今日の加害者は明日の被害者。ネットリンチの実態に震える。/第2回 ヒコロヒーのナイトキャップエンタメ

CULTURE 2022.08.02

疲れた心と体に染み込む、ナイトキャップ(寝酒)代わりのエンタメをヒコロヒーが紹介。第2回は、ネット上で起こる数々の問題に迫るU-NEXTのドキュメンタリー『中傷の犠牲者たち/15MINUTESOFSHAME』

2ヒコロヒー

SNSよる「個人攻撃」は後を絶たない。私も芸人として顔が売れるようになり、日常的にひどい言葉が飛んでくることもざらにあって、これに関してはもはや当事者問題なんである。芸能人は「叩いてもいいサンドバッグ」と思われている節があるし、表に出る人間はそれをうまくスルーすることが「大人の対応」という風潮もあるようだが、いつか悲劇が起こるのではないか、そんなことを思っていたときに観始めたのがこの作品。中傷の的となった人物の身に起きた出来事の真相に迫りつつ、大衆が個人を執拗に攻撃する社会現象を掘り下げている。たとえば、手を動かしていてたまたま差別的なジェスチャーをした瞬間の写真を第三者に撮られたアメリカの男性。写真はすぐ拡散され、会社をやめさせられるはめに。これにはネット上のいきすぎた「キャンセルカルチャー」についても考えさせられる。

以前、「誹謗中傷は書いた人と信じる人の二人によって行われる」という話を聞いたことがある。最初に発信した本人だけでなく、それに共感して情報を再投稿したり、話に尾ひれを付けて拡散する行為も歴然とした加害であることを知るべきだろう。その流れに「いいね!」を押せばあなたも加害者であり、逆に簡単に被害者にもなりうることをどうかお忘れなきように(って誰に言ってるのか)。

text : Daisuke Watanuki

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