【推しマンガ】ぼる塾の⽥辺智加さん「一緒にいて楽しければ、その関係性に名前が付かなくてもいいと思うんです」 | TVプロデューサー小山テリハの漫画交感 #4

CULTURE 2024.07.18

「イワクラと吉住の番組」「あのちゃんねる」などを担当するテレビ朝日のプロデューサーの小山テリハさんは実は漫画好き。毎回ゲストをお迎えして、互いに好きな漫画を交換、感想を共有し合う連載です。第4回目のゲストはお笑い芸人・ぼる塾の⽥辺智加さん!

Recommended Comics
「普段、自分の似顔絵なんか描かないから緊張しますね……」と田辺さん。
「普段、自分の似顔絵なんか描かないから緊張しますね……」と田辺さん。

1.『煙たい話』(小山P→田辺さん)「人と人との関係に第三者がとやかく言う必要はない」

煙たい話
小山テリハ ⽥辺智加
⽥辺智加

「煙たい話」は高校の同級生の武田くんと有田くんが再会して、一匹の猫を拾ったことで同棲を始める話。ここ数日で友人について考えたり、すべての人間関係をはっきりさせたいと思ったことがあったんです。でも、この作品を読んだら、人と人との関係に言葉なんていらないな、と思えました。学生時代は席が隣だったり、同じ部活同士で仲良くなるっていうのが普通だったけど、20年経った今、やっと「意外と合わない」ってことに気付いてしまったんですよね。当時はあんなに仲良かったはずなのに、大人になったらこんなに価値観って合わないもの?って。

小山テリハ

めっちゃわかります。当時は同じ箱の中に40人くらいいてなんとなくで振り分けられて、それが世界のすべてだと思っていました。でも、学生時代の友達で今も連絡取っている子って、ごく数人でほとんどいないかもしれません。

⽥辺智加

最近、20年間まったく連絡がなかった人から急に「大好き」ってメッセージが来たんです。でもそれって私自身のことが好きなわけじゃなくて、ぼる塾の田辺が今世に出たからなんじゃないって思ってしまって。人付き合いをするうえでメリットを考えてしまうことってもちろんあるけど、この作品では“メリット”ではなく「一緒にいると楽しい」みたいな感情があればいいじゃん、ってことを描いている気がしました。自分自身のあり様を考えるきっかけにもなりましたね。

小山テリハ

まさに私もこの作品に対して同じことを思っていました。世の中には「恋人」「友達」というように、関係性にラベルを付けて理解したがる人がいて。でも、カテゴライズできない自分たちだけが理解できる関係ってあると思うんです。男女でいるとすぐに「え、好きなの?」とか言われてしまうんですけどね……。単純に同性だから相性がいいわけではないし、性別や年齢関係なく話しやすいだけなのに、なかなか分かってもらえない。

⽥辺智加

もう、本当にそうですよね!最近、一緒にご飯を食べに行って「楽しい!」って思える仲のいい男性がいて。その人との出来事を話すと、相手が格好いいから余計に「好きなんじゃない?」と言われてしまうんです。人として好きだし、格好いいなと思ったり、尊敬することもあるんですけど……格好いいと好きは直結しないじゃないですか。なんですぐ枠にはめたがるんだろうって、私も思っていました。しかも「恋愛感情じゃないよ」って言うと「振られるのが怖いんでしょ?」「勇気出した方がいいよ」って言ってくる人もいて。なんで私が振られる前提なの?って感じだし、そもそもお互いが恋愛関係を望んでないんですよ。

小山テリハ

そんな経験があると、一人でいるのが一番ラクってなっちゃいますよね。誰かと親密になりたいわけでもないというか。お互いに「今、楽しい!」のままでいいと思っているのに、関係を進めなくちゃいけないっていう圧を周囲から感じます。

ここから二人の生活が始まる。
ここから二人の生活が始まる。
⽥辺智加
二人が納得している関係ならなんでもいいと思うんですけど、武田くんと有田くんが一緒に住み始めたことはなかなかすごいなと思いました。
小山テリハ

私もそう思いました。誰かと一緒に暮らすのってハードル高いですよね。

⽥辺智加

武田くんと有馬くんは高校時代のクラスが一緒だっただけで、お互いのことをほとんど知らなかったから余計に。私も相方のはるちゃんと1年間一緒に暮らしていた時期があったんですけど、それはもう大変でした。

小山テリハ

お二人の関係性でも難しいものなんですか?

