築50年でも住みたくなる! アンティーク物件のおしゃれなキッチンとインテリア LEARN 2024.06.14

フラワースタイリストの平井かずみさんが一目惚れしたという現在の自宅は、東京23区内にある築約50年の2LDKの一軒家。オシャレなインテリアやキッチン収納のアイデアを紹介します。

古いものと寄り添う一軒家のキッチン

築50年という瀟洒な佇まいの一戸建ては、家主が時間をかけリノベーションを施したものだという。フラワースタイリストの平井かずみさんは、偶然この物件を見つけ、興味本位で内見に訪れ一目惚れ。「(前の)アトリエ兼自宅を更新したばっかりなのに」とも思ったが、この部屋で暮らしてみたいと引っ越しを決めた。2023年のことだ。

リビング兼ダイニング。奥に置かれた水屋箪笥は平井さんが前の家から持ってきたもの。棚の上にはお気に入りのものを並べて。中には客用の器や茶器が並ぶ。
リビング兼ダイニング。奥に置かれた水屋箪笥は平井さんが前の家から持ってきたもの。棚の上にはお気に入りのものを並べて。中には客用の器や茶器が並ぶ。

玄関を入ると、リビング兼ダイニングがあり、その奥にキッチンが続く。ニュアンスのあるタイル張りのカウンターは窓に面して明るく、コンロは贅沢な4口付き。きっと家主も料理好きな方なのだろうと想像してしまう。イギリス製の深めのホーローシンク、アンティークの蛇口やハンドル、手元を照らすランプのしつらえ、勝手口の扉の雰囲気…。キッチンを形作るひとつひとつが選び抜かれたものだとわかる。キャビネットや壁付けの棚もすでにあったもので、キッチン収納に関して平井さんが追加したものはないそう。

窓辺にはかわいい茶壺も並ぶ。「佇まいが好きで、並べて楽しんでいます。おいしい塩を分けて入れています」
窓辺にはかわいい茶壺も並ぶ。「佇まいが好きで、並べて楽しんでいます。おいしい塩を分けて入れています」
器が好きで収集する分、「キッチンツールは最小限に」が平井さんのルール。山崎大造さんの竹カゴは果物入れにも水切りカゴにも。
器が好きで収集する分、「キッチンツールは最小限に」が平井さんのルール。山崎大造さんの竹カゴは果物入れにも水切りカゴにも。

「そもそも使いやすいように工夫されているんです。収納も充実しているので、〝私ならどう使うか〞と考えるのが楽しい。だからこそ、キッチンにいる時間は以前よりぐんと増えました。前に住んでいたのはモダンなデザイナーズマンションで、キッチンも手狭だった。このキッチンなら3、4人立っても大丈夫なので、今の家に越してから、料理好きの友人を招いてみんなでワイワイと料理をする…みたいな機会も増えました」

日当たりのいいキッチン。奥の扉は勝手口。愛犬のトイプードルのイルちゃん(1歳)はこの家に引っ越してからお迎えした。イルに会いたいと来客も増えたそう。
日当たりのいいキッチン。奥の扉は勝手口。愛犬のトイプードルのイルちゃん(1歳)はこの家に引っ越してからお迎えした。イルに会いたいと来客も増えたそう。

2階には寝室とクローゼット。どの部屋にも家主が丁寧に施した意匠が感じられ、日本にいることを忘れる空間だ。「持ち込んだ家具や道具は、アンティークのもの以外にも、国や時代にこだわらず好きなものを選んだ」と平井さんは言うが、この家と、平井さんの持ち込んだものとの相性もとてもいい。

奥にある食器棚は日常的によく使うものを。上段にカップやグラス、中段に取り皿や茶碗、下段に大きめの器や片口など。色、素材で分類し、すっきりと整理。
奥にある食器棚は日常的によく使うものを。上段にカップやグラス、中段に取り皿や茶碗、下段に大きめの器や片口など。色、素材で分類し、すっきりと整理。

「この空間がそもそも自分好み。だから、これまで自分が選んできたものと、自然とテイストが合うのだと思う」

古いものや好みの合うものと調和のとれた暮らしを楽しむ。そのために多少不便を感じてもそれはそれでよしと思っているのだとも教えてくれた。

滋賀にある〈&Anne〉のワッフルサンドでおもてなし。丸テーブルは「この家に似合うかな」と買い足した唯一の家具。フランスのアンティークのもの。
滋賀にある〈&Anne〉のワッフルサンドでおもてなし。丸テーブルは「この家に似合うかな」と買い足した唯一の家具。フランスのアンティークのもの。

「たとえば、水道の蛇口が古いので、閉まり切らず水がポタポタ垂れることがある。また、密閉性が高くないので部屋が温まりにくいとか、小さな不便はあります。でもその分、シンクに物を溜めないようにしようとか、部屋が温まるまでゆっくりコーヒーを淹れようとか、今までだったら効率的にさっさと済ませてしまっていたようなことに目を留められるようになった。ちょうどいい不便さがあるからこそ、暮らしの営みを見つめ直せる。その心地いい塩梅を今は楽しんでいるところです」

photo_Manami Takahashi text_Kana Umehara

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