冬の京都でなにしよう、京都お買いものさんぽの最適解 |京都、どこ行けばいい? もしもし京都相談室Vol.5 TRAVEL 2024.01.30

国内外問わず京都にやってくる多くのお客様のご要望に合わせ、様々なスポットやプランを提案し、メジャーどころからニッチな穴場的スポットまで知り尽くしたフリーランスPR中村葵さん。そんな彼女なら、京都に行く時の「困った!」、「知りたい!」の最適解を教えてくれるはず。ということで、中村さんの京都何でも相談室、開室します。「もしもし中村さん、冬の京都で楽しむお買いものさんぽの最適解 、教えてください!

中村葵さん
中村
1月ももうあと数日。新年も終わり、(2024年、今年のはじまりは悲しさで胸の痛むニュースが続きましたね)あっという間に2月に突入。立ち止まっているひまはありませんね。 今年最初のご質問、早速お願いします。
相談者
相談者
中村さん、はじめまして。2月に京都を訪れる予定です。久しぶりの京都! 行きたいごはん屋さんの目星はだいたい付いているのですが、お買い物スポットが知りたいです。器に工芸やクラフト、手仕事の素敵なものたちに出合いたいなと思っています。おすすめのお店を教えてください。
中村葵さん
中村
ご質問、有難うございます! 1年を通して年中観光シーズンの京都も、2月は1番静かな月ともいわれています。そんな、いつもよりほんの少し人の少なくなった静かな京都は、お買い物さんぽにぴったり。前置きは置いておいて、今回も大好きな3店舗、ご紹介します。

民藝に気負いなく触れられる幸せが溢れてる〈YAMADA MPD ART CLUB Kyoto〉

中村葵さん
中村
まず1軒目は、〈YAMADA MPD ART CLUB Kyoto〉。三条から二条、丸太町まで歩く寺町通には(その周辺にも)大好きなお店ばかりが続いていて、京都の中で1番大好きなマイベストストリートなのですが、古美術商「山田萬寶堂」の跡地だったらしいその場所に2021年にオープンされたのがこの〈YAMADA MPD ART CLUB Kyoto〉。
ネオン管が目印。
ネオン管が目印。
お店の雰囲気と並ぶ民藝のギャップが美しい。
お店の雰囲気と並ぶ民藝のギャップが美しい。
興味深い書籍が並んでいる。
興味深い書籍が並んでいる。
中村葵さん
中村
こんなお店あったっけ?と覗いてみたのがスタートだったのですが、ネオン看板と「YAMADA MPD ART CLUB Kyoto」のフォントのイメージとは裏腹、店内には私でもそれとわかる濱田庄司の民藝作品。展示空間のごとく、1点1点の販売商品が美しい余白を持って陳列されていて、その1点1点が興味深く、思わずまじまじと観覧してしまいます。
光の入りも美しいんですよねえ。
光の入りも美しいんですよねえ。
バーナード・リーチや濱田庄司に習った島根県布志名の物故作家、舩木研兒の1970年代の作品。
バーナード・リーチや濱田庄司に習った島根県布志名の物故作家、舩木研兒の1970年代の作品。
思わず手に取ってみたくなるものばかり。
思わず手に取ってみたくなるものばかり。
中村葵さん
先述した濱田庄司に河井寛次郎、「民藝」という言葉を生み出し民藝運動を推進した2人の作品から、民藝品、古道具や古美術が並ぶ店内。敷居が高く思えなかなか足を踏み入れにくい骨董・古美術商店さながらの品物をこうして気軽に見せてもらえる幸せ

はじめて訪れた日、ガラス棚に並んでいた湯呑みと器にすっかり心奪われたのですが、それは河井寛次郎の甥、河井武一を初代とする河井工房河井透作品でした。民藝素人の私にもわかりやすく作品や作家について説明くださり、欲しい気持ちがふつふつ高まったのですが、ふらっと立ち寄っただけのこの日、購入の決心には至らず。その後も心のどこかでチラチラと浮かんではいたものの、そんなことをしてる間にもちろんその作品は既にどなたかのお手元へ。そらそうですよね。

ハマショー(濱田庄司)せんせい。
ハマショー(濱田庄司)せんせい。
前列は江戸後期に九州で作られた古伊万里くらわんか皿。後列の花瓶は明治期の琉球壺屋焼、皿立てに立てられているお皿は李朝後期(19世紀)の朝鮮のお皿なんだとか!
前列は江戸後期に九州で作られた古伊万里くらわんか皿。後列の花瓶は明治期の琉球壺屋焼、皿立てに立てられているお皿は李朝後期(19世紀)の朝鮮のお皿なんだとか!
思わず手に取ってみたくなるものばかり。
思わず手に取ってみたくなるものばかり。
中村葵さん
中村
ご夫婦で営まれているそうで、これからもお2人が揃えられるであろう作品が楽しみ。こちらでセレクトされている美しい作品たちは、日常の生活で使っているイメージができる、そんな民藝作品が多い気がしています。民藝に触れに、お2人の元を訪れてみてください。

この寺町通は、大好きな鳩居堂、日本で1番古い錫工房を持つ清課堂、ちょっと二条に入り、ギャラリーやまほんソフォラギャラリータキザワアーツアンドサイエンス、戻って、グランピエにお香の薫玉堂村上開新堂、お茶は一保堂柳桜園。あちらこちらへと動き回る時間はない! という時は、ぜひに寺町通お買い物さんぽへ(コービーブレイクは、スマートコーヒーでまるで厚揚げのフレンチトースト!もしくはホテルオークラも大好きです)。

