歴史的建造物がレストランに。蔵元がはじめたお店〈モキチ鎌倉〉へ。/第59回なかしましほの散歩のレシピ

FOOD 2023.07.28

料理家・なかしましほさんが、気になるお店とその方に会いに行く本誌連載「散歩のレシピ」。今回は〈モキチ鎌倉〉へ訪れました。

鎌倉の大仏前を通り、〈POMPON CAKES BLVD.〉がある梶原へ向かうトンネルのそばに、引っ越してきた時からずっと気になる建物がありました。レンガ造りのレトロな外観はとても雰囲気があり、何の場所だろう?と思っていたのですが、ずっと人の気配がなかったのです。その場所がなんと、昨年12月にレストランになったと聞いて、うかがう日を楽しみにしていました。

_3AB5418 なかしましほ 散歩のレシピ 鎌倉 モキチ

〈モキチ鎌倉〉は「天青」などで知られる、湘南で唯一の蔵元〈熊澤酒造〉がはじめたお店です。
もともとこの建物は、昭和初期に造られた鎌倉に水を供給する水道施設だった場所で、その後は市の体育館としても利用されていました。ホールチーフの中西巧さんに聞けば、その後長らくの空白期間を経て、この歴史的な建造物を何とか残せないかと市を中心に話し合いが持たれ、6年の歳月をかけて〈熊澤酒造〉さんが引き継いだそうです。

北欧のレストランを思わせる室内。大ぶりの窓が印象的。
北欧のレストランを思わせる室内。大ぶりの窓が印象的。

大きな古い扉を開けると、まずは昔ながらの高い天井に圧倒されます。水道施設だった時のパイプや階段がそのまま生かされていて、なんだか昔にタイムスリップしたようなわくわくした気持ちに。裏手には、レストランのオープンに先駆けて作られたハーブガーデンもあります。
「役立つ庭」をコンセプトにした、全てが使える植物たち。瓦を再利用した石畳の先には、たくさんの種類のハーブが育てられています。お料理やドリンクには摘みたてのフレッシュなハーブが使われるという、何とも贅沢なお店です。

メニューは石窯で焼くピザや、湘南野菜を使った前菜やサラダなど。色とりどりなプレートが並びます。
個人的には酒粕を使ったチーズケーキや麹を使ったガトーショコラなど、蔵元らしい素材のデザートが気になりました。
鎌倉の住民として、この場所にまた灯りがともったことがとてもうれしいです。家族や友人を誘って、また訪れたいと思いました。

〈モキチ鎌倉〉の素敵なことがら。

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