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チーズケーキの概念が変わる。 販売開始後あっという間に売り切れに! チーズケーキの概念を変える〈Mr.CHEESECAKE〉が話題に。
「人生最高のチーズケーキ」をキャッチフレーズとする、〈Mr.CHEESECAKE〉。昨年春、SNS上で話題になったのをきっかけに、20代後半〜40代の女性を中心とする人々から、熱視線を浴びています。そんな、“今もっともアツい”チーズケーキブランド〈Mr.CHEESECAKE〉を立ち上げたのは、国内外の星付きレストランで活躍した経歴をもつ、シェフの田村浩二さん。〈Mr.CHEESECAKE〉を立ち上げるまでの経緯やチーズケーキにかける思いをお話いただきました。
一口で複数の味わいが楽しめる、魔法のようなチーズケーキ
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「まさに人生最高のチーズケーキ!」、「両親や祖父母にプレゼントしたら、とっても喜んでくれました」。SNS上には、“Mr.CHEESECAKE”を絶賛する声があふれています。“Mr.CHEESECAKE”の人気ぶりはすさまじく、シェフの田村さんによると、毎回あっという間に売り切れてしまうのだとか。「毎週日曜日と月曜日の朝10時から、1週間分の予約を受けていますが、HP上で受けつけを開始するのとほぼ同時に、完売してしまうこともありますね。また、ありがたいことに、定期的に買ってくださる方も多くいらっしゃいます」
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フォークを入れると、しっかりとした手応えがあるにも関わらず、口に入れると滑らかな舌ざわりに。後を追うように、レモンとスパイスの香りがふんわりと、豊かに立ちこめます。レアチーズケーキでもベイクドチーズケーキでもない、“ニュージャンル”のチーズケーキといえるでしょう。この特徴的な食感を生み出す秘訣を、田村さんが教えてくれました。「オーブンで焼きながら、湯煎で熱を加えています。チーズケーキの上部はオーブンの熱があたるため、しっかりとした食感になりますが、下半分は湯煎によりじっくりと熱が加わるため、とろけるような食感になるんですね」
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また、香りを効かせているのには、理由があるそう。「甘い香りが豊かに香ると、脳が“甘い”と判断します。すると、実際は糖度が低くても、食べている人は甘みを感じるんです。このメソッドに注目し、『箱入りチーズケーキ』も糖度は下げ、代わりにバニラやレモン果汁、『トンカ豆』というスパイスをふんだんに使っています」砂糖の量を抑えているから、しつこくなく、スッと消えるかのような舌ざわりに。また、スパイスを効果的に使うことで、後をひく風味が実現されたようです。
目指したのは、幅広い人に好まれる味わい
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多くの人に支持されるチーズケーキが生まれるまでの道のりは、平坦ではなかったようです。もともと田村さんは、フランスでおよそ1年、日本では10年以上も修行を積んだ、腕利きのシェフ。過去には、権威あるグルメガイドブック『ゴーエミヨ』にて、「期待の若手シェフ賞」を受賞したことも。しかしその直後から、レストランで働きながら、合間にチーズケーキの製作に取り組むようになります。フレンチの世界で輝かしい称号を手にしたにも関わらず、チーズケーキに注力したのは、なぜだったのでしょう。
「『期待の若手シェフ賞』を受賞したことで、多くの食通の方たちが、僕が働くレストランに来てくれるようになりました。それをありがたく思う反面、心から喜べない部分があって。有名になった瞬間、急に自分の料理が評価されるようになったことに、違和感を感じたんですね。それをきっかけに、“名前ではなく、味で評価されるようになりたい”、“食通の人だけでなく、幅広い人に好まれるものを作りたい”と思いました。昔からチーズケーキが大好きだったので、自分が心から納得できるチーズケーキを作ってやろう、と」
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レストランで働きながら、チーズケーキの試作を重ねた結果、完成したのが現在のチーズケーキ。お披露目のつもりでインスタグラムの「ストーリー」にチーズケーキの写真をアップしたところ、数名から購入を希望するメッセージを受けたそう。うち一人がインフルエンサーだったこともあり、その後、チーズケーキの情報が一気に拡散されます。それからは、一人奮闘する日々。朝4時半にレストランに出勤してチーズケーキを作り、片付けた後、通常の業務にかかるという生活を3ヶ月ほど続けたそう。配送や購入者への連絡なども、一人でこなしていたというから、驚きです。
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そして昨年8月、田村さんは独立。現在は、東京に小さなキッチンを構え、スタッフの方とともにチーズケーキを手作りし、販売しています。また、スタッフの方の肉体的負担を減らすこと、より多くの方にチーズケーキを届けることを目的に、今年の5月末より、業務用機械の購入資金をクラウドファウンディングで募っています。こちらも大きな反響を呼び、なんと開始1日でおよそ1000万円が集まったのだとか。
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今後、さらに注目されること間違いなしの、〈Mr.CHEESECAKE〉。これから、〈Mr.CHEESECAKE〉をどのようなブランドに育てたいと、考えているのでしょう。「『トーキョーチーズケーキ』と呼ばれ、世界中で親しまれるブランドを目指します。すでにニューヨークチーズケーキをはじめとする、地名を冠したチーズケーキが広く出回っていますが、そうしたチーズケーキに憧れたり、模倣したりするのでなく、新しいカテゴリーのチーズケーキを作りたいですね」
■〈Mr.CHEESECAKE〉公式サイト:https://mrcheesecake.official.ec/
(text,photo:YoshikoOgata)