『ブ、ブ、ブリ街道』は思わず写真を撮りました。鉄道好き・市川紗椰の旅の楽しみ方

TRAVEL 2024.03.12

多趣味の人として知られるモデルでタレントの市川紗椰さん。鉄道、食、アート、地形など知識の幅は広い。そんな市川さん、旅は何かひとつ明確に目標を設定してから計画を立てるのだそう。これまでで印象に残っている旅を教えてもらいました。

旅先の街角で自分の琴線に引っかかるものを探し出す旅がしたい

市川紗椰

「いい旅をする最大の秘訣は、欲張りにならないこと。情報収集は好きなので、雑誌で読んだ地方で人気のパン屋さん、ロケの移動中にローカルラジオ局の放送から流れてきたおいしいハンバーグ屋さんの名前、食通の人から聞いた口コミ情報…などをメモしてストックしています。それで、いざ旅に行くぞとなったら、〝オプション〞としてリストから引き出しておく。でも、それはあくまでオプション。絶対にクリアしたい主目的は1つか、せいぜい2つくらいにとどめておく。詰め込みすぎてスケジュールがこなせないより、時間が余ったから、今近くにいるからと、適宜オプションを追加していくほうが無理なく、旅の行程がうまくいくなと感じています」

冬の青森・JR八戸線の鮫駅にて、サメの顔はめパネルで記念写真。
冬の青森・JR八戸線の鮫駅にて、サメの顔はめパネルで記念写真。

旅先で癒しを感じるポイントも市川さんならでは。リゾートホテルでぼーっとしたり、観光名所を巡ったり、いわゆる旅ムードを満喫するより、ごく普通の街角に好みの看板や店構えを見つけると胸躍ると言う。

「この街に住んでいたらどういう暮らしをするのかな、と想像しながら商店街を歩いたり、車窓の外を眺めたりするのが好きなんです。先日も路面電車が走る富山の街を訪れて、すごくよかった。飲み屋さんがずらっと並ぶ旧繁華街みたいなところに『ブ、ブ、ブリ街道』って個性的なフラッグがあって、思わず写真を撮りました。これは記録しておかなくちゃ、と(笑)。

富山の通りを歩いているときに見つけたフラッグ。ぶり街道は富山で獲れた越中ぶりを運んだ旧飛騨街道を指す。
富山の通りを歩いているときに見つけたフラッグ。ぶり街道は富山で獲れた越中ぶりを運んだ旧飛騨街道を指す。

アーケード商店街からわざと外れて細い路地をぶらぶら歩いてみたり、〈富山地鉄ゴールデンボウル〉という味のあるボウリング場の喫茶室でお茶をしたり。その街に流れる空気を感じてしみじみ『いいな…』となれる旅をして、心から癒されましたね」

ご当地ものを真正面から楽しむのも旅だからこそ

今、行ってみたいと思うのも、これまで見かけて、なぜか気になる風景、店などがある場所だ。

「JR九州の佐世保線に乗って、武雄温泉から佐世保を目指したいですね。武雄温泉は一度、仕事で訪れたことがあるのですが、トロトロの泉質がすごくよくてまた訪れたいというのがひとつ。もうひとつは、武雄温泉から有田を通って、佐世保に出るルートがとてもいいんです。有田に入ると徐々に窯の煙突が見えてきて雰囲気が変わるのが素敵だし、佐世保線は陶山神社という神社の境内を横切るんですよ。面白いロケーションでこれは個人的に必見だと思います。…それと、途中になんだか変なピンクの自動販売機があるんです。あれはなんなんだろうってずっと気になっていて、確かめに行きたい(笑)。鉄道好きとしては、佐世保から松浦鉄道に乗り換えて平戸に行くルートもおすすめしたいです」

松浦鉄道のたびら平戸口駅は日本最西端の駅。
松浦鉄道のたびら平戸口駅は日本最西端の駅。

電車旅をするときの心得は?

「事前にルートを確認しておくことはマストとして、いろいろな意味で焦らないこと。飛行機や車と違って、電車旅は乗り継ぎながら行くことが多い。どうしても、一瞬無駄に思えるような隙間の待ち時間も生まれます。でも、それを無駄と思わず楽しむことができたらいいですね。たとえば、乗り継ぎで30分くらいあいてしまう時間があれば、駅近くのお土産物屋さんに立ち寄って面白いものがないか探してみる。ご当地コロッケや変わり種のソフトクリームがあったら率先して食べてみる。ご当地が仕掛ける面白いものを真正面から面白がることも、旅上手の心得。隙間があるからこそ見つかる小さな発見を愛せたら、電車旅がちょっと特別な癒しの旅になると思いますよ」

photo_Masanori Kaneshita styling_Kanna Manabe hair & make_Mariko Chiba text_Kana Umehara

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