『アンメット』『季節のない街』など、今期のドラマどうだった?オラリーの今期気になる地上波ドラマ~2024年4月期~

CULTURE 2024.07.05

毎クール10作ほどのドラマをチェックし、朝ドラや配信作品にも目がないドラマラバー・オラリーさんが、20244月期のドラマ作品を振り返ります。前回記事はこちらから。

季節のない街(毎週金曜24:42/テレビ東京)

度々震災をテーマにドラマを描いている、クドカンこと宮藤官九郎さんならではの作品。仮設に住む個性的すぎる住人たちと過ごすうちに、皆と同様、ここでの生活に満たされていく主人公の半助。一見するとそういう幸福もあるのだなと見ている側は安堵してしまいそうになるのですが、実はそれぞれが何となく気持ちの落とし所を見つけ出した結果なだけであって、これを美談として語ることはおかしい。

仮設が壊されることになり、街の年長者で住人たちの相談役・たんばさんが出ていくことを決めると、それなら仕方ないと、でもどこか安心したような表情で出ていくことを決心する街の人々。仮設での生活は特別で面白おかしいものではあったけれど、いつまでも「仮」でなければならないのかもしれない、と私は感じました。色々な解釈がありそうで、叶うならば宮藤さんに直接お話を聞いてみたい

おいハンサム‼︎ 2(毎週土曜23:40/東海テレビ・フジテレビ系)

待望のシーズン2、今回も最高でした!相変わらずどうでもいいことで迷走しまくる3姉妹が本当に面白く、たまに呆れて、でも愛おしい。そんな娘たちのモヤモヤと真剣にまっすぐ向き合ってくれるハンサムな父・源太郎は、本当に愛に溢れていて、自分もこうでありたいと思わせてくれます。「伊藤家リモート会議が招集されました。奮ってご参加ください。」という源太郎の突発的な呼びかけ(着信音にしたいくらい好きです)とともに度々開催されるリモート会議にも、なんだかんだ皆参加していて。それって当たり前じゃないし、源太郎の最上級の愛情をもらっているからこそだな~と。小さなモヤモヤから人生を脅かす大きな悩みまで、同じ熱量で考え、一緒に悩み答えを導き出してくれる源太郎が大好きです!

アンメット ある脳外科医の日記(毎週月曜22:00/関西テレビ放送系)

見ていた方も多かったと思います、アンメット』。毎週楽しみにしていたので、最終回の後はしばらく放心しておりました。とにかく全キャストすばらしく、スタッフの拘りが詰まったとんでもないドラマでした。

記憶障害を持つ脳外科医のミヤビと、実はかつて出会っていた同じく脳外科医の三瓶先生。記憶はなくても心は覚えている、ということを信じ、また出会い直していく2人がつらく愛おしく、ずっと見守っていたい気持ちになりました。影に光を当てるとまた影が出来る、という現実に悩む三瓶に対し、自分の中に光があれば暗闇も明るく見えるのではないか、と軽やかに話すミヤビ。この答えに、三瓶だけでなく私自身もものすごく救われました。間違いなくこれからの自分にとっても大事な言葉になっていくと思います。何度でも見返したいシーンがたくさんありすぎる!ありがとう、『アンメット』!

街並み照らすヤツら(毎週土曜22:00/日本テレビ系)

経営難に悩む商店街の人々が軽い気持ちで始めた偽装強盗が、取り返しのつかない事態に発展していくこんなドラマ的展開がコミカルに進んでいくのかと思いきや、現実にもありえるようなシビアな問題にも対峙していって、後半は特に引き込まれました。

商店街を守りたいというスタート地点は皆一緒だったはずのに、どんどん善悪がブレ始める人間の危うさがとてもリアルで、何が一番正しいのか、正しい気持ちがあれば何をしても良いのか、と色々考えさせられました。カラオケシーンのハマケンさんこと浜野謙太さんの『M』/プリンセス プリンセスの大熱唱は最高でした!それから謎の男・白鳥役の竹中直人さんと、ツチヤ役のでんでんさんのやりとり、個人的にめちゃくちゃ豪華なキャスティングでシビれました。。!

滅相も無い(毎週火曜24:59/MBS・毎週火曜25:28/TBS)

堤真一さん演じる、突如現れた巨大な""を神と崇める謎の男・小澤に集まる8人の男女。人々は過去の痛みや苦しみを話し終えると、希望を求めてその""に入っていきます。イラストパート→ドラマパート→演劇パートと3つの要素で構成されていて、130分とは思えないほどとても満足感がありました。

特に演劇パートは簡素に作られた箱庭のようなセットの中で、少ない俳優さんたちが何役もこなし淡々と進行していきます。ドラマなのに演劇を見ているような、不思議な緊張感もあって新鮮でした!深夜にたまたまテレビを付けたらやっていた、派手ではないけどやたら記憶に残るドラマのような趣があり、ドラマを見始めたころの懐かしい気持ちを思い出したり。ほぼ出てこないのに強烈な印象を残す、小澤役の堤真一さんはやはり素晴らしかった!

今期は他に、ラストが予想出来ずハラハラしながら見届けた『くるり~誰が私と恋をした?~』、多様性という言葉の真意に迫った『パーセント』も面白かったです!

illustration:Misa Itoi edit:Kei Kawaura

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