Hanako編集部’s note. 小麦の違いがわかる女になりたくて|『Hanako』11月号特集「美味しいパンには、理由がある」編集後記
2023年9月28日発売 Hanako「美味しいパンには、理由がある」特集を担当した編集者が自由に記す、編集後記です。
9月28日に発売した「美味しいパンには、理由がある」。
特集タイトル通り、まるごと1冊パン特集です。
パンは好きです。毎日食べます。ただそれだけ。
約2ヶ月間、取材すればするほど、こんなに食べていたのに、
「パンのこと、なんにもわかってなかったわ!」と思い知りました。
北海道には雑草さえも肥料にする小麦農場があって、
小麦は挽きたてってあまり使用されていなくて、
薪釜で焼くパンは朝3時から仕込みが始まって、
場所によって菌が異なるから同じ生地でも発酵の仕方が違う。
知れば知るほど深い世界です。
どうせなら、とことん深いところまでいってみよう!と
特集では、バケットで小麦の食べ比べをしました。
パンに向き合い、じ〜っくり味わうと風味の違いがわかります。
「このパンの小麦ははるばる北海道から来たのか」と
思いを馳せながら食べると、より愛情が湧き、美味しく感じるんです。
どこの小麦を使っているか、わかるようになるまでの道は果てしなく遠いですが…。
この本1冊に、合計114個のパンを掲載していますが、1個1個違う道を辿って、パン屋に並びます。その歩みに思いを馳せてみてください。きっとよりパンが好きになるはずです。
そして特集では、宮﨑駿氏が原作・脚本・監督を務めた短編映画『パン種とタマゴ姫』を紹介しています。2010年に三鷹の森ジブリ美術館で初公開された作品です。
主人公は、命を宿したタマゴ姫と、焼きあがる前のパン種。2人の逃走劇が繰り広げられる一方で、村人うさぎたちはせっせと小麦を収穫たり、生地をこねたりしています。小麦からパンが焼き上げるまでも描かれているのです。パン好きにはたまらない作品。しばらく上映されていませんでしたが、この秋に三鷹の森ジブリ美術館と、ジブリパークで公開予定です。私もパン種特有のぐにゃぐにゃした動きを観に、足を運ぼうと思います。