くどうれいんの友人用盛岡案内 〜手土産編〜 #6 のだ塩とEFRICAのマウンテンスパイス
岩手県盛岡市在住の作家のくどうれいんさんが、プライベートで友人を案内したい盛岡のお気に入りスポットと、手土産を交互に紹介します。
出張に行く前に盛岡でなにか岩手のお土産を買って持って行こう、と思うとき、気にしなければいけないことがたくさんあって困る。常温で大丈夫?日持ちはする?重かったりかさばったりして持ち運ぶのが大変じゃない?たくさんの荷物の中で押し潰されても平気?……そもそも、これ、気に入ってもらえそう?
お土産となればお菓子や飲み物を買いがちだけれど、今度会う人にはそういうものは一通りあげ尽くしてしまって、おまけに荷物は出発前から既にぱんぱんだから、かさばるものは買いたくない。常温でよくて、日持ちもして、配りやすくて持ち運びやすいものがいい。そんなわがままな気持ちのときのお土産に、塩とスパイスがいいのです。
今回おすすめしたいのは、「のだ塩」と「〈EFRICA〉のマウンテンスパイス」!
のだ塩
まずはのだ塩。のだ塩は、岩手県の沿岸北部にある野田村の有名なお塩。伝統の「直煮(じきに)製塩」によって作られた天然塩は、やっぱりとてもおいしい。ミネラルがたっぷり入っていて、けんっ、とした鋭い塩味がなく、まろやかでじわっとやさしい味がする。
野田村には「のだ塩ソフトクリーム」という名物があって、わたしはこのソフトクリームが大好きなのだけれど、のだ塩=おいしいソフトクリーム、とすら思っていて、お塩をたのしんだことは恥ずかしながらなかった。
ところがどっこい。「まずは炊き立てのご飯にぱらっとかけて食べてみて」といただいた「のだ塩」をその通り食べてみてびっくり。「いい塩って、おいしい!」と大変衝撃を受けた。
炊き立てのご飯にかけるだけで、甘い、うまい。おいしいご飯が余計においしくなる。うまみがあまりに深いのでぐおーんと口の中で舌が伸びるような気がする。炊き立てのご飯に塩をかけるだけでこんなにご馳走になるなんて。
もっともっと食べたくなって、濡らした手にのだ塩をつける。
手を込めたお塩らしく、結晶の大きさにばらつきがあるけれどさらさらとしていてきめ細かい。のだ塩は塩味がやさしいので、わたしはこのくらい取ってしっかりめに味をつけるのが好き。そしてあつあつのご飯をしゃもじですくって、ほっ。ほっ。ほっ。
ああ。ほらあ、見てよこれ。もうおいしいでしょう。おいしいんですよ。炊き立てのご飯で作る「のだ塩」の塩むすびは宝物みたいにおいしい。
いい塩は高い、と思われがちだけれど、のだ塩は「もっと強気で売りなよ!」と思ってしまうほどお値段がやさしいので、たくさん買って配るのにもけっこう重宝する。それに塩は、甘党でも辛党でも酒飲みでも下戸でも、家にあったら絶対に使うでしょう。
のだ塩は盛岡市内では、〈パルクアベニュー・カワトク〉の県産品売り場、〈特産品プラザ らら・いわて〉、〈イオンモール盛岡 ふるさと百貨もりおかん〉、〈イオンモール盛岡南 賢治のふうどかん〉、〈クロステラス盛岡 賢治の大地館〉で購入できる。
〈EFRICA(エフリカ)〉のマウンテンスパイス
お次は〈EFRICA〉のマウンテンスパイス。
〈EFRICA〉は2021年に誕生した岩手発のアウトドアブランド。岩手県沿岸の宮古市でアウトドア用品や山用のプロダクトを手掛けていて、この「マウンテンスパイス」もその一つ。
岩手県花巻市大迫町の〈早池峰自然科学興業〉と〈EFRICA〉の共同開発スパイスで、「“おいしい”ではなく“すごくおいしい”を目指して何度も調合を繰り返し完成した自信作」。
……とのことなのだけれど、運動が大の苦手でアウトドアとは縁遠いわたしがどうしてこのスパイスを知っているのかと言うと、盛岡市にあるわたしのだいすきな宿〈かわのそば〉へ遊びに行ったときに、「ねえねえ、ちょっと、一回舐めてみて、すごいから!」と興奮と共におすすめされたからだ。
ああ、スパイス塩みたいなのって今流行ってますもんね、と言いながら内心(だいたい想像つくような味だろうな)と思って舐めたら、びっくりした。なっにこれ!うっま!え?うまっ!これなんですか?その間にも舐める手が止まらない。それからすぐに商品名をメモして手に入れた。まさに「“おいしい”ではなく“すごくおいしい”」だった。ガツン!と来すぎるほど強いものではないはずなのに、心地よいジャンキーな味わいに手が止まらなくなる。
わたしが家に常備しているのは、そのときおすすめされた「02 TASTY SALT(テイスティソルト)」というもの。お土産もよくこれを買い、「いいから舐めてみな」と興奮気味に言ってしまう。
これが本当においしくてやみつきで、うっかりするとなんにでもかけてしまう。炒めたきのこに、焼いた鶏肉に、炊き立てのご飯にふりかけのようにしてもおいしい。けれど気が付いてしまったんです。
からあげにまぶすのがいちばんやばい。特に軟骨のからあげは衣をたくさん食べられるのでマウンテンスパイスを味わうには最高だ。こう言っていいのか迷うが、わたしの大好きなファミチキにかなり近い味になる。家でこんなにおいしいものが食べられるなんてしあわせだ。アヒージョやポトフにも合うらしい。絶対にやってみたい。
マウンテンスパイスは三種類あり、わたしの大好きな「02 TASTY SALT」以外にも、お肉の下味など塩胡椒を使うシーンで活躍する「01 SALT&PEPPER+(ソルトアンドペッパープラス)」と、辛みが欲しいときに使えるネオ七味のような「03 FRIED CHIPS(フライドチップス)」とある。三本並んでもかわいい。
〈EFRICA〉のマウンテンスパイスは盛岡市内では盛岡駅の〈カネイリスタンダードストア〉、〈パルクアベニュー・カワトク〉3Fのアウトドアショップ〈PeeePs〉、大館町の〈raum ラウム〉で購入できる。
折角なので「のだ塩」と「マウンテンスパイス」で「蒸しパン」を。マウンテンスパイスを教えてくれた〈かわのそば〉さんが「食パンを蒸して、一緒に溶かしバターも作って、蒸したての食パンにバターをたっぷりつけて、好きな塩やスパイスをつけて食べるのがおいしいんだよ、もう、するする食べちゃうから『飲めるパン』なんだよ」と教えてくれたパンの食べ方にいま我が家は大ハマりどころか、それを通り越して朝食の定番になっている。
ぼわっと湯気がたつパンを箸で持ち上げると、ほわんほわん、たゆんたゆんだ。ほかほかでしっとりしたパンをバターにつけて、うわ、どれにしよう、やっぱり最初はのだ塩かな。あっはっは、うまっ。で、次、やっぱテイスティソルトかな、うわあやばいやばい、おいしい、何回食べてもおいしい!次どれにする?
甘いお菓子やおいしい飲み物もいいけれど、相手の生活を静かに何度でもうっとりとさせるお塩とスパイスをお土産にするのもいいですよ。