ハナコラボSDGsレポート 匠の技でSDGsに寄与。国産オーガニックコスメ「do organic」|シナダユイ

SUSTAINABLE 2022.11.16

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。今回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、〈ジャパン・オーガニック〉取締役の本田晃久さんに話を伺いました。

石油由来が肌に悪いわけではない

〈ジャパン・オーガニック〉の本田晃久さん。
〈ジャパン・オーガニック〉の本田晃久さん。

ーー企業にも持続可能な社会への取り組みが当たり前のように求められる時代になり、ぱっと辺りを見渡せば“オーガニック”の名のついた商品がたくさん並び、身近で手に入るようになったと感じます。今回は、数あるブランドの中で「do organic」が支持され続けている理由や、“オーガニック”である意味を改めてお聞きしたいなと思います。

「2008年にブランドの立ち上げをしましたが、現在は『do organic』以外にもオーガニック化粧品はたくさんあり、これまでやってきたことは間違っていなかったなと感じています。多くの人に長く使っていただけている理由は、環境負荷低減のオーガニックにしつつ、化粧品としての本質を捉えているからではないかと思います」。

ーー2008年はSDGsもまだなく、世間的にも環境問題に対する認知があまりない頃で色々あったかと思います。立ち上げから携わっている本田さん自身のことも含めてお聞かせください。

「〈ちふれ〉に入社して最初の7年間は営業を担当していました。そのあと別事業の実店舗で現場を任され、その次に〈ジャパン・オーガニック〉を立ち上げました。〈ちふれ〉は安心・安全なものづくりを大切にし、適正な価格で商品をお届けしており、うそをつかないで人や社会の役に立つという理念のある会社でしたが、新しいビジョンを作っていこうという中で環境を軸にしたオーガニック認証の海外化粧品に出会い、これは〈ちふれ〉的価値観をさらに一歩先へ進めることが出来るぞ!ということでやってみようと行き着いたのが出発点です」。

ーー「全国地域婦人団体連絡協議会」(〈ちふれ〉の名前の由来)の人からそういう商品が欲しい、という声が上がった訳ではなかったんですね。

「その当時はそもそもオーガニックというものが知られていませんでした。いまでも多くの人は正しくは知らないのでは。一般的に天然由来100%は肌に優しいイメージがあると思いますが、必ずしもそうとは言えないんです。オーガニック原料をたくさん入れました、というのもあくまでオーガニック農家の需要を増やすというところへの寄与で、化粧品の性能とはまた別ベクトルなんです」。

ーー女性同士だと「オーガニックだからいいよね」とか、なんとなく感覚的な話に終始してしまいがちなので、そう言った視点のお話に興味はあります。

「肌にとって何が最善かという選択肢はひとつではなく、石油化学の力で美しくする方法もありますし、天然の力で美しくする方法もあります。開発前に広く使われていた化粧品が落ちるクレンジングや、気持ちよくすっとなじんだり、保湿力が続くという部分の成分の多くが石油由来でしたので、化粧品会社ができることは石油系原料に頼らずに満足感を高めること。クレンジングに例えると、ウォータープルーフのマスカラは『オーガニックだから落とせない』となると一部のオーガニック化粧品愛用者だけのものになってしまい、結局広がっていきませんよね」。

ーーオーガニックのクレンジングは、天然由来主体のメイクしか落とせないと思っていました!一般化粧品にも対応出来るのはレベルが高いです。

「『do organic』は名前の通り“オーガニックしようよ”。ロゴも“◯(輪)”が3つ並んでいます。化粧品からオーガニックの輪を広げて行こうよ、という意味なんです。なので、環境軸の部分は欧州の考え方を取り入れつつ、日本の女性のみなさんに向けた満足感の高い化粧品をゼロから開発することにしました」。

オーガニック認証は環境へ寄与していることの証

ーーそして、あの「クレンジング リキッド」が誕生したんですね。開発は大変でしたか?

