フードディレクター野村友里さんが開いたレストランで話題! 〈restaurant eatrip〉の厨房から。vol.3 ぶどうを発酵させてみよう。
食べ物のおいしい季節がやって来ました。秋の旬の味覚は栄養価が高く種類も豊富なので、夏の暑さを癒して料理などにも積極的に取り入れたいところ。今回の主役は、たわわに実るキュッとしまった紫色の果物ぶどうです。ぶどうの発酵といえばワインを想像しますが、大西シェフ考案「ぶどうの天然発酵」は、ひと手間加えると意外なものに大変身します。〈restaurant eatrip〉のシェフ・大西政貴さんと共に、四季を追いながら季節の食材を使った発酵食について学んでいく、連載第三回目のスタートです。
第三回は「ぶどうの天然発酵」
世界でもトップクラスで生産量が多く、10,000品種以上存在すると言われているぶどう。特に日本では、そのまま食べる生食用ぶどうが主流です。ワインがその良い例であるように、ぶどうは発酵に向いていると大西シェフは言います。今回は、家庭でも簡単に作れる、ぶどうの自家製イーストレシピをご紹介。ぶどう本来の味と香りをそのまま楽しめるので、ワインに合う自家製パンを作ってみませんか?
■「ぶどうの自家製イースト」の作り方
今回の材料は、ぶどうのみ。種類や大きさ、糖度、酸味はお好みでどうぞ。発酵に必要な菌が皮の表面についているので、ぶどうは洗わないことがポイント。水洗いをせずそのまま使用するので、無農薬のぶどうをおすすめします。房からぶどうを取り外し、一つずつ手で潰しながら瓶に入れよう。発酵するとかさがますので、潰した身を入れるのは八分目が目安。
ヘラで再び潰し、水分を出してひたひたに。種はそのまま入っていても問題ありません。通常、水分に浸らない部分=カビやすいのでラップの落し蓋をしますが、今回は水分量が多いのでしなくても大丈夫です。常温で保管し、毎日のお手入れも忘れずに。
あっという間に完成!
一週間で完成。その後、冷蔵庫で一ヶ月は保管可能です。今回は特別に、発酵したぶどうの液種を使った天然酵母パンのレシピを伝授してもらいました。
■「自家製ぶどうの天然酵母による自家製パン」の材料
(200g、小さい握りこぶし8個分ほどのパンを作る場合)
・強力粉…180g
・全粒粉…60g
・薄力粉…30g
・きびとう…15g
・塩…5g
・発酵させたぶどうの液種…170ml
■作り方
1.こす
ぶどうの汁部分のみ使います。これが通常のパン作りで必要な、水とイースト代わりに。
2.混ぜる
強力粉、全粒粉、薄力粉、きびとう、塩を入れたボールに、1のぶどうの汁を入れて混ぜる。
3.一次発酵
2をこねたら丸く成形し、ラップをかけて半日〜1日発酵させよう。
一次発酵を終えたら8等分にし、再び丸く成形します。パンを焼くバットなどに並べたら霧吹きをかけ、大きいビニール袋に空気をたくさん入れた状態で結んで覆いましょう。一時間くらい発酵(二次発酵)させ、180℃のオーブンで25分ほど様子を見ながら焼き上げたら完成です!
干しぶどうのパンなどが作りやすくポピュラーですが、常在菌(=空気)がそこでしか生まれない美味しさと発見を持ってきます。発酵食が楽しくてハマる理由はこういうところにあるようです。
この季節はチョコが近づいてくる!
〈eatrip〉ではオリジナル商品を販売中です。野村友里さんおすすめの二つはこちら。ティータイムのお供にしても、自分へのちょっとしたご褒美にもどうぞ。
プロフィール/大西政貴シェフ
大学卒業後、人気フレンチ〈L'Embellir(ランベリー)〉で6年半の修行を積む。その後、ビストロを経て2019年1月から〈restaurant eatrip〉のシェフへ。日々発酵食の実験を続けている。現在柿酢と酵素ジュースシロップを開発中。
〈restaurant eatrip〉
eatripを主宰する料理人・野村友里さんが 2012年に原宿にオープン。駅から近い場所にありながら木々が豊かで都会の真ん中にいることを忘れそう。野村さんがヨーロッパ、アメリカバークレー、〈シェ パニーズ〉のキッチンに入った経験を生かし安全な食材を使った料理を提供する。
■東京都渋谷区神宮前6-31-10
■03-3409-4002
■18:00〜24:00 月休(土曜ランチ営業あり、日曜ランチ営業のみ)
■公式サイト:http://restaurant-eatrip.com/
■Instagram:@restaurant_eatrip
☆前回の「vol.2 山椒を発酵させてみよう。」はこちらから。
(photo:kenya abe, text:ami hanashima, cooperation:eatrip)