ハナコラボSDGsレポート いまを生きる世界のZ世代、ミレニアル世代の夢を詰め込んだ書籍『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』

SUSTAINABLE 2021.08.19

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第37回は、ライターとして活躍する五月女菜穂さんが、書籍『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』(いろは出版)の出版記念トークショーへ行ってきました。

いまを生きる世界201ヵ国、202人の夢を集めた書籍『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』が出版されました。世界各国の若者がいま、何を思い、何を夢見ているのか。ページをめくるたびに、多彩な価値観に触れられると同時に、世界のさまざまな課題についても考えさせられる1冊です。

今回は、出版を記念して行われたトークショーを取材。プロジェクト発足のきっかけをつくった市川太一さんと平原依文(いぶん)さんに想いを聞いてきました。

人を知って、夢を知って、世界を知る

『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』はオールカラーで、全544ページというボリューム。それぞれの国の若者代表が、写真と文章で自らの夢を語っています。

例えば、アフガニスタンのアジーザ・ベーハムさん(27歳)の夢は「すべての女の子の夢がかなう国」。同国では女性教育の欠如が問題になっており、女性の識字率は約20%で、不登校の子ども370万人のうち6割が女の子なのだそう。

「私の夢はすべての女の子が学校に通い、自分の夢を実現し、自分で決断できるような教育を受けられるよう、アフガニスタン全土で支援を始めることです」(442ページ)。

リトアニアの女性は「国境を越えたパートナーシップの世界」を語り、ベナンの男性は「子ども一人ひとりに幸せな人生を」と夢見ています。それぞれのページにはSDGsの17項目がラベリングされていて、項目別に索引もできるように構成されています。

人を知って、夢を知って、世界を知るーー。それらをテーマにして作られたのが『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』ですが、元々は一人の「夢」から始まりました。

市川太一さん。
市川太一さん。

福島県いわき市出身の市川太一さん。子どもの頃から世界に対して何ができるのかを自分に問い、悩み続けてきた市川さんは、47都道府県の高校生の夢を集めた『高校生の夢』(いろは出版)に感銘を受け、自分で世界を広げていこうと決意。大学では国際関係学を専攻し、2014年、大学3年生のときに、190カ国以上の人々が一つのホールに集まるサミット「One Young World」に参加します。

「北朝鮮から脱北したパク・ヨンミさんのスピーチに衝撃を受けました。それまで北朝鮮といえば拉致問題ぐらいしか知らなかったので、壮絶な脱北のエピソードも衝撃的でしたが、何よりそのスピーチが終わった後に、世界中の人がスタンディングオベーションで、彼女に拍手を送ったことが忘れられません。世界全体が一つの気持ちになった。それこそ平和だと思いました」(市川さん)。

平和をつくるためには、お互いを知ることが大切だと身を以て知った市川さんは、地球を1冊に詰め込んだ「教科書」をつくりたいと、この『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』の製作に動き出します。

高校生のときに読んで感銘を受けた本を出版していた〈いろは出版〉にメールを送ると、すぐに「一緒に本を作りましょう」との返事が。そして、2020年4月にFacebookで思いをつづり、寄稿を呼びかけると、共感の輪がどんどん広がり、世界各国からメッセージが集まったそう。それがいま、こうして1冊の本になったわけです。

平原依文さん。
平原依文さん。

平原依文さんも「One Young World」に参加し、本の製作を市川さんとともに担った一人。いじめをきっかけに、小学2年生から単身で中国に渡った平原さんは、その後カナダやメキシコなどで留学を経験します。

「留学で学んだのは、肌の色、性別以上に大切なことは、人としての心のつながりです。最初は中国人だから、メキシコ人だからと境界線を引いていたのですが、それでは打ち解けられない。もっと人とつながりたいと考えたとき、見えてきた夢は『境界線を溶かしたい』ということでした」(平原さん)。

確かに、この『WE HAVE A DREAM 201ヵ国202人の夢×SDGs』を読んでいると、たとえ遠く離れた国の人の話であっても、似たようなことを考えていたり、深く共感するような出来事を経験していたり、はたまた新しい気づきを与えてくれたり。平原さんの夢のように「境界線」が溶けていくような感覚になります。

最後にどんな人にこの本を読んで欲しいか、市川さんと平原さんにメッセージをお願いしました。

「めちゃくちゃ分厚い本なので、ゆっくり読んで、ぜひお気に入りのページを見つけて欲しいです。「この国、面白そうだな」でも「写真が素敵だな」でもいい。興味を持つことが全ての始まりだと思うので、好きなページに出会えたら嬉しいです」(市川さん)。

「SDGsというと何か難しいことをしなくてはいけないと考えてしまうかもしれませんが、変えたい景色がそこにあって、それを自分から変えていこうということなのだと思います。この本には等身大の物語が語られていて、みな、目の前の景色と戦っている。みなさんが一歩を踏み出せたらうれしいですね。また、コロナ禍ではあるのですが、いつかぜひこの本を持って、旅に行ってほしいです。聞いたこともない国を知ったり、仲間を見つけたりするきっかけになればいいなと思います」(平原さん)。

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