今こそ手を合わせよう。 疫病退散、無病息災の御利益あり!仏像イラストレーターが選ぶおすすめ拝観スポット12選
とくに疫病退散や無病息災の御利益がある神様や仏様を、仏像イラストレーターの田中ひろみさんに選んでいただきました。今こそ、その尊いお姿を拝観して、病に打ち勝つ力をいただきたい!
【薬師如来(やくしにょらい)】災いを消し、健康長寿へ。病を治す薬を与える医薬の仏。
病気を治し衣食住を満たす、生きている人々の願いを叶えるといわれる仏様。「古来、病気平癒を願う仏様なので、まずこちらに手を合わせたい」(田中さん、以下同)
【拝観できるお寺】
1.〈新薬師寺(しんやくしじ)〉/奈良
747年に創建。2m近くある御本尊の薬師如来坐像と、ぐるりと円陣を組んで護衛する十二神将の像は圧倒的な迫力。本堂左側の地蔵堂には十一面観音菩薩立像や地蔵菩薩立像など数々の仏像を安置。
■奈良県奈良市高畑町1352
■0742-22-3736
■9:00~17:00
2.〈薬師寺(やくしじ)〉/奈良
680年に天武天皇が、後に持統天皇となる皇后の病気平癒を祈って発願したお寺。薬師如来と左右に日光菩薩と月光菩薩が安置された「薬師三尊」は、1,300年変わらない健康への願いが込められている。
■奈良県奈良市西ノ京町457
■0742-33-6001
■8:30~16:30
【青面金剛(しょうめんこんごう)】疫病退散のために現れた、帝釈天からの使者。
今から1,300年前、高僧が疫病退散を祈ると現れたという青面金剛。「青い顔に三眼。怒り顔で邪鬼を踏みつけているお姿で、病を退散してくれる守護神です」
【拝観できるお寺】
1.〈西大寺(さいだいじ)〉/岡山
御本尊千手観音を祀る本堂の裏手には、牛玉所(ごうしょ)殿本殿に牛玉所大権現や金毘羅大権現、青面金剛が祀られている。境内には薬師如来が安置された薬師堂やパワースポットの楠などもあり。
■岡山県岡山市東区西大寺中3-8-8
■086-942-2058
■9:00~16:00
2.〈宗安寺(そうあんじ)〉/滋賀
豊臣家にゆかりがある寺で、御本尊は淀殿の念持仏だったとされる阿弥陀如来立像。青面金剛童子は秘仏として不定期で開帳。厄や病が「去る」ように、白いくくり猿に願いを書いて吊るす「厄除猿」がある。
■滋賀県彦根市本町2-3-7
■0749-22-0801
■9:00~17:00
【不動明王(ふどうみょうおう)】怒りの表情で邪悪を払い、すべての人を救うお不動様。
炎を背負い、力強い肉体が印象的な不動明王。「平安時代から、疫病や国難に立ち向かうときに祈りを捧げてきた仏。厄災を燃やし払ってくれる、強く優しい仏様です」
【拝観できるお寺】
1.〈高幡不動尊金剛寺(たかはたふどうそんこんごうじ)〉/東京
総重量1,100kgを超える大きな不動明王がパワーをくれる高幡不動尊。毎日行われている護摩修行で無病息災を祈願できる。不動明王の炎が描かれた厄除けのうちわは、元旦~節分の特別授与品。
■東京都日野市高幡733
■042-591-0032
■9:00~16:00
2.〈成田山 新勝寺(なりたさん しんしょうじ)〉/千葉
弘法大師自ら開眼した不動明王を御本尊とする。大本堂での御護摩祈祷は平安時代から1,000年以上続く歴史がある。また、2017年に建立された醫王殿(いおうでん)では健康長寿と病気平癒の御祈祷ができる。
■千葉県成田市成田1
■0476-22-2111
■8:00~16:00
【牛頭天王(ごずてんのう)】蘇民将来(そみんしょうらい)の伝説に繋がる牛頭を冠する疫病退散の神。
祇園精舎の守護神であり、病気や災いを防ぐ神。「遠い古代の神々がルーツとなった神道のスサノヲノミコトとも繋がる神様。蘇民将来の護符とも結びつきがあります」
【拝観できるお寺】
1.〈興禅寺(こうぜんじ)〉/愛知
三面十二臀(ひ)で正面に馬、足が鳥という珍しい木造牛頭天王倚像を祀る興禅寺。こちらは疫病除けの天王信仰の総本社である津島神社から移された。御本尊は薬師如来で、諸根具足・除病安楽の御利益あり。
■愛知県津島市今市場町3-22
■0567-28-5835
2.〈中仙寺(ちゅうせんじ)〉/大阪
中仙寺の牛頭天王像は、元は隣接する八坂神社に祀られていた。平安時代後期に制作され、疫病退散を願う人々を長く見守られている。いただける御朱印には牛頭天王と書かれている。授与時間帯は問い合わせの上参拝を。
■大阪府堺市東区石原町4-50
■072-285-0727
【地蔵菩薩(じぞうぼさつ)】優しいお顔の身近な仏様。大きな慈悲の心で人々を救う。
すべての人を救い、特に子どもを守る仏様。「地蔵菩薩が持っているシャリンと鳴る錫杖(しゃくじょう)はあらゆる病気を除くといわれています」
【拝観できるお寺】
1.〈白津山 正法院(しろつさん しょうぼういん)〉/秋田
高さが4.82m(一丈六尺)ある丈六延命地蔵菩薩を安置。江戸時代、疫病が蔓延した際、祈祷すると大仏が玉のような汗をかいて疫病から人々を救ったことから「汗かき地蔵」とも呼ばれる。大仏のお守り札がいただける。
■秋田県北秋田市鎌沢家ノ南45
■0186-78-2022
2.〈髙岩寺(こうがんじ)〉/東京
とげぬき地蔵で知られる髙岩寺。「御影(おみかげ)」は本尊地蔵菩薩の御姿を印じた紙札で、心と体のとげをぬく御利益がある。境内にある洗い観音も体の悪いところを洗うと治るとして有名。
■東京都豊島区巣鴨3-35-2
■03-3917-8221
■6:00~17:00(縁日~20:00)
【十一面観音(じゅういちめんかんのん)】11の顔で全方位を常に見てどんな苦難も見逃さない。
現世での10種類の利益(十種勝利)をもたらすといわれる。「その第一が離諸疾病(病気にかからない)なので、古くから疫病平癒を祈願していた仏様です」
【拝観できるお寺】
1.〈聖林寺(しょうりんじ)〉/奈良
十一面観音菩薩立像は奈良時代に造られた国宝。御本尊の子安延命地蔵や阿弥陀三尊像などを拝観できる。また、授与品にアマビエのパッケージがかわいいポン菓子(455円)も。バナナ味とキャラメル味の2種類。
■奈良県桜井市下692
■0744-43-0005
■9:00~16:30
2.〈長谷寺(はせでら)〉/奈良
10mを超える日本最大の木造十一面観音は室町時代に造られた8代目。川を流れてきた霊木が疫病を引き起こしていたところ、その木で十一面観音像を造ると治まったという伝説がある。
■奈良県桜井市初瀬731-1
■0744-47-7001
■9:00~16:30(時期により変動)
Navigator…田中ひろみ(たなか・ひろみ)
イラストレーター、文筆家。女子の仏教サークルの代表も務める。最新刊は『仏像イラストレーターがつくった 仏像ハンドブック』(ウェッジ)。
(illustration : Hana Akiyama text : Ayumi Shirasaka edit : Kana Umehara)