これまでにない“のれん”が彩る日本橋の未来。 日本橋の未来をつくる共創プロジェクト『nihonbashi β』初の制作展『未来ののれん展』とは?
お店の正面に掲げられるのれんは、古くから街を彩ってきました。そののれんを若手クリエイターのアイデアと技術でアップデートするという展示会が11月1日から日本橋で開催されます。その名も『未来ののれん展』。展示に向けてのれんを作成している現場にお邪魔してお話を聞いてきました。
伝統とストーリーにあふれた日本橋の未来をのれんで表現。
日本橋は再開発が進み、老舗と新しい商業ビルといった歴史と現在のカルチャーが混在する街です。現在日本橋で進行中のプロジェクト『nihonbashi β』は、日本橋の企業、お店、人と若手クリエイターが、“共創”活動を通して、未来の日本橋を創ろうという取り組みです。
この『nihonbashi β』が第1弾として放つのが『未来ののれん展』です。のれんといえば、日本橋の街並みの特徴のひとつ。お店や企業にとっては顔のようなものでもあります。日本橋の街を彩ってきたのれんに、若手クリエイターの柔軟な発想と最新の技術を取り入れて展示しようというものです。
若手クリエイターが生み出す“未来ののれん”とは?
現在プロジェクトに参加している若手クリエイターは、40名以上から選ばれた16名。4チームに別れて、〈コレド室町〉、〈にんべん日本橋本店〉、〈マンダリン オリエンタル 東京〉、そして9月13日にオープンしたばかりの〈三井ガーデンホテル日本橋プレミア〉にかけるのれんを製作しています。
〈にんべん日本橋本店〉チームが作成するのは、長く〈にんべん〉が支えてきた食の楽しさと驚き、そしておいしさを音で感じながらお客様を迎えるのれんです。
日本橋の賑わいの中心〈コレド室町〉を担当するチームは、めくる行為に着目。のれんをめくって通る人たちを華やかな気持ちにする仕掛けが用意されます。
〈マンダリン オリエンタル 東京〉では、「マンダリン オリエンタル 東京の風」をコンセプトに、慎ましやかにゆれるのれんが、「森と水」を表現したホテルの空間に誘います。
〈三井ガーデンホテル日本橋プレミア〉では、様々な要素が絡み合って反響し、増幅されていく様子がモアレ(うなり現象)に見立てられ日本橋が表現されます。
どのチームの図案も見ただけでハッとして、新しいのれん体験への期待が高まります。
〈株式会社Bascule〉朴正義さんが体験した日本橋の美しさと懐の深さ。
「日本橋といえばビジネス街という印象でしたが、再開発が進んでからは好きな映画をよく見にきています。それで気付いたのは、街がきれいなこと。100尺ラインってわかりますか?」
そう話してくれたのはnihonbashi β project代表を務める〈株式会社Bascule〉の朴正義さんです。
100尺ラインとは、室町地区の中央通りに面した建物の高さが100尺、つまり約31メートルに揃えられていること。日本橋の美しい景観を守ろうと、各企業が自主的にビルの高さを守っているのだとか。
「今回の『未来ののれん展』では、若いクリエイターが気にしたポイントはもちろん、ぜひ街並み全体にも注目してもらいたいですね」
これまで、自身も、流星観測システムとリアルタイムに連動したイルミネーションアートなど、デジタル技術を使った新しい体験を日本橋の街に提供してきた朴さん。
「仕事で関わるようになって知ったのは、日本橋の人たちが、人のつながりを自然と大切にしていること。冬にイルミネーション企画をしたときには、毎晩、街の方が温かいコーヒーを振舞いに来てくれることに感激しました。新しいチャレンジに対してチャンスをくれる懐の広さも、東京随一だと思います」
五街道の起点である日本橋は、昔から全国から多くの人やものを受け入れて、新しい文化も生み出してきました。その土壌が脈々も受け継がれ、今回の『未来ののれん展』に繋がり、将来の世代に引き継がれていくのかもしれません。
『nihonbashi β』は『未来ののれん展』に続いて、桜の季節にも展示を企画しているのだとか。まずはこの秋、若いクリエイターのアイデアが詰まったこれまでにないのれんを体験しに日本橋に足を運んでみませんか?
「未来ののれん展」
■ 参加店舗:〈コレド室町〉〈にんべん日本橋本店〉〈マンダリン オリエンタル 東京〉〈三井ガーデンホテル日本橋プレミア〉
■ 開催日程:11月1日(木)〜11月11 日(日)
■ 入 場 料:無料
■ ホームページ:https://nihonbashi-beta.jp/noren/