」
ひいな「どうぞ!」
テツヤ「あぁ、間違いないうまさだわ」
ひいな「よかった! この料理はね、すっごく悩んだの。まぐろをわさび醤油でとか絶対合うおつまみから、いろいろ試してみたわけですよ。まずね、香ばしいのものが合わなくて。次はお酢と合わせてみたらどうだろう?と思ったらお酒が苦くなっちゃったの。今度はカマンベールと合わせてみたらカマンベールの白カビが勝ったんだよね。で、いろいろ合わせた結果、ザーサイが合うということになりました!」
テツヤ「桃屋のザーサイがあれば、簡単にできちゃうね」
ひいな「そう!」
テツヤ「前回のやきとり缶といい、手軽だね」
ひいな「パパッとできるのがいいでしょ?」
テツヤ「この組み合わせ、間違いないです!」
ひいな「よかったです!」
テツヤ「桃屋のザーサイがここまで上品に生まれ変わるんだねぇ」

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ひいな「ペットボトルのお酒に合わせる時って、割と手軽なシチューエーションが多いかなと思って。缶を開けてそのまま食べたりとか」
テツヤ「これくらいの気軽さでつまんで飲みたいね」
ひいな「ちなみにね、高知って温暖な場所なの」
テツヤ「黒潮だもんな」
ひいな「そうそう。だから高知は酒造りには向いてないんだって」
テツヤ「なるほどね」
ひいな「けど、私の大好きな『南』とか『酔鯨』とか第二夜でも紹介した『土佐しらぎく』とか、高知にはいろいろなお酒が流通してるのは、それぞれ蔵の工夫があるからなの。この『酔鯨』を造ってる〈酔鯨酒造〉は少量仕込みと麹づくりの2点を重点的に管理して行ってるんだって。少量仕込みっていうのは温度管理がしやすいのと、しっかりした麹づくりっていうのは米を溶かす力とか発酵のバランスを取りつつ、高知の温暖な気候に負けないような酒造りを心がけてるんだって」
テツヤ「なるほどなぁ」
ひいな「食中酒として、料理も酒もともにおいしく、食事をよりおいしく楽しくするのに一役買うお酒が土佐の基本なんだって」
テツヤ「だから高知はうまいもんばっかなんだな」

高知の日本酒♡な娘・ひいなは、坂本龍馬がきっかけで高知LOVERに。

テツヤ「高知の人ってさ、なんであんなに酒飲みなんだろうね」
ひいな「ね」
テツヤ「四国の中でも酒飲み県のイメージはやっぱり高知だな。血の気が一番多い感じ」
ひいな「九州に近いイメージあるよね」
テツヤ「漁師が多いからかな」
ひいな「カツオも獲れるし」
テツヤ「カメラマンになりたての頃、四国出張があって、徳島に入ってから高知に行くはずだったんだけど、徳島空港に入ったら大雨で行けなくてさ。今でこそ、道はいっぱいあるんだけど、その頃1本しかなくて」
ひいな「高知に行く道が?」
テツヤ「四国ってさ、左右上下に走る交通の便がなくて、高知に行くのに香川行って愛媛行って、ぐるっーと回ったんだよ。でもさ、その不便さがあるからこそ、独自の文化がそれぞれ残ってるんだなって思ったんだよね。どこもさ、日本の突端みたいな、岬みたいな感じだなって」
ひいな「なるほどね。小学生の頃さ、広島から愛媛に行ったじゃない?」
テツヤ「尾道から行ったね」
ひいな「家族4人でしまなみ街道を自転車で渡って。その前の年には父と2人で同じルートを走って」
テツヤ「家族みんなで直島まで行ったのに、アート作品そっちのけで海水浴をしたな(笑)」
ひいな「黄色いカボチャはちらっと見たよね」
テツヤ「みんなアート目当てだから海水浴する人いなくて、海ガラガラだったもんな」

思い出話に花が咲く。
思い出話に花が咲く。

ひいな「うん、ガラガラだった。中学2年の時は、学校を休んでおばあちゃんと坂本龍馬の兄弟の墓に行ったくらい高知が大好きで」
テツヤ「兄弟の墓(笑)。ひいなは坂本龍馬が好きなんだよな」
ひいな「坂本龍馬の墓はね、京都にあるの」
テツヤ「京都なの? 高知じゃないんだ」
ひいな「京都の〈霊山歴史館〉から歩いて15分くらいのところにあるよ。三菱の創設者の岩崎弥太郎と龍馬って土佐の友達で、実家に行ったりしてたのね」
テツヤ「幕末の話をしだしたら止まらない(笑)。そういえば、『暮らしの手帖』のほら、編集長やってた人、誰だっけ?」
ひいな「誰だろう?(ライター注:松浦弥太郎さんです。弥太郎違い)。21歳の時は徳島に車の合宿免許取りに行ったしね。やっぱり思い出がいろいろあるからかな。四国への思い入れが強くて」
テツヤ「高知に初めて行った時はまだお酒飲めなかったんだもんな」
ひいな「そう。それ以来、高知に行けてないから大人になった今一番、高知に行きたいの!」
テツヤ「コロナが落ち着いて、早く行けるようになってほしいねぇ」
ひいな「高知は紹介したい酒蔵がいっぱいあるから、お楽しみに!!」

→次回:6月14 日(日)更新予定

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【ひいなのつぶやき】
手軽な容器で、かつ味わい深い「酔鯨」のおいしさにつられ、つい思い出話が弾んでしまいました!晩酌にもってこい!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

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