「私の経験値から申し上げますと、天然で美しくなる化粧品を作るのは非常に難しいこと。石油系界面活性剤でないと落としにくいものを、和食の出汁のように原料の質など組み合わせの相性のよさを見つける。まさに匠の技で落ちることを実現させたんです。ただ、当時はオーガニックで落ちるなんてうそだ!なんて言われたりして(笑)」。

ーー当時はすぐに受け入れてもらえなかったんですか…。確かに、職人の腕と匠の技さえあれば、化学調味料以上に深い味わいになりますよね。

「2009年頃ですかね。『見た目もださいし、きらきらしていないし、海外のコスメみたいに上がらない』なんて言われることもありました。ただ、私どもとしては単なる流行ではなく、これを作ることによって社会に貢献できるという信念がありました。当時は性能の高いオーガニック化粧品が作れないという事実もありましたので、その点では同業の方々から『よく〈エコサート〉のマークをつけて性能を上げられましたね』と驚かれました」。

ーー落ち着きのあるパッケージですよね。私もファッションから入った人間で、やっと良さに気づいた感じがします。外装パッケージの簡略化はとてもSDGsだなと思いましたが、これは時代の流れを汲んでいるのでしょうか?

「これは発売当時(2009年)からなんです。そもそも〈エコサート〉のオーガニック認証の枠の中では環境を第一優先するためゴミを少なく、またリサイクル可能な素材であることが決められているんです」。

ーーこれは画期的!と思ったんですが、以前からだったんですね。

「パッケージの紙も非木材のバガスというサトウキビの搾りカスを使っています。また、化粧水やクレンジングに採用しているスリーブパッケージのアイディアは、日本の風呂敷”包む”から発想しました」。

ーーそういった取り組みがSDGsの流れと交差したんですね。

「オーガニックにすることがSDGsに直結するということです。SDGsという言葉がなかっただけで、元々オーガニック認証をとればかなり寄与できる。この〈エコサート〉マークは世界の共通ルールの中で、環境負荷をできるだけ低減して作られたものである証なんです」。

ーーここで〈エコサート〉について、改めてどういうものかお聞きしたいです。

「認証機関により化学的に合成された農薬や肥料などを使っていないかなど、環境負荷をかけない作り方をチェックする国の規格が〈有機JAS〉ですが、化粧品は含まれていません。故にメーカー側の様々な解釈でオーガニックを語って販売すると買い手が混乱するんですよね。環境意識の高いヨーロッパでもそう言ったものをグリーンウォッシング(※)かどうか見極めるために〈エコサート〉という世界最大の国際的な有機認証機関が規格を作り、製法と工程、全てがオーガニックなプロセスで作るということが本当の環境配慮、負荷低減につながっていくということをルール付けしているのがこのマークです。2017年1月以降は認証機関ごとに異なっていた規格が統一され『COSMOS認証』に移行しています」。
※グリーンウォッシング…環境に配慮しているように装い、ごまかすこと。

ーーなるほど。見極めのために。

「『原材料に遺伝子組み換えを使っていません』と言った際に、そのトレーサビリティが取れるのか、第三者の目がちゃんと入っているのか、という点がとても大切になってきます。また予防原則の考えのもと、人の健康や環境、次世代までどういう影響が出るかわからないものは使わないというルールもあります。他にもマイクロプラスチックの問題や、サステナビリティであることが全てに含まれていて農薬・化学肥料を使わないことで、土壌や海を健全にしていくことにつながります」。

ーー消費者の私たちは詳しいことはわからなくても、このマークがあることで見えにくい部分もきちんと第三者がチェックしていて、SDGsに寄与できる製品を安心して買うことができるんですね。

なぜYouTubeで発信を続けるのか

ーーYouTubeではそう言った解説が詳しくされていますよね。

「消費者のみなさまが知識をもって買うとしたら、判断となる基礎の知識や化粧品会社としての知見をオープンにすることが必要だと考えました。また、逆に質問をいただいたりして共に成長できればと思っています。それに“オーガニックだから、天然だから買ってくれ”というのはおかしいなと。一般の化粧品と比べて魅力的であるか?満足できるのか?自信を持ってお届けするために化粧品原料での性能テストの結果もお伝えしています」。

ーー化粧品を売るときに効果は謳えないですもんね。

「オーガニックできれいになりたい。その期待に答えるための研究成果として言えることはお伝えして、知っていただくことで信頼感を得られると思います。『丹波の合鴨農法の有機米と黒豆を出汁みたいに掛け合わせたらコラーゲンの産生力が170%になります(※)』など」。
※化粧品原料レベルで試験結果を確認しています。

ーー米と豆にそんな効果が!

「地産地消でもありますし、米とか豆とか何千年、何万年と触れてきたものは変わらないですよね。最終的に昔から持続的にいまあるものに愛着が持てるのではないかと。日本の匠の技(化粧品製造メーカーの技術)で、日本らしい化粧品に仕上がっていると思います」。

後日「do organic」のスキンケア製品を使用したら、あたたかいご飯を食べてるような、ほっとする瞬間を感じました。

「do organic」

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