⽥辺智加

無理でしたね(笑)。私たちは職場も同じなので、ほぼ24時間ずっと一緒にいることになる。家族でもそんなに一緒にいることないのに!ちょっと詰まるものがありました。でもお互いのことを知らないからこそ、作中の二人はうまくやっていけるのかな?とも思ったり。今後彼らの関係がどうなっていくのか気になりますね。2巻あたりで教師をやっている武田くんの教え子が彼のことを気になっていそうな感じを出しているから……って私もそうやって枠にはめようとしてるのかな。二人でホームセンターに行った場面で、遭遇した生徒に「彼女?」って聞かれていたところは、複雑な気持ちになりつつ、私も同じようなことを言ってしまいそうだな、と思いました。

小山テリハ

この作品がBLのコーナーに置かれていたら、ちょっと違う気もするんです。他のどのジャンルに属するのかは分からないんですけど、この二人がただただ幸せに過ごせたらいいな、とは思います。社会の悪意ある目線から何とか守られて欲しい。

スクリーンショット 2024-06-24 17.28.08

人と人との関係に第三者がとやかく言う必要はないですもんね。

二人暮らしに必要なものを買いにホームセンターへ行く武田と有馬。武田が働く学校の近くということもあり、生徒に遭遇してしまう。
二人暮らしに必要なものを買いにホームセンターへ行く武田と有馬。武田が働く学校の近くということもあり、生徒に遭遇してしまう。
小山テリハ

きっと枠にはめたがる人って、理解できないものは怖いから、分かるところに落とし込みたいって思っているんでしょうね。何でご飯に行くのかっていうのも「好き」があれば納得できる、みたいな。悪意はないけど、理解することで「この人はこういう人なんだ」って自分を納得させておきたい。ある種のエゴだと思います。

⽥辺智加

ぼる塾の四人でもそれぞれ関係性が違って。あんりと私と酒寄さんは、関係性によって話す内容を使い分ける、みたいなことができるんです。でもはるちゃんは「あんりと酒寄さんにはこんな話をするのに、私には話してくれない」「寂しい」と、嫉妬してしまう。そうやって人と人との関係の中に入ろうとするから苦しくなってしまうんだと思うんですけどね。

小山テリハ

ぼる塾さんって特殊な関係というか。現場でお会いすると、皆さんいつもこちらが求めているトーンを汲み取ってアウトプットしてくれて、スタッフにも優しくて。イメージのまま温かくて、笑いも絶対に起こしてくれる。そしてトリオでもコンビでもない、唯一の存在だと思うんです。だから、どうやって皆さんで上手くやっていっているのかずっと気になっていました。女性同士は年月が経つうちに関係性が変わることも大いにあると思うのですが、日々の会話の中で定期的に気持ちのすり合わせをしているんですか?

⽥辺智加

私とあんりがよくすり合わせをしています。バラエティ番組出始めのときははるちゃんも含めた三人でやってたんですけど、あんりからのアドバイスで私とはるちゃんがどんどん落ち込んでしまうから一時期話さなくなって。でも私は「何も言われなくなったら終わりだ」と思ったから、あんりに「全部思ったことを話して」とお願いして4年間すり合わせし続けています。最近二人の仕事も増えてきたのは、その結果なんじゃないかな。

小山テリハ

相関図を描けそうなくらい、4人それぞれの関係性があるんですね。

⽥辺智加

そうですね。ネタのことになるとあんりと酒寄さんが話しているし、私もはるちゃんと二人のときは仕事の話をするし、はるちゃんは思うことがあったら全部酒寄さんに言うって感じで。「2人でも3人でもうまくいかなかったね、4人だからこそだね」って話してます。どちらかというと、私とあんりは「ワッ!」と突っ走れないタイプなので、はるちゃんがいることで話の展開がひとつできるってことがよくあるし、その仕事を見て酒寄さんが褒めてくれる。すごくいいグループだと思っています。

