交通安全のご利益ならここ。樹齢600年のご神木が見守る〈久我神社〉|寺社につき喫茶。絵になる京都ご多幸散歩 Vol.3 神社編
独特の吸引力に惹きつけられ何度でも足を運びたくなる。そんな街といえば、やっぱり京都。飽きない点も魅力だけど、知られざる美しい心の保養地がこの街にはまだまだあるんです。知っているとちょっと“粋”な神社仏閣、そしてその道すがらに出合った“秘密にしたい”素敵な喫茶店、教えちゃいます。案内人は寺社を愛する京都在住のモデル・本山順子さん。今回訪れたのは、航空・交通安全の神として広く信仰されている〈久我神社〉と、閑静な住宅街に煌めくカフェ〈STARDUST〉。前編では〈久我神社〉をお届けします。
樹齢600年の御神木も。“大宮郷”と称される地へ。
陽が沈むのが早くなり星空の時間が最も長くなるこの季節。大気圏の向こうまで透けそうなほどに澄んだ冬空と穏やかな日差し。今回は思わず空を見上げたくなるような〈久我神社〉にお伺いいたしました。京都の観光地を離れ、かつて大宮郷と呼ばれたこの地に、静かに佇む朱色の鳥居が現れます。
時は紀元前660年、最初の天皇である神武天皇の御東征の際に〈久我神社〉の御祭神である祖神・賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が“八咫烏(やたがらす)”となって大和(奈良)まで導きました。その功により賜った山城国(京都)に一族で移り住み、後に御神徳を讃えて賀茂建角身命を祀られたのが〈久我神社〉の始まり。
この八咫烏の故事に因んで航空安全・交通安全の守護の神様として長きに渡り人々に親しまれてきました。
そして、なんと賀茂建角身命とその娘、賀茂玉依姫命が賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)をお祀りされたことが〈上賀茂神社〉の始まりなのです。以前の連載でお会いした〈賀茂別雷神社〉の神馬さま“神山号”も4月・11月の1日のお祭りに〈久我神社〉へやってきたりと、〈賀茂別雷神社〉ととても関わりの深い摂社として大切にされています。
ここへ帰って来られる方、ここを目指す方が迷われないようにと「導きの木」としてこの一帯を見渡してきた樹齢600年の欅の御神木。取材中に声をかけてくださったお父さんも御本殿だけでなく、この御神木にもしっかり手を合わせられていたことがとても印象的でした。太い幹や伸びる枝を無くされても訪れる方々に、今の自身の心の在りどころ“現在地”をこの地に根を張って導いてくださっているのだと思われてならないのでした。
今回訪れたのは…〈久我神社〉
住所:京都府京都市北区紫竹下竹殿町 │ 地図
公式Instagram:@kuga_jinja_shrine