『日日是好日』森下典子さんセレクト! この春おすすめの銘菓5選!センスの光る手土産なら、春を感じる和菓子を。
お茶の時間は、心躍る定番のお菓子があるだけで、より豊かなものになるはず。映画化され話題となった『日日是好日』で知られる、和菓子に造詣の深いエッセイスト・森下典子さんに、お気に入りのお菓子について伺いました。Hanako『やっぱり私は、お茶が好き。』「お茶を引き立てる、私の定番菓子。」よりお届け。
1.広大な菜の花畑に舞い飛ぶものは……?〈三英堂〉の「菜種の里」
「和菓子は引き算の美学」という森下さんの言葉にぴったりのお菓子。もち米の粉と砂糖で作られた鮮やかな黄色は菜畑を、炒った玄米の白い粒は舞う蝶を表す。「一拍の間があって『ああそうか』と膝を打つ。和菓子独特の謎解きの感覚が楽しいですね」。
■0852-21-3403
2.目でも楽しめる、おめでたいカステラの雛菓子。〈松翁軒〉の「桃カステラ」
「長崎では桃の節句の定番のお菓子だそう。カステラにフォンダン(すり蜜)で描かれたかわいらしい色合いの桃。この季節に食べると気持ちが盛り上がります」。長崎カステラをベースにした桃形のお菓子。今では様々な慶事に用いられる。直径約9㎝のボリュームもおめでたい。
■0120-150-750
3.葛ならではのはかない口どけ感が桜とも符合する。〈松屋本店〉の「吉野懐古」
奈良県・吉野地方の山野に自生する葛の根から作られる吉野葛に和三盆糖を練り込んだ干菓子。「ほんのり淡いピンクの干菓子は小さいけれど厚みがあって、口に入れると葛がほろほろととけていく感覚が好き。花だけではなくつぼみがあるのもいいでしょう」。
■0120-41-9280
4.梅の季節を恋しくさせる、ひと口目の香り。〈菓匠 松栄堂〉の「田むらの梅」
「岩手県一関市ではスタンダードなお菓子ではあるのですが、私は梅が咲く季節に味わいたくなります。特にひと口目の紫蘇の葉の香りと梅の餡の甘酸っぱさが絶妙」。その名は長らく一関の当主を務めた田村家の用命で作ったことに由来。今では一関を代表するお菓子に。
■0120-23-5008
5.春めく姿に桜の開花が待ち遠しくなる。〈御菓子司塩野〉の「花衣」
「デザインが美しい。桜が咲く頃にこのお菓子が出てきたら、ぱっと明るい気分になりますよね」。花型で抜き、折り重ねて形作った花の衣はピンク色のういろう。中に包まれているのは黄身餡。ほんのり甘い衣と少しコクのある餡のコンビネーションは存在感があり、お茶を欲する。
■03-3582-1881
今回教えてくれたのは…森下典子
エッセイスト。大学時代から記者として活動した体験をまとめた『典奴どすえ』(角川文庫)が話題に。『日日是好日』の続編『好日日記-季節のように生きる』(パルコ出版)も刊行。
Hanako『やっぱり私は、お茶が好き。』特集では、おいしいお茶のお店を多数ご紹介しています。
(Hanako1170号掲載/photo : Takafumi Matsumura styling : Hiroko Takenaka text : Naomi Yokoyama edit : Seika Yajima)