小山テリハ

側から見ていると、そこまでは分かりませんでした。でも3人じゃなくて4人なんだな、というのはすごく感じます。

小山テリハ ⽥辺智加
⽥辺智加

猫と出会う場面もいいですよね。良くも悪くも、互いに印象もなかった二人が、猫との出会いをきっかけに会うことになる。私、友達が減ってくことって悲しいけれど仕方のないことだ、って思ってたんですよ。働いていると休みも限られてくるから、自然と近しい関係の人とばかり会うようになってしまって。久しぶりに会う人と一から話すのって超面倒だから。

小山テリハ

どこから話せばいいのだろう、とか思ってしまいますよね。

⽥辺智加

そうなんです。でもこの二人は久しぶりにもかかわらず関係が切れなかった。何を考えているかわからなくとも一緒にいられる人がいるっていうのは羨ましいです。私は卒業とともに新しい関係を更新し続けてしまったので。高校の頃の友達は一人だけなんです。

小山テリハ

地元から離れるだけでも簡単に関係ってなくなっちゃいますもんね。

⽥辺智加

1週間前にその友達と会ったんですけど「休みがない中で私のために1日使ってくれてありがとう」って言われて。私も会いたいと思っているし、お互いさまなのに。

小山テリハ

でも言いたくなる気持ちもわかります。私も大人になってから友達という存在がいかに貴重かっていうのに気付きました。仕事関係で出会ってそこからちょっと仲良くなれる人も貴重すぎるな、というか。

⽥辺智加

NSCでは大事な同期がたくさんできたんですけど、友達ってこんなにできないんだ、って思いますよね。あと私はミーハーすぎるんです。芸能人にお会いすると「うわっ!芸能人だ!私が近づいたら嫌だろうな」と思ってしまう。女性アイドルも男性アイドルもどっちも好きだから、相手に警戒させてはいけない、っていう気持ちが強いんです。仲良くなりたいと言われても「申し訳ないよ!」って感じだし、普段はあんりとはるちゃんとばかりご飯に行ってるし。相方は友達というより「人生」かもしれない。一緒に墓に入るくらいの覚悟でいますから。

小山テリハ

友達でもあり相方でもある。一言では表し切れない愛や絆を感じますね。

⽥辺智加

酒寄さんとNSCで会って3ヶ月くらいに突然通帳を見せられて「私は貯金があるから、田辺さんには芸人を続けて欲しい。田辺さんは絶対に売れるし、私が売れさせる」と言われたんです。そのときはネタも書いてくれるしラッキーだなくらいしか思っていませんでしたけど(笑)。こんなにも私の理解者になってくれる人に出会えたから、NSC入学金の40万円って安いもんだなと思いましたね。

小山テリハ

無条件で肯定してくれる人がいるって、その事実があるだけですごく生きやすくなりそう。田辺さんと酒寄さんの出会いって、漫画みたいですよね。

⽥辺智加

そうですね。仲良くなったのも、NSC初日に階段で偶然前後になったからなんです。その出会いがなかったら私はとっくに芸人をやめていたと思います。

煙たい話

作者: 林史也
出版社: 光文社
発表期間: 2022年〜
巻数: 既刊4巻

国語教師の武田とお花屋さんで働く有田。高校卒業以来会うことは一度もなかった彼らが、捨て猫との出会いをきっかけに男二人の同居生活を始めることに。恋人とも、友人とも、家族とも違う。自分たちだけの関係を模索しながら生きる人々の日々を綴る物語。

2.『逢沢りく』(田辺さん→小山P)「前情報を入れずに、まっさらな感情で読んで欲しい」

逢沢りく ほしよりこ
主人公のりくは人前で涙を流すことが得意。
主人公のりくは人前で涙を流すことが得意。
小山テリハ

『逢沢りく』には結構くらってしまいましたね。苦しい物語でもないんですけど、読み終えた後にまったく整理ができなくて。自分の中で消化するために、1日ぐるぐると考えてはズーンとしてました。田辺さんがこの作品をすすめてくださるっていうのも、普段のイメージとまったく違うので「どうしてこの作品を?」と思いながらも出会えてよかったな、と。

