日本の原風景が残る東広島市豊栄へ! 話題の古民家書店&貸切宿〈廣島書店〉店主・中岡政文さんが描く新しい地域コミュニティとは?
東広島市豊栄(とよさか)町に、ユニークなコンセプトの〈廣島書店〉がオープンしました。築100年の古民家を改装した趣のある施設は、単なる書店にとどまらず、地域の人々の交流スポットとして、はたまた宿泊施設として注目を浴びています。店主の中岡政文さんに、お店への思いや魅力をお伺いしました。
古民家を再生したまちの交流場〈廣島書店〉
2018年11月、広島県の山間部にある東広島市豊栄町に、築100年の古民家をリノベーションした〈廣島書店〉がオープンしました。“書店”といっても本の販売はしておらず、ここを訪れた人たちが自由に閲覧できる、いわばまちの小さな図書館です。
店主は、東広島市出身の中岡政文さん。ミュージシャンを目指して上京したが、26歳のときに帰郷。広島市内のアンティークショップで3年間働いたのち独立し、2009年に豊栄市で自身のアンティーク家具店〈リ・カムアクロス〉を開店しました。同店からもほど近い場所に売りに出ていた古民家に惚れ込み、〈廣島書店〉の構想を思いついたのだそう。
「戦前までの表記だった“廣島”から、現代の“広島”に至るまでの歴史や魅力を、書籍を通じて感じてほしい」との思いが込められた店名通り、土間にある本棚に並ぶのは、主に地元の人たちから寄贈された300冊ほどの古本。広島カープに地元出身アーティストの本、観光ガイド、原爆などの歴史書など、広島に関する幅広いジャンルの本や漫画がそろっており、利用者は室内でくつろぎながら自由に読むこともできます。
レトロモダンな日本家屋で思い思いに過ごそう。
日本家屋とフランスやイギリスのアンティーク家具が紡ぐ空間は、一見テイストはバラバラなようでいながらも、やはりそこは年代物同士、不思議としっくりと調和しています。使い方も枠にとらわれず、多彩で自由自在。昼間は憩いの場やレンタルスペースとして、夜は1日1組だけのゲストハウスとして表情を変えます。
「地元の人たちの交流の場になってもらえればうれしいです」と、笑顔で語る中岡さん。室内は、書店の営業日同様、日曜と月曜の11:00~17:00で、最初の1時間は無料(期間限定)、それ以降は1時間500円の座敷料で利用できます。本を気ままに読んだり、食べ物の持ち込みもOK。コーヒーマシンもあるので、セルフでおかわり自由のコーヒー(250円)も楽しめます。
「最近では、ご近所のおばあちゃんたちが集まって、テイクアウトしてきた広島焼きを食べながら女子会をやっていましたね」と、老若男女問わず、憩いの場所になっているようです。
また、火曜から土曜の9:00~17:00は、貸し切りのレンタルスペースとして開放。結婚式の前撮りを行うカップルや、カメラマンによるカメラ講座など、各種イベント会場としても人気です。
夜は1日1組限定の宿泊施設に。
さらに夜は、8人まで宿泊できる宿泊スペースに。なんと1日1組限定、古民家丸ごと貸し切りになります。「ありがたいことに、東京など遠方からわざわざ泊まりに来てくださるお客様が多いんですよ。ここに泊まりたいからと、予定していた京都旅行を変更してくれた方もいらっしゃいました」と、中岡さん。今では珍しい五右衛門風呂も、お目当てのひとつなのだそう。
宿泊は、素泊まり1人5,500円、夕食朝食付き1人8,800円。夕食は、仕出しかバーベキュースペースでのBBQが選べます。(※上記の金額に消費税が加算されます)
宿泊者からの評判が高いのが朝食のパン。クロワッサンやベーグルなど内容はその都度変わりますが、地元の食材やこだわりの塩などを使った安心安全なパンは、パン好きをも魅了する味わいです。
4月27日からは、書店に隣接した蔵を改装した映画館もオープン予定。定員16名のおそらく日本で一番小さな映画館は、また新たなまちの拠点となりそうです。
「空き家が問題になっていますが、アイディア次第で人が集まる場所に生まれ変わります。光の当て方次第でいくらでも輝くのが面白いですね。しかもローコストでビジネスを始められる絶好のチャンス。将来的には全国の空き家を利用して、各都道府県に〈廣島書店〉のような場所を作りたいです」。中岡さんの人と人をつなぐ新たな拠点作りへの挑戦はまだ始まったばかり。日本の原風景が残るこの地へ、ぜひお出かけしてみませんか?
〈廣島書店〉
■広島県東広島市豊栄町清武462-3
■082-401-4050
■書店/日月11:00~17:00、レンタルスペース/火~土9:00~17:00(時間応相談)、宿泊/日月18:00~10:00、火~土16:00~10:00 無休