言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第3回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。第3回は先月話題を呼んだラジオ出演について。
「初体験」
ラジオに出演した。人気番組の『オードリーのオールナイトニッポン』。芸能界にファンが多いことでも有名だが、先日放送10周年を迎え、武道館を含む全国ツアーを成功させた。ラジオ番組としては異例の快挙だ。ますます注目を浴びている。
1年半ほど前から若林さんとレギュラー番組をもっているのだが、若林さんとご一緒するなら聞いておいた方がいいといわれたのが、このラジオだった。はっきり言ってそれまでラジオをしっかり聞いたことがなかった私。
聞いてみて驚いた。番組が午前1時に始まってから終わるまでの2時間、一曲もかからない。持ち時間いっぱい、ずっと二人のフリートーク。生き生きとした二人の話しぶり。ホーム感。そして何だか二人の楽屋での会話を盗み聞きしているような、ちょっとした背徳感。さらに出演者との距離の近さを感じられるのが印象的だった。話の内容も脱線したり、自由気ままな感じが伝わってくる。直感的に「この番組に出られたら楽しそう!」と思った。
そんな背景があり、番組の宣伝などいろいろな取材を受けるにあたって、冗談で若林さんに「ラジオ出させてくださいよお」と何度か言っていた。実現するとは思っていなかった。というのも、テレ朝所属の人間がニッポン放送に出るには、かなりオトナの事情が絡んでくるからだ。しかし、いろいろな方が尽力してくれて出演できることになった。
普段の収録ではあまり緊張しないタイプの私だが、自局ではないというアウェー感、そして久しぶりの生放送ということで、本番前はなかなか気持ちが落ち着かなかった。
しかも、ラジオの中でもたびたび話題に上っていた相方・春日さんと彼女さんの10年越しプロポーズがテレビで放送され、若林さんの号泣姿がバズったタイミングでもあり、リスナーにとっては、直接本人たちの口から気持ちが聞けると待望していた回だっただろう。二人のそんな節目の時に、ゲストとして出るとなってかなり恐縮していた。
出番は深夜1時過ぎ。放送開始10分前に来てくれればいいからと言われた。あまりにも直前すぎないかと思ったが、ラジオでは普通らしい。控え室でディレクターの石井さんと打合せをするが、「なんでも自由に話していいですよ」と言われたのみ。台本もなければ、こんなことを話してくださいとも言われない。
え、どうすればいいんだろう、ゆるくないか?ダイジョブ?とアワアワしているところにオードリーのお二人登場。挨拶だけ軽く済ませると、すぐブースに入り、すぐに放送が始まった。お二人の軽快なトークで番組が進んでいく。石井さんから、30分ほどしたら紹介しますと言われ、ブースとガラス一枚挟んだ部屋で待つ。トークは春日さんの結婚の話や密着の裏話で盛り上がっている。どうにかして初めからトップギアのスピードで入って、流れを止めないようにしないといけない。なかなかのプレッシャーだった。聞かれることを大体予想し、こんなことを言おうと頭の中で考えながらCM中にブースに入る。中では二人はそれぞれ携帯をいじったり、スタッフさんと話していたり。そしてあれよあれよという間に、Qが出た。テレビの生放送だと、大勢のスタッフさんが本番10秒前からカウントを一斉に声に出す。ラジオはない。ただ、ガラスの向こうにいる人(しかも一人)が右手を上げるだけのQ。「今日のゲストはテレビ朝日の弘中綾香さんです~」との紹介。え?これで始まるの?ぬるっと始まっちゃったよーーーー!!テンパる私!
「弘中ちゃん、春日の番組見た?」「見ました~。1.5倍速で」「それ見なくちゃいけないから見たやつじゃん!!(笑)」
この会話を皮切りに、フルスロットルで話し続けた。30分しゃべりっぱなし。テレビではありえないことだ。生放送で編集もなく、CMもなく、動きもなく、ただしゃべっているだけ。尺もウケるかどうかも気にしなくていい。話したいことを話したいだけしゃべる。「結婚することが幸せという一元的な考え方に飽き飽きしている」といった、普段なら絶対話せないような(全くその日にはふさわしくない)話も、思う存分話すことができた。あっという間に時間が過ぎていった。
話すことって楽しいなぁと改めて実感した経験だった。もちろんオードリーのお二人あってこその時間だったが、またやりたい、と切に思っている。
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