⽥辺智加

あら、嬉しい。私『きょうの猫村さん』が好きで。ほしよりこさんの作品に上下巻で読めるものがあるんだ、って読み始めたんです。

小山テリハ

猫村さん、私も好きです。読みながら「もしかしたら田辺さんの物語なのかも?」と思ったり。主人公の逢沢りくちゃんと同じ年齢の子が読んで救われることもありそうですよね。そして最後も「ここで終わるんだ」と。もうちょっとだけその先を、という気持ちにさせられる。

⽥辺智加

そうなんですよ。正直なところ私も最後まで読んで同じ感情になって。わからないから投げつけている感じです(笑)。たまらなくて、消化できない。あとこの作品は酒寄さんも読んでいて。「ぼる塾はりくちゃんが関西で出会った人たちのように、温かい存在でありたいよね」っていう話はしました。無償の愛を持っている存在に。

小山テリハ

東京で暮らすりくちゃんのお母さんは、自分の娘を心底愛してるってわけではなさそうで。娘には農薬まみれのものを食べさせたくないとか、動物はバイキンでできているから、とか、愛情の形がすごく特殊。そんなお母さんの言うことを聞いて育っているから、猫に対して汚いって思ったりするけれど、お母さんのことは客観視しているというか、馬鹿にしているというか。お父さんのことも大好きだけど、会社のアルバイトの子と浮気をしていることも知っているし、何なら過去に浮気相手が家に来たこともあったりして。最初の数ページは本当にわけがわからなくてすごく怖かった。

⽥辺智加

お母さんは自分が主役でいたい人のようですもんね。

小山テリハ

そう。お母さんの希望でキッズモデルになったのに、注目が集まったらお母さんは嫌がってしまう。りくちゃんはそんなお母さんの気持ちを感じ取って行動して、突き放されて。でも傷つくことはない。クールで見た目も美しいから、先生も含めて学校では特別扱いをされているし。そんな中で突然、りくちゃんが関西の親戚の家に飛ばされてしまう。

⽥辺智加

意味が分からないけど、本当にそう。

小山テリハ

しかもお母さんはその関西の親戚のことが大嫌い。りくちゃんは芯が強いから、母親が根を上げるまで行くわ、と家を離れて、そこから急に関西での会話劇が繰り広げられるんですよね。

さまざまな理由を並べて、母親から関西の親戚の家で暮らしてほしいと言われてしまう。
さまざまな理由を並べて、母親から関西の親戚の家で暮らしてほしいと言われてしまう。
小山テリハ

関西ではずっと「ここに染まらない」って思っているんです。転校初日には得意の嘘泣きをして気にかけてもらおうとするんですけど、想像していなかった反応が返ってきて。先生はすぐに嘘泣きに気付いて「あの子は聞いても話さないタイプだろうな」とそっとしておいてくれる。りくちゃんが美しいからって特別扱いすることもないし、関西の方の温かさを感じました。

⽥辺智加

この作品を読んで私が思い出したのは大阪の劇場の先輩たち。東京の先輩も面倒を見てくださるし優しいんですけど、大阪の劇場に行ったらファミリーのような温かさを感じるんですよね。初めてお会いした方でもエレベーターの数分で自分の面白いところを全部引き出してくれたり。でも嫌なスペースまでは踏み込んでこない。いい距離感って本当に大切なんだな、って思います。

小山テリハ

しかもズバッと言ってくれる瞬間もあるんですよね。りくちゃんがフッと鼻で笑ったときに「やめた方がええ」とホームステイ先の男の子が言ってくれる。本人に向けて言った方がいいことをちゃんと伝えてくれる優しさがあるんです。ムカつくなと思いつつ、初めて本当のことを言われて、りくちゃんの価値観がぐらぐらと揺らいでいく。他にも関西に染まらないために頑固でいる彼女のことを関西の人たちは切り離さずにむしろ「面白い」といじったり。お節介でもあるし、たしかに無償の愛を与えてくれる感じがします。

「思いを伝えるって、エネルギーが必要だから逃げてしまいたくなる。でも関西の人たちのように、言った方が心地いいこともありますよね」と、小山さん。
「思いを伝えるって、エネルギーが必要だから逃げてしまいたくなる。でも関西の人たちのように、言った方が心地いいこともありますよね」と、小山さん。
小山テリハ

