食べたい分だけ気ままに。 京都での夕食はアラカルトで。
ひとり旅でも楽しめる、女性店主の店5軒

FOOD 2023.09.08

美味なる誘惑の多い京都では、お腹の空き具合に合わせられる店へ。気取らない女性店主との会話と、気の利いた品々を楽しもう。

ひとり旅でも楽しめる、女性店主の店5軒

coimo wine

右上から時計回りに、タルティーヌ600円、きのこと豆腐のラープ(タイ風サラダ)800円、人参のソムタム(ハーフ)350円。その時々のグラスワインは800円~。
右上から時計回りに、タルティーヌ600円、きのこと豆腐のラープ(タイ風サラダ)800円、人参のソムタム(ハーフ)350円。その時々のグラスワインは800円~。

タイ仕込みの料理や自家製パンを、ナチュラルワインでゆるゆると。
一乗寺にある〈coimo wine〉は明るい時間からナチュラルワインを飲める店として、2022年に開店するとたちまち人気となった一軒。もちろん理由はきちんとある。店主の高橋順子さんはパティシエとしてタイのカフェで10年働き、帰国後は天然酵母ベーカリーでパン職人としてのスキルも身につけた経歴の持ち主。現地感あるタイ料理をアレンジしたフードから、自家製天然酵母パンのタルティーヌ、スイーツまで、メニューの幅の広さがまずうれしい。

ハーフポーションが可能な料理もあり、一人でも使い勝手がいい。高橋さんの姉は写真家の高橋ヨーコさん。空間のアクセントに、ヨーコさんの作品が飾られている。
ハーフポーションが可能な料理もあり、一人でも使い勝手がいい。高橋さんの姉は写真家の高橋ヨーコさん。空間のアクセントに、ヨーコさんの作品が飾られている。

加えて「おいしいパンが焼けるようになったし、自分で店を開くなら帰国してからはまったナチュラルワインの店だと思って」と開店のきっかけを教えてくれた、高橋さんの気取らない人柄もまた心地よい。明るい時間に店へと足を運べば、小学生とお母さんの常連客がおやつを楽しむ場面に遭遇することもしばしば。ワインを飲んでも飲まなくても、お腹も心も満たしてくれるのだ。

coimo wine

住所:京都府京都市左京区一乗寺払殿町38-3 
TEL:なし
営業時間:15:00(水18:00)~ 23:00(22:00LO)
定休日:火休ほか不定休
席数:スタンディング10席

パルミジャーノレッジャーノのプリンなどワインに合うデザートも。営業日時変更はInstagram(@coimo_wine)で確認を。

星の球

羊の田舎風パテ900円は実山椒がアクセント。フレッシュバジルの羊乳チーズペンネ900円は仕上げにペコリーノロマーノを。グラスワイン700円。
羊の田舎風パテ900円は実山椒がアクセント。フレッシュバジルの羊乳チーズペンネ900円は仕上げにペコリーノロマーノを。グラスワイン700円。

好きが高じて開いた独創的な羊料理と、ワインの小さな専門店。
学生時代に羊毛に触れたことをきっかけに、羊に開眼した店主の立川本未華さんが営む〈炭焼みはな〉は、焼鳥店が勢いづく京都にあっ真希さん。羊毛を身につけること、羊肉やチーズを食べることも含め、羊ずくめこそ幸せと開いた店の主役は、もちろん羊。

「羊って人間に一番寄り添っている動物。家畜としての歴史も古くて。将来は羊を飼いながら店を営むのが夢」と魅力を語る立川さん。
「羊って人間に一番寄り添っている動物。家畜としての歴史も古くて。将来は羊を飼いながら店を営むのが夢」と魅力を語る立川さん。

「洋食で味わうのはもちろん、実山椒や目玉焼きを合わせて、日本の家庭にも寄り添う羊料理もあると提案できればと、独学で試作を重ねました。手頃な自然派ワインと合わせて楽しんでもらえたら」と立川さん。14時からの営業は自分にとっての理想のスタイル。昼飲みから始まって夕食までゆるっと過ごすのも、いい一日の過ごし方。

星の球

住所:京都府京都市左京区田中南西浦町73-11 1F 南側
TEL:なし
営業時間:14:00~22:00
定休日:不定休
席数:7席

ウフマヨやひね鶏の中華風リエットなど羊以外の料理も用意されている。営業日時の変更はInstagram(@hoshinotama.kyoto)で確認を

炭焼みはな

つくね、高坂鶏のモモなど焼鳥は1本250円~。勧修寺トマトのおひたし500円、ゴルゴンゾーラムースと炭焼きパン700円など。グラスワイン880円~。
つくね、高坂鶏のモモなど焼鳥は1本250円~。勧修寺トマトのおひたし500円、ゴルゴンゾーラムースと炭焼きパン700円など。グラスワイン880円~。

