花井悠希の朝パン日誌 あなたに逢いたくて…〈KANEL BREAD〉Again!
〈KANEL BREAD〉さんの記事を書いたのはついこの前なのに、やってしまいました。己の欲望に抗えませんでした。〈KANEL BREAD〉さん、アゲインでございます。全国のパン屋さんが自粛期間に合わせてお取り寄せ販売を始めてくれていることは前回にも触れましたが、〈KANEL BREAD〉さんも然り。そしてオンラインショップに飛んでみたらそのラインナップが魅力的すぎたのです。一人一人の好みや生活スタイル(パンスタイルとも呼べますね)、気分に合わせて選べる自由さに加えて、おまかせセットからパン職人さんレコメンドの特別セット、関係の深いお店とのコラボセットまでとっても幅広い!オンラインショップを覗く度についつい隅々まで見てしまいます。これは不可抗力ということで…お許しを!
どーーーーん!と大きな円盤、参上!こんなUFOなら仲良く出来そうです(本当か?)。ピザのように、包丁でザクザク切り分けていくスタイルも、おうちではなかなか味わえないトキメキではありませんか?クリスピーな薄皮、そこに重なるパリンと焼けたチーズはパイのようにカリッサクッとしています。
空気をたっぷり蓄えた生地は噛み付くとしゅわんと沈み、ふわふわとお返事。チーズが大きく伸びをしてコクと油脂をじゅわじゅわと、生地を介してこちらにやって来ると、もうそこはイタリアです(フォカッチャだから?)。
しつこいと言われても、もう一度。より細かくディテールを綴ったラブレターは前回の〈KANEL BREAD〉さんの記事
を参照ください。
そうそうこれなのよ。トーストすると表面も皮もワイルドにバリンと割れて、すかさずじゅわりと溶ける絹のように滑らかな口当たりがやってくる。湯種ならではの少しぬっとした引きがあるのも、待ってました!トーストした時のこのワイルドな大らかさと内側のおくるみのような柔らかさのコントラストに惚れ惚れするのです。これは大口あけてガブリといっていただきたい。ワイルドに頬張る方が、小麦が焼けた香ばしさがダイレクトに鼻と口にアプローチするし、その後の控えめな甘みとしとっとお淑やかな食感にハッとすること間違いなしです。
一斤で届くからアレンジも楽しみ。チーズトーストにしたら、ふわんふわんの食パンと、とろけたチーズのテクスチャーがリンクして、チーズの旨みと生地の小麦がほよんほよんに膨らみ高まって最高でありました。生地の甘みが強くないから甘くもしょっぱくもいけるのだ。お店のイートインではフレンチトーストも頂けるので、きっとおうちでも美味しく作れるはず(←ものぐさな私はやってない…)。個性があるのに柔軟性の高い食パンなのです。大好き!
これはおやつだ!!きび砂糖の優しい角のない甘みがカスタードからだけではなく、パン生地からも。皮が薄いこともあり、さくっと歯切れよくもふやふやな口当たりの生地。「さくっ」と「ふやふや」って真逆な感じもしますが、一瞬にしてどっちもやって来るのでお見逃しなく。
加えて、お菓子テイストな甘やかなバターの香りがたっぷりでぷりっとした弾力も。中のクリームとはむっと頬張ればシュークリームのようなデザート感が胸を満たします。ミルクティベージュのような茶色がかったベージュのクリーム。こういう色のクリームは裏切らないと教わってきたのは(誰にだ)やはり間違っていなかった。喉を通り落ちるその時まで、イガイガすることもなくまったり風情で、至って自然に温もりを届けてくれます。
出来るだけ届いた日に食べるのがオススメ。冷蔵便で届いてからしばらく室温に戻しておくとパンがふかふか且つしっとりします。粒立ちが生き生きした餡子を邪魔することは絶対しないと決意を感じるじんわり甘い生地。室温に置いて柔らかくなったバターは、コク深いのは勿論のこと、いくらでもこちらの言うことを聞いてくれるような安心感があって、パンだけ最後に置いてけぼりにならないように同じ速度で一緒に溶けてくれます。餡子とバターとパン、こんなに等しく美味しい三権分立がありますか。餡子ずっしりで、パンの密度も高めなので一つで満足感がありますよ。
右から「塩バターパン」、「シュガードーナツ」。
どこかな?塩バター!って探しかけていたけれど、全部でした。ふかふかの生地には至る所にバターの影がじゅわじゅわと。さらに底には溶けたバターが溜まっているようで(イメージのせいかもしれないけれど)なおさらジューシーです。表面に塗られた?塩気が一口、また一口と食べ進める間ずっと横にいて、生地の素朴な甘みを引き立て続けています。焼かれてその姿は透明人間のように見えなくなってしまっているけれどこれぞナイスバディです!
ふかふかドーナツは厚みも十分。食べ応えもあります。なんだか懐かしい気持ちにさせられるふかふかさと、んぐっとくる生地の密度が共存していて、でも口どけは滑らか。というより、んぐってくるのはゆっくりとした速度でまったりと溶ける生地よりも先に、自分がどんどん口に運んじゃうからですよね(子供か)。表面のシュガーはパリッと層のように固まっているから、ほんのちょっとレンジでチンしてから(20秒)トースターでリベイク(1分半)しましたが砂糖は溶けません。温めてもシャリシャリといてくれて、そこからもふもふ、ふかふかのケーキ生地へダイブ!舌に心地よい砂糖らしい口溶けとストレートな甘さに、素朴な顔をして奥の方から満ち溢れてくる生地の甘みと。
そうだこの黄色い生地感、ホットケーキにも近いからホッとするんですね。口の周りの砂糖も忘れて童心に返ったような顔をして頬張っている自分に気がつきました。美味しい!って無我夢中で屈託無く微笑みながらお口いっぱいに頬張って。大人気ないなんて言葉、お家なのだから封印!ドーナツってこんなパワーがあったんですね。テレワーク疲れの皆様にお渡ししたい。
オンラインショップに載っている各詰め合わせの特色や商品説明を読むと、一つのパンにどれ程の人が関わって、今ここに届いているんだろうと愛おしい気持ちになります。十勝の農家の方が育てた小豆で作った自家製餡子、北海道小麦で有名な「はるゆたか」、栽培が難しく消えてしまうかもしれない「キタノカオリ」の小麦…。一つ一つの素材にストーリーがあり、敬意を払いながらパンに合う小麦や材料を探りレシピを研究していらっしゃる〈KANEL BREAD〉さん。お店でお話を伺った時にそのパンの先にある膨大な材料の関わりと手間暇にクラクラしたのです。それがオンラインショップでも少し垣間見ることができます。
特に「Baker's choiceセット」はパン職人の方リコメンドのセットなのでパンへの想いが溢れていて読み応えがありますよ!ほら、ポチッとしたくなったのは私だけじゃないはず。一つのパンから広がる景色を思い浮かべてみる。最高にロマンティックではありませんか!