連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」/第17回 待ってました。シンガポールの名ホテル〈ラッフルズ シンガポール〉が、かえってきた!
第17回は、2年半の時を経て再開した〈ラッフルズ シンガポール〉をご紹介。シンガポールの歴史を象徴する壮麗な建造物は、一見の価値あり。リニューアルポイントもおさえておきましょう。
シンガポールの名ホテル〈ラッフルズ シンガポール〉がリニューアルオープン!
2019年は、シンガポール建国の父といわれる、トーマス・スタンフォード・ラッフルズ卿が当地に上陸して200年にあたるアニバーサリーイヤー。国の発展のきっかけを作った彼の名は、「ラッフルズ・ホスピタル」や「ラッフルズ・プレイス」といったように、いたるところに冠されています。
もっとも有名なのは、1887年に開業したホテル〈ラッフルズ シンガポール〉。世界でも数少ない現存する19世紀開業のホテルで、滞在者リストには女優エリザベス・テイラーや小説家サマセット・モームなど、名だたる著名人が名を連ねます。シンガポールを代表するカクテル「シンガポール スリング」の発祥バー〈Long Bar〉があるのも、こちら。
名実ともに人気の同ホテル、この2年半、全面改装工事に入っていました。それがようやく終わり、2019年8月、ついに再開!
改装といっても、アイコンであるコロニアル様式の建物の魅力はそのまま。改装案は、ホテルの雰囲気やサービス、伝統を確実に継承することを念頭に考案されたのだそう。
気品に満ちた客室。
リニューアル点として特筆すべきは、客室とレストラン。
客室は103室から115室に増設され、天井高4メートルの開放的な「スタジオ スイート」、パントリーやオフィススペースが備えられて暮らすように滞在できる「レジデンス スイート」、24時間チェックイン&アウトが可能な「プロムナード スイート」が新たに加わりました。
驚いたのは、ホテルロビーにチェックインカウンターがなくなったこと。宿泊手続きは客室で行われるのだとか。部屋の革製カードキーには、同ホテルに滞在した著名人のイラストが描かれています。細部まで、すてき。
レストランの目玉は2人の超一流シェフプロデュースの料理。
レストランの目玉は、巨匠アラン・デュカスによる「BBR by Alain Ducasse」と、アンヌ・ソフィー・ピックによる「La Dame de Pic」。前者はデュカス初のシェア&グリルをコンセプトとした地中海料理で、後者はアジア初出店。新生〈ラッフルズ シンガポール〉の内部を早く見たい!
2人のスターシェフの新たな一面を味わいたい!!と思ったのですが、0歳児(つかまり立ち開始)と行動を共にする我が身では、長時間、座って食事することは叶いません。せっかくのラグジュアリー空間でドタバタするのが目に見えているので、もう少し気軽に楽しめる〈Grand Lobby〉でのアフタヌーンティーへうかがうことに。
非日常空間でいただくアフタヌーンティー。
さて、エントランスに到着すると、迎えてくれるのは英国軍の軍服にインスパイアされた制服をまとったドアマン。彼に扉を開けてもらうと、目に飛び込んでくるのは圧巻のシャンデリア。華やかで、それでいて上品で。非日常空間に導かれます。
席に着いたら、まずは冷たく爽やかなシャンパンで乾杯。しばらくすると、三段トレーが登場。エビやカレーの風味がついたパンとフィリングがばっちり合ったフィンガーサンドウィッチや、見目麗しいスイーツがずらり。個人的に感動したのは、自家製スコーン。ほろりとほどけるけれど決してパサついていない、やわらかな食感。思わず、おかわり。
植民地時代には欧米人の社交の場だったのだろうな、大戦時は軍の管轄下にあったのだろうな……と、建物の歴史に思い馳せつつ、ゆったりとした時を過ごすことができました。懸念していた我が子は、最後までおとなしく(感涙)。ベビーチェアがおしゃれだったからでしょうか。本当に、細部まですてき。
訪れた際は、館内のあちこちを探検してみてください。どこもかしこも洗練されていて、感動するはずです。
(Photo:Raffles Singapore)
〈Raffles Singapore(ラッフルズ シンガポール)〉
■MRT East West Line(緑色)またはNorth South Line(赤色)の「City Hall」駅、またはMRT Circle Line(黄色)の「Esplanade」駅よりともに徒歩約2分。
■1 Beach Road, Singapore 189673
■www.raffles.com/singapore
プチコラム…「ハローベビー!子連れフレンドリーなシンガポール」
ベビー連れでの旅で不安になるのが、飛行機での過ごし方。フライト中はできれば寝ていてもらいたいですよね。となると、乗機前に体力を消耗させておく必要があります。そこでおすすめなのが、シンガポールのチャンギ国際空港敷地内に2019年にオープンした施設〈JEWEL〉。無料のキッズスペースが設けられています。
大きなお子さんは5階の「Manulife Sky Nets」へ。8mの高さに張り巡らされたネット上を歩いたり、跳んだり。スリル満点です。たっぷり遊ばせてから、ゲートへ向かいましょう。ちなみにレストランやショップもたくさん入っているので、大人もじゅうぶん楽しめる施設です。天井から流れ落ちる屋内人口滝もすごいですよ。