りくちゃんは親戚で病気を患っている時ちゃんって子に好かれるんですよね。「私、子供嫌いだから近づいてこないで」って言っても時ちゃんは「一緒にいたい」とアタックし続ける。なのにずっと意地悪だし、時ちゃんに対して「大人って嘘つきだから信じない方がいいわよ。私は大人じゃないから正直なの」って言うんです。

⽥辺智加

それが、最後に効いてくる……。

小山テリハ

自分が言っていたことが自分に返ってきてしまうんですよね。無責任に人に放っていた言葉が人を傷つけることに気が付いて苦しくなる。ここで終わるんだ、っていうところで終わってしまうんですけど、関西に行って「こんな人たちもいるんだ」っていうことに気付いて、彼女の人生が幸せに働いて欲しいなと思います。

⽥辺智加

本当にそうですよね。「きっとこの後はいい方向に行くだろう」と希望を持ってはいるんですけど。

小山テリハ

自分の家が特殊だって、本来であれば大人にならないと気付かないと思うんです。他の家の話を聞いて「いいな〜」と思うことはあっても、変なところは色々な人に出会う中で気付いていくものな気がしていて。ただ、大人になると親も完璧な人間じゃないことがわかるから、変なところがあっても単純には憎めないです。親のここは好きだけど、ここは許せないってところ、私もあります。

小山テリハ ⽥辺智加
⽥辺智加

私は反抗期が激しくて家出ばかりしていて。でもそのとき母からはしつこくされなかったんですよね。当時は「構ってほしい」って思っていたかもしれないけど、今となっては何もしてくれなくてよかったなと思っています。久しぶりに家に帰ったときにご飯がなくて「あれ、私のご飯は?」って聞いたら「あんたいつ帰ってくるかわからないからないよ」って。それでやばい、って気付けたので。

小山テリハ

ウチも放任主義だったのでめっちゃ分かります。家出まではしてませんが、連絡せずにフラフラとしていたときに同じことを言われました(笑)。

⽥辺智加

高校生でお金もないし、ご飯がすべてだったから。そこからちゃんと帰ろう、って思えるようになったんです。

小山テリハ

全部決められてたらきっと私は疲れていたと思います。「あなたのためにこうしてるんだから」とか言われると「こっちは頼んでないし!恩着せがましい!」って。だからりくちゃんのお母さんみたいな行動には耐えられないですね。

⽥辺智加

私もです。勉強しなくても、テストの点が悪くても怒らずに「結果を見て、どうしたいのか自分で考えなさい」っていうタイプの親でした。周りの子とは違って門限もなくて。「私、心配されてないのかな?」って思ったこともあったんですけど、自分で補導される時間を考えて行動できたり。考えさせてくれてよかったです。

小山テリハ

「門限20時ね」とか言われると「なんでその時間なの」って思うけど、言われないと本当にやばい時間を考えて、なんとなくわかってくる。自分のことをよく見てくれている人たちの言葉って、今となっては全部本当だったな、と思えたりもします。

⽥辺智加

そうなんですよ。私、エゴサをしちゃうんですけど「得体の知れない人の言葉をなんで気にするんだ。信じるべき人の言葉はもっと近くにあるよ」ってあんりが言ってくれて。最近は見つけ次第、全部ブロックするようにしています。そもそもSNSに悪口書く人は馬鹿な発言を世界に発信している自覚を持つべき。

小山テリハ

インターネットの大海に放たれた言葉は消えないですからね。

⽥辺智加

ちょっと話がズレちゃいましたけど……。

小山テリハ

りくちゃんは最終的に自分のために泣いていて。本当に濃密な、すごい作品でした。こんなに喋っててアレなんですけど(笑)、まずは前情報を何も入れずにまっさらな感情で読んで欲しいです。

逢沢りく

作者: ほしよりこ
出版社: 文芸春秋
発表期間: 2014年
巻数: 上・下巻

簡単にウソの涙をこぼすことができる美少女、逢沢りくは関西の親戚の家でしばらく暮らすことになる。 親戚や同級生たちの関西弁に翻弄されながらも「私は絶対染まらない」と決意するが、次第に自らの心が変化しつつあることに気づき、戸惑っていく。第19回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作。

メッセージ
edit_Nozomi Hasegagwa photo_Hikari Koki illustration_Serena Nagai

Videos

Pick Up