この夏、器好きは必見の企画展! 器の今と昔。〈日本民藝館〉で柳宗悦の食卓を再現中。

LEARN 2019.07.20

民藝運動の父、柳宗悦が建てた〈日本民藝館〉をご存知でしょうか? ここは1936年に開設されて以来、ほぼ手を加えられずに残っている歴史的建造物。柳がコレクションした古今東西の工芸品を展示することで、現代の物作りの道しるべとなっています。

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柳宗悦は日本を代表する思想家。無名の職人による“日用の器”に美しさを見いだして「民藝」と呼び始め、それを広める活動に情熱を注ぎました。友人でもあったイギリスの陶芸家・バーナードリーチや、今では巨匠として有名な同時代の作家・河井寛次郎や濱田庄司の作品を重用。さらに、ひときわ興味を惹かれた朝鮮半島の品を中心にコレクションしていました。〈日本民藝館〉では、『食の器』と題した企画展を開催中。柳のコレクションのほか、柳家で実際に使われていた食器が公開されています。

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登録有形文化財にも指定されている本館は、柳本人が基本設計を細部まで手がけた建築。玄関が吹き抜けになった贅沢な造りで、その意匠を細かく見ていくだけでも楽しめます。

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展覧会は3つの間に分けられ、「茶の湯と懐石の器」をテーマにした部屋には、柳が集めた茶器が並べられています。茶道の家元制度を批判したことでも知られる柳は、茶道具として独特に発展してきた作為的な美しさではなく、桃山時代に完成されたという「わび茶」の世界を愛しました。

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茶道でしばしば用いられる「見立て」。茶道具ではないものを茶道具として使う、伝統的な物の見方です。柳のコレクションの中には、鷹匠が使ったカゴ(掛花入)や、オランダの薬壺(茶器)などがありました。工芸品を自由な発想で取り入れる考えは、柳自身の生活の中にも垣間見られます。

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大展示室「食卓の器 柳家使用品を中心に」には、柳が家庭で使っていた器を集めています。柳の息子、宗理が2011年に亡くなってから寄贈された品や資料によって、所蔵品は更に充実したといいます。

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食器だけでなく、愛用したダイニングテーブルや椅子、ふすまなどの家具や建具もディスプレイ。柳家の食卓が再現されています。いずれも同時代を生きた作家、河井寛次郎、濱田庄司、芹沢銈介などによる作品。古いコレクションを指標に、「今現在使える器を、どのように生かしていくか」と考え続けたのです。

左に映るふすまは芹沢銈介作、食器棚は柳が好んだイギリス製。
左に映るふすまは芹沢銈介作、食器棚は柳が好んだイギリス製。
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1Fのショップは、通称「推薦工芸品売店」。現代の作家による器や工芸品の中で、〈日本民藝館〉がおすすめする品が並んでいます。展示を見た後に、自分の生活に取り入れてみたいものを考えてみましょう。

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〈日本民藝館〉
『食の器』の展示は9月1日まで。入館料は一般1100円。
■東京都目黒区駒場4-3-33
■03-3467-4527
■10:00〜17:00(最終入館16:30)
■月休(月曜が祝日の場合、翌日休)、展示替期間休
http://www.mingeikan.or.jp/

photo:Kenya Abe

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