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島の恵みがぎゅっと詰まったパン! 小豆島唯一の酒造が手掛ける!人気ベーカリー〈MORIKUNI BAKERY〉の絶品コッペパンとは?
瀬戸内海に浮かぶ、香川県・小豆島。島唯一の酒造が手掛ける〈MORIKUNI BAKERY〉の、島の恵みがぎゅっと詰まったコッペパンとは?わざわざ足を運びたい、小豆島の人気ベーカリーをご紹介します。
島のおいしいものを詰め込んだコッペパン。
小豆島にただひとつの酒蔵、〈森國酒造〉。設立は2005年と新しいが、熟練の杜氏じ(日本酒醸造における最高責任者のこと)を雇い、酒米は手洗い、ラベルも手貼りと徹底した手作りの酒造りを行っている。
その酒蔵が2015年に立ち上げたのがこの〈森國ベーカリー〉だ。ゆったりと時が流れる小豆島の住宅街に、溶け込むように佇んでいる。
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「小豆島って、意外とゆっくり食事できる場所が少なくて。観光の合間に、気軽に立ち寄ってもらえたら」
そう話すのは、27歳の店長・新井完治さん。岡山出身だが、酒蔵ならではの食材を使ったパンに興味を持ち、移住を決めた。
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内装を手がけたのは建築デザイン集団・ドットアーキテクツ。木の質感があたたかい。
店のウリは、酒米の米粉を配合したコッペパン。多くの人が親しみを感じられて、挟む具材でアレンジを楽しめるのがコッペパンを選んだ理由だ。
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コッペパンサンドはおやつ系と惣菜系合わせて常時5種類ほど。ほかに、揚げコッペや、スコーンなどの焼き菓子も。
レシピ考案には、小豆島で評判のイタリアン、〈RISTORANTE FURYU〉のオーナーシェフ・渋谷信人さんが関わった。米粉を使ったパンは、もっちりとして、醤油など和素材との相性が抜群。挟む具材も、島のおばあちゃんに作り方を教わったジャム、島で育った豚の醤油煮……と、地元の人たちを巻き込んで手作りしている。
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ジャムはほぼすべて手作り。一番右の瓶は、日本酒にレーズンを漬け込んだもの。
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「鈴木さん家の豚の旨煮コッペ」430円に挟む、豚の醤油煮。
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中でも一押しは「大吟醸酒粕あんこコメコッペ」(280円)。小豆から炊き上げたあんこに、自家製の酒粕を練りこんでパンに塗る。一口食べれば、日本酒のいい香りが想像以上に強く鼻にすうっと抜けていく。
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様々なメニューに酒粕を使用している。
森國酒造では、島の棚田で育てた米を日本酒やパンに使う取り組みも始めている。まさに地産地消のコッペパン。島のおいしいものを訪ねて、ゆるりとフェリーの旅に出たい。
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コッペパンを使ったラスク。パッケージに酒粕の袋を使う、酒造ならではの遊び心。
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日曜と火曜限定で、天然酵母を使ったハード系のパンも販売している。
(Hanako1128号掲載/photo:Kenya Abe)