睡眠は最大の美容液!眠りのプロたちのテクニック9つをご紹介。

睡眠は最大の美容液!眠りのプロたちのテクニック9つをご紹介。
LIFEHACK JOURNAL
睡眠は最大の美容液!眠りのプロたちのテクニック9つをご紹介。
LEARN 2024.07.31
「睡眠は最大の美容液」といわれるほど、健康はもちろん美容面でも良質な睡眠は最重要課題。蒸し暑く寝苦しさが増す夏は、眠りのプロたちのテクニックに頼ろう。

お話を伺いました
柳沢正史

柳沢正史
S’UIMIN 代表取締役社長

やなぎさわ・まさし/筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長。米国科学アカデミー会員。紫綬褒章受章、慶應医学賞、文化功労者など受賞多数。

INTERVIEW
睡眠は減点方式。起きた瞬間から、良い睡眠のための習慣を身につけよう。

連日の猛暑で夜になっても気温は下がらず、寝苦しくてなかなか寝つけなかったり、早く目が覚めてしまい睡眠不足になりがちな今の時季。ぐっすり眠るためのルーティンを自分で見直す人も多いなか、気をつけなければいけないのは、睡眠“時間”と睡眠の“質”だ。そこで、睡眠研究の第一人者として世界的にも注目を集める睡眠学者・柳沢正史さんに、この夏からでもすぐに始められる睡眠対策について話を伺った。

睡眠不足は借金。負債がたまらないよう返済を。
大前提として、睡眠時間をきちんと確保していないと夏を乗り切る“良い睡眠”には、まずたどり着けないという。「成人に必要な睡眠時間は7〜7時間半ですが、実際は仕事などで確保できない人も多く、借金(=睡眠不足)が積み重なっているのが現状です。よく、ショートスリーパーだと公言する人もいますが、短時間睡眠者というのは遺伝子レベルで決まっていてごくまれで、ほとんどの人は睡眠不足の状態にあると思います」

睡眠が足りない分、休日に“寝溜め”をする人も少なくない。「足りてない睡眠時間を補っているので、その行為自体は問題ありません。ですが、そこで注意したいのは、睡眠中央時刻をずらさないこと。普段0〜6時の睡眠なら、中央時刻は3時。これを次の日休みだからと就寝時刻を遅らせたり、お昼まで寝てしまうと、中央時刻がずれてしまい社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)が生まれてしまいます。寝溜めをして、かえって体がだるくなる原因は、この時差ボケから来ています。長く眠りたいなら、その分早い時間に寝て、1時間までの時差を心がけましょう」

時間で解決できない障害は、自分に合った入眠儀式を探す。
睡眠時間を十分確保しても、「寝つきが悪い」「朝スッキリ起きられない」など睡眠の質に関する悩みも尽きない。私たちの普段の生活習慣のなかにも、その症状を引き起こす原因がいくつか隠れているようだ。

「寝つきが悪い理由として考えられる原因は2つあります。1つ目は体内時計の管理ができていないことです。強い光には覚醒作用があるので、朝〜昼は日光を目に入れて体内時計を整え、夜は強い光を目に入れない環境を作ることが大切。特に、日本の住宅環境は夜明るすぎるので、夜は電球色(暖色系)の間接照明を用いて、暗い道の街灯の下くらいの薄暗さで十分です。体内時計が狂ってしまうとスムーズに寝つけなくなることがあるからです」

そして2つ目は、仕事のこと、家庭のことなど心理的なストレスがあり、ストレスフルなことを考えて寝つけないという場合だ。「なるべく入眠前にストレスになることを思い出させないために、自分がリラックスできる習慣(入眠儀式)を身につけられるといいですね。音楽を聴く、映画を観る、アロマをたく、お茶を飲む、ストレッチをする…なんでもいいと思います。ルーティン化できれば、眠りたい時間に自然と眠くなることも期待できます」

そのなかでも、柳沢さんが効果的と教えてくれたのは、入浴についてのメソッドだ。「就寝1、2時間くらい前に40〜41℃のお湯に10〜15分、少し汗ばむぐらいまで長めに全身浸かってみましょう。すると深部体温が0・5℃上がり、そのあと徐々に元の温度に下がっていく。この時に、温泉効果(ホットスプリングエフェクト)によって眠気を誘発され、入眠しやすくなります。これは科学的根拠もあるので、自分のルーティンがなかなか見つからない時、まずは試してみてください」

睡眠の質を悪くする要素を減らすことが大切。
最後に「睡眠は基本的に減点法で、実際は睡眠の質が良くなるために実践できるような、万人に効果的な方策は少ない」と柳沢さんは語る。

「よく『睡眠の質を高めるにはどうしたらいいか』という相談があるのですが、下記に紹介する9つのNGリストのように、睡眠に良くないことを避ける、が僕のアンサーです。まずは、自分の睡眠を悪くする原因を見つけて、快適な睡眠を手に入れてください」