YAMADA MPD ART CLUB

住所:〒604-0992 京都府京都市中京区寺町通竹屋町上る藤木町22
営業時間:11:30~18:00
定休日:火曜日、水曜日、その他不定休
公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/yamadampdartclub/

古いもののもつ美しい力強さにうっとり。〈YUKI PALLIS COLLECTION〉

中村葵さん
中村
続いて、2軒目。昨年末、私が出合ったのが〈YUKI PALLIS COLLECTION〉。2002年から、なのでもう既に20年以上も営まれているこちらのお店に出合ったのが昨年なんて。あまりにも有名ですが、知らなかった自分が悔やまれます。ただ、出合えたのがこの歳で良かったのかもしれません。

銀閣寺近く、続く哲学の道を少し入ると(「幸せ地蔵尊」の弥勒院を曲がるとすぐです)「YUKI PALLIS COLLECTION」の看板。
ここが〈YUKI PALLIS COLLECTION〉。
ここが〈YUKI PALLIS COLLECTION〉。
この扉を開けると夢の世界。
この扉を開けると夢の世界。
哲学の道って歩いているだけで素敵。
哲学の道って歩いているだけで素敵。
中村葵さん
中村
オーナーであるユキ・パリスさんが生まれ育ったご実家を(こんな素敵な場所がご実家だったなんて!)改築され、そこには心のときめきが止められないアンティークの数々

扉を開けて、足を踏み入れた瞬間の高揚感はなんといったらいいでしょう。ショーケースの中には、シルバーや鼈甲、黒檀やストーンのジュエリー、古伊万里にヨーロッパの食器やガラスにカトラリー、見たことのないもの。そんなものモノたちが収められているのですが、決して静かに収まってはおらず、そこにあるものたちの1つ1つがそこにあるべきものとして存在していて、そんなものたちと対峙するには、こちらもそれなにのこころづもりで向き合わねばなりません。なので、じっくり食い入るように眺めてしまい、なかなか店内まで辿り着くことができません
扉を開けて目の前に広がる光景。
扉を開けて目の前に広がる光景。
この日もいい影が出てました。
この日もいい影が出てました。
うっとりするショーケース。
うっとりするショーケース。
中村葵さん
中村
靴を脱ぎ、中まで歩みを進めると、大きなテーブルを中心に並ぶものたち。国や年代の異なるものたちが肩を並べ鎮座している様は、雑多や乱雑という言葉とはほど遠いところにあります。

私、いつか私の手元に来たらいいなと思い願い、うっとり眺めている品がいくつかあるんです。そのうちの1つは今年のご褒美として今年中に手に入れたい(とか言ってると、またそのうち誰かの手元に渡ってしまうかもれません。欲しいお品は写真にもいくつか写っているのですが、それのどれかは内緒、です)。
中村葵さん
中村
渡り廊下を通り、もう1棟にはアンティークのお着物や帯、レースや刺繍などさまざまな国の布類。昨年通いはじめた香道のお稽古の影響で、着物にも少し興味が出てきた最近。気軽に着物も着られるようになりたい。アンティークのお着物の中には、地元・滋賀県の近江上布もあるようで、いつか自分らしい近江上布の1着にこちらのお店で出合えるといいなあ。

2階には、ユキ・パリスさんが50年以上に渡り収集した刺繍やレースなど針仕事の作品や道具、資料を展示するミュージアム

読者の皆さんにも共感いただける方が多いかと思うのですが、ある一点を境に、新しいものの楽しさやかわいさから、古いもののもつ美しい力強さに気付く瞬間が訪れるんですよね。

もののもつ力って時に強すぎることもあるような気もするのですが、そのものの持つ力に近づくパワーを手にすることができるのも、ものを迎える1つの理由なのかもしれません。そんなものたちに出合えそうなのが、〈YUKI PALLIS COLLECTION〉です。

YUKI PALLIS COLLECTION

住所:〒606-8403 京都市左京区浄土寺南田町14
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日、木曜日、夏期(8月)、年末年始
公式HPhttps://yuki-pallis.com/

器好きは大興奮間違いなしの〈てっさい堂〉

中村葵さん
中村
そして最後3軒目、〈てっさい堂〉。県外からの京都を訪れるなら必ずという方も多い、私が紹介ぜずとも、言わずと知れた古門前通の骨董店、てっさい堂。

店内には、壁一面ぎっしり、店内にずらり、惜しみなく重ね積まれた江戸後期の古伊万里の数々。いろとりどりの器たちは圧巻。いつか使いこなせたらかっこいいなと思う(今の私にはとても使いこなせないであろう)、大皿に大鉢、蓋付きの椀。取り入れやすい蕎麦猪口や取り分け皿、みんな大好き豆皿まで。店内の中心には、もうそれはそれは溢れんばかりの豆皿棚。先日一緒に訪れた器好きの友人も、大興奮。あれもこれもどれも、連れて帰りたくなってしまう器熱上昇注意報。海外のゲストにも喜ばれること必至。

旅先で出合い、買い求めた器、誰かに贈られた器はまた特別なものになりますよね。日本らしい古伊万里とのよい出合いがありますように

てっさい堂

住所:〒 605-0089 京都市東山区古門前通大和大路東入元町371-3
営業時間:10:00~18:00
定休日:年末年始
公式HPhttp://www.kobijutsu-kyoto.jp/

中村葵さん
中村
以上、冬の京都お買いもの3店でした。

今回は、もしもし京都相談室初めてのごはん屋さん以外のご紹介。この3店だけでなく、もっともっとご紹介したいお買いものスポットがまだまだたくさん。ごはん屋さん以外のご質問もどんどん募集中です。

それでは皆さん、また次回!
text&photo_aoi nakamura

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