遅めの時間までOK の焼鳥店は、ワインが似合うモダンな空間。
橋本未華さんが営む〈炭焼みはな〉は、焼鳥店が勢いづく京都にあって希少な女性店主の店。「店を開くなら大好きな焼鳥を中心にした、炭火料理の店にしたいと考えていました。女性一人でも入りやすい焼鳥店になればと」と橋本さん。

炭火料理店や肉料理店で経験を重ねてきた橋本さん。焼鳥店のイメージを心地よく裏切ってくれる、ワインが似合う雰囲気も魅力。
炭火料理店や肉料理店で経験を重ねてきた橋本さん。焼鳥店のイメージを心地よく裏切ってくれる、ワインが似合う雰囲気も魅力。

まず空間はすっと奥へ延びる無垢材のカウンターとモルタルの壁がモダン。焼鳥は飼育日数が長く、旨味の強い高坂鶏を中心に使い、炭火で丁寧に焼き上げる。合わせるのは、こちらも橋本さんが大好きだというナチュラルワイン。水茄子や万願寺唐辛子など季節野菜の料理も揃うバランスが絶妙だ。

炭焼みはな

住所:京都府京都市中京区釡座町14
TEL:075-221-5595
営業時間:17:30~24:00(フード23:00LO、ドリンク23:30LO)
定休日:不定休
席数:10席

グラスワインは泡が1~2種、赤白が各3種ずつほど。営業日はInstagram(@sumiyaki_mihana)で確認を。

こりょうり ひろめ

うまき1,100円。定番の鯖きずし860円は季節ごとの鯖の脂ののり方を味わいたい。ポテトサラダ500円には昆布の佃煮が入り、ゆるめの仕上がり。
うまき1,100円。定番の鯖きずし860円は季節ごとの鯖の脂ののり方を味わいたい。ポテトサラダ500円には昆布の佃煮が入り、ゆるめの仕上がり。

正統派の和食をごくカジュアルにあれこれ。銭湯帰りにもどうぞ。
「おりょうりではなくて、こりょうりと名付けたのは、大げさじゃなく自分の楽しみで作っている料理だから」と謙遜するものの、祇園にある日本料理の名店で修業を積んだ店主・藤井歩美さんの作る料理はどれも加減がいい。

明るい人柄の藤井さんと話したくて足を運ぶお客さんも多いそう。話をしながらも仕事はきっちり。料理を待つ間も飽きることはない。
明るい人柄の藤井さんと話したくて足を運ぶお客さんも多いそう。話をしながらも仕事はきっちり。料理を待つ間も飽きることはない。

サラダに仕立てるニンジンはかつらむきにしてからせん切りにする、だし巻きやう巻きは注文ごとに手際よく焼き上げてくれるなど、料理の基本をきっちり押さえているのが伝わってくるからだ。一品から焼き物、揚げ物、締めのにゅうめんや巻き寿司まで。気取らない京都の味を楽しむための料理が揃っている。

こりょうり ひろめ

住所:京都府京都市下京区東中筋通高辻下ル舟屋町665
TEL:075-746-5160
営業時間:16:30~24:00
定休日:木休
席数:9席

場所は、地下水を使った湯がいいと人気の銭湯〈白山湯 高辻店〉の隣。汗を流してからの晩酌、なんて使い方もできる。早飲みにも。

水上製作所

自家製ロースハムとcenciの柚子こしょう800円、自家製ベーコンと舞茸とパルミジャーノのリゾット1,300円など。
自家製ロースハムとcenciの柚子こしょう800円、自家製ベーコンと舞茸とパルミジャーノのリゾット1,300円など。

植物の緑に囲まれつつ味わう、スペシャリテ揃いのビストロ。
自家製ハムにアッシュパルマンティエ(牛スジの赤ワイン煮込みとマッシュポテト)、キッシュ、パテからパスタやスパイスカレーまで。用意されたメニューの種類は多くないものの、「料理はどれも、何度も試作を繰り返して仕上げたうちのスペシャリテ」という店主の水上智さんの言葉どおり、間違いのない味が揃う。

飲食店らしくない店名は、製造業だった水上さんの実家の屋号を受け継いだもの。店内に数多く飾られた観葉植物の姿も気持ちがいい。
飲食店らしくない店名は、製造業だった水上さんの実家の屋号を受け継いだもの。店内に数多く飾られた観葉植物の姿も気持ちがいい。

合わせて用意されたナチュラルワインは軽やかで優しい味わいのものが中心。グラスで5種類ほどがその時々で用意されている。近所にあってほしいと思わせる料理と雰囲気に、女性一人の常連が多いのも納得。

水上製作所

住所:京都府京都市中京区釡座通三条上ル突抜町793 MDSビル2F 
TEL:075-286-7761
営業時間:13:00 ~ 22:00(21:15LO)、日8:00~11:00(10:20LO)、13:00~19:00(18:15LO)
定休日:火休ほか不定休
席数:11席

グラスワインは850~1,050円。

photo_Yoshiko Watanabe text_Mako Yamato

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