良い睡眠のための朝から晩まで「NG」リスト。

睡眠の質を悪くする原因を少しでも減らすのが安眠への近道。起きた瞬間から眠るまでの9項目をチェック。

1.目覚ましのスヌーズが5分刻み。
寝起きを繰り返すと細切れの浅い眠りとなり、貴重な睡眠時間がもったいない。スヌーズは1回まで。

2.寝る部屋のカーテンが非遮光で明るい。
特に夏は日の出が早く、朝日の光の刺激で早朝覚醒してしまう。遮光カーテンでしっかり暗く。

3.朝ごはんを抜く。
睡眠には体内時計の管理が重要。せめてミルクコーヒーなど少しでもタンパク質を含むものを摂取。

4.昼まで光を浴びずに過ごす。
起床後〜日中に光を目に入れないと体内時計がリセットされず、眠りのホルモンも分泌されにくい。

5.夕方以降の仮眠。
仮眠は14時まで。以降は睡眠欲求、睡眠圧が解消され、肝心の夜に眠れなくなるので注意。

6.家に帰って明るいリビングで過ごす。
リビングなどの居住空間は、夜は薄暗いと感じる程度の照明で100ルクス以下を目安に調整を。

7.18時以降にカフェイン、アルコールを摂取。
どちらも覚醒作用があり、代謝に時間がかかるうえ、睡眠の質を下げる。就寝4時間前までの摂取を。

8.お風呂はシャワーだけ。
体の深部が温まらずスムーズに入眠できない。就寝1〜2時間前に40〜41℃の湯船に約10分浸かる。

9.眠れなくてスマホでゲーム。
インタラクティブなコンテンツは交感神経が刺激され、興奮状態に。映画など一方通行のものを。


CHECK!
脳波を計測して自分の正確な睡眠状況を知ろう。

脳波を計測して自分の正確な睡眠状況を知ろう。

近年、スマホの睡眠アプリなども普及しているが、「2〜3晩かけてしっかりと脳波を測り、自分の睡眠パターンを数字やデータで可視化することが重要」と柳沢さん。眠れなかったと感じていても、計測してみると実は十分な睡眠が取れていたというケースも。このような「睡眠誤認」は、不眠を訴える人に意外と多く、計測が解決へのヒントになることもあるようだ。

睡眠計測サービス「InSomnograf」
睡眠時の脳波を医療レベルの精度で測定し、睡眠グラフや改善アドバイスなどをレポートする。指定医療機関、またはWebから申し込みも可能。(S’UIMIN https://www.suimin.co.jp/improvementplan/

VOTE
プロに聞いた、夏の睡眠はこれで解決!

睡眠の質を下げる敵は、まだまだ続く寝苦しい熱帯夜にもあり。就寝中の過度な冷房で対策…ではなく、まずは快適な睡眠へと誘う夏のおすすめ寝具から検討してみては?

ニトリ 「シャワーで洗える敷布団でジメッと季節も清潔&爽やか!」(広報・大阪捺々さん)

nishikawa 「“化粧品”の枕カバーで寝ている間にうるおいケア」(newmine担当・田尻和香さん)

ブレインスリープ 「大事な“眠りはじめの90分”が深くなるよう導きます」( 広報・伊藤美紀さん )

GOODS
睡眠環境を整えるお助けアイテム。

枕、シーツなど機能性に優れた寝具だけでなく、香りや成分など体の内側からサポートしてくれるグッズも続々と増えてきている。6つのアイテムを参考に、自分の睡眠習慣や悩みに合わせて選んでみよう。

中医学の五行を基に、タイプ別のオーガニックオイルをブレンド。

中医アロマテラピストが香りを監修。写真の#1はローズオットー、ジャスミンなどをブレンドした、華やかでうっとりする安らぎの香り。「睡眠を彩るエッセンシャルオイルミスト #1」25㎖ 4,980円(眠れるアロマ専門店 kukka https://kukka-zzz.com/

遠赤外線効果と99.9%の遮光性で寝ている間に夏バテをコンディショニング。

光電子®繊維の遠赤外線効果が、目の疲労回復に必要な温もりを自然に持続。暑苦しさやムレのない極上の肌触りと高い遮光性で朝まで眠りに集中。「コンディショニング アイマスク ピンクベージュ」3,960円(NeyoWell - 身につける寝具 https://neyowell.com/

100%植物由来の天然素材を配合。枕に貼るだけで、心地よい香りを実現。

京都発、“眠りの専門店”のアロマグッズ。枕の両端に1包ずつ貼れば、睡眠に良いとされるラベンダーの香りを約1〜2カ月楽しめる。「眠りの専門店がつくった枕用サシェ ラベンダーの香り」2包入り 880円(眠りの専門店 市田商店 https://www.ichida-kyoto.com/

おやすみ前の一杯で睡眠習慣をサポート。CBDの研究所で開発されたほうじ茶。

一般医療機器で疲労回復。ガーゼ素材のリカバリーウェア。

特殊機能繊維「SELFLAME®」を採用。自らの体温から発される遠赤外線を輻射することにより、血行を促進し筋肉のコリを寝ながら軽減。「BAKUNE Pajamas Gauze ベージュ 上下セット(長袖・ロングパンツ)」26,400円(TENTIAL https://tential.jp/

睡眠と寝ぐせの悩みにアプローチ。香り、保湿から睡眠ストレスを軽減。

就寝中の毛髪ダメージと睡眠環境に着目した、スリープテック美容シャンプー。ナイトアロマの香りに包まれ髪を保湿ケア。「ネネ ナイト スリープテック リペア」(左から)シャンプー340㎖、ヘアトリートメント335g 各1,540円(AND-X https://nene-night.jp/

photo_Hikari Koki illustration_Eri Masuco text_Ami Hanashima

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