ハナコラボ日記/本山順子の東京さんぽ道 第19回 スペイン・バルセロナへ!世界一美しい病院?美しさで患者を癒す〈サン・パウ病院〉へ!
第19回目は、前回の〈カタルーニャ音楽堂〉の回でも登場した、ガウディの師匠が建築した世界遺産〈サン・パウ病院〉をお散歩。さすが“花の建築家”リュイス・ドメネク・イ・モンタネール。病院をお散歩!?なんて思ってしまうかもしれませんが、病院にいるのに気持ちがどんどん華やいでいくんです♪それでは早速行ってまいりましょ~う!
入り口から、これは本当に病院!?っと思ってしまうような雄大で可愛らしい外観。〈サン・パウ病院〉はガウディ通りを介して〈サグラダ・ファミリア〉と対峙するように建てられており、正面には〈サグラダ・ファミリア〉が顔を覗かせています。
いよいよ体験入院。地下のキラキラ反射する白いタイルのトンネルを抜けていきます。壁にはプロジェクターで病院を行き交う方が投影されていて、この様に使用されていたんだなぁっと当時の様子がわかるようなつくり。
続いては展示室。当時の病室を利用した展示室なのですが目に見える範囲のタイルが全てとてつもなく可愛い…!この窓の前にベットが置かれていたのだそう。
地上に上がり最初の建物を抜けると、目の前には楽園が。ラベンダーのお花が風にそよいで、その香りが鼻先をかすめていきます。思わずゆっくりと深呼吸。
左右対称の建物群がずらりと並びますが、その建物一つ一つにもたくさんのこだわりが詰め込まれています。よく見るとアーチの部分にはワニ、鳥、トカゲなど全部違った生き物が描かれていてとても可愛い!この花や動物のモザイク画は、生への「再生」「癒し」「前向きさ」を象徴するもので、患者へのメッセージでもあるのだそう。
建物の目の前に鏡のように同じような建物が。ここ〈サン・パウ病院〉はガウディが息を引き取った病院でもあるのだそう。そして、いよいよ最大の見どころ「管理事務分館」へ!
さすが世界一美しいと言われる病院!優しいピンク色のタイルと暖かい光が病院を訪れる人々の癒しの空間となったに違いありません。なんと、2009年までは実際に診療が行われていたのだそう。
天井を見上げるとモンタネールの特徴でもある、大胆かつ繊細な装飾と豪奢なステンドグラス。
その美しさは、目を奪われる箇所があまりにも多すぎて視覚がとても追いつかなくなるほど。この階段を数段上がった先には…。
一枚一枚手作業で作ったであろう、まるで水面のように波打つガラスに、スペインの眩しい光がほんのり和らいで優しく空間を包みます。天井の装飾タイルも窓のステンドグラスからも労わりが感じられるようなデザイン。
天井のタイルも部屋や通路ごとに違うデザインになっており、そしてそのどれもが優美でありながら、気品と静かさを感じさせる美しさ。
2階に上がると高さ18メートルもある〈ドメネク・イ・モンタネール広間〉。“患者を芸術で癒す建築”を理念に建てられたこの〈サン・パウ病院〉。病床に伏せる苦しい時でも、気持ちよく過ごすことで早く治ってもらいたいというモンタネールの優しさがあふれています。
この大きな窓から一望できる緑や花々が生い茂る広い中庭と建築群。モンタネールは、自分の命が尽きるまで理想郷を作っていたのかもしれませんね。
〈サン・パウ病院〉のすぐ近くの新設された病院では彼の思いが今でも生きていて、患者が庭で談笑し、散歩や日光浴を楽しむ姿が見られるのだそう。
今でこそ芸術や精神療法を取り入れる「アートセラピー」が確立されていますが、100年も前に人の気持ちに寄り添う建築の構想を思い描いたモンタネールは先進的で素晴らしい方だったのだなと思わさせられました。彼の人柄に触れられるような散歩ができて、すっかり心も癒されました。
ではでは、皆様も良いお散歩を~。