台湾の人たちに欠かせないデザート、かき氷の老舗へ。/秘密の台湾 REPORT no.28
FOOD 2023.04.13
台湾の人たちにとって欠かせないデザート、かき氷。ここ台北には、常に学生の行列が絶えない老舗がある。その人気の秘密とは。本誌連載『秘密の台湾』よりお届け。
青春の味はほんのり甘い。
きっと誰もが持つ、学生時代の思い出の味。台北屈指の難関高校、建國高級中學(ジィェングゥォガオジーヂョンシュエ)の学生たちに青春の味を聞いたら、おそらく皆、この店のかき氷と答えるだろう。その証に、平日の放課後となるとたくさんの学生でにぎわう。
80年以上続く老舗〈正宗建中黑砂糖刨冰〉のメニューは、いたってシンプル。ベースとなる黒糖のかき氷に、20種類以上のトッピングから4種選んで65元。ケースにずらりと並んだトッピングに目移りしてしまうが、そんな時はお店オススメの組み合わせをぜひ試してみて。若者に人気のボリューミーな組み合わせから、あまりの人気ぶりに単品メニューにもなった伝統の味「黒糖粉粿(ヘイタンフェングィ)」と、幅広い世代の人たちが楽しめるものとなっている。
毎日2時間かけて煮込む自家製の黒糖シロップはとても濃厚で、冷たい氷によく合う。実はこれ、日本人のアドバイスで先代が考案したもの。「残った黒砂糖飴を活用するために作ったシロップを、父はメニューに取り入れました。私はその味を守ってきたんです」と、オーナーの洪永圓(ホンヨンユアン)さんは語る。さらに彼女は学生みんなのお母さんとして、彼らの成長をも見守ってきた。今もなお、多くの卒業生たちが家族を連れてくる。学生たちの寄せ書きが残る空間で、昔ながらの優しい味わいのかき氷を楽しんでみては。