築50年でも住みたくなる! アンティーク物件のおしゃれなキッチンとインテリア
フラワースタイリストの平井かずみさんが一目惚れしたという現在の自宅は、東京23区内にある築約50年の2LDKの一軒家。オシャレなインテリアやキッチン収納のアイデアを紹介します。
古いものと寄り添う一軒家のキッチン
築50年という瀟洒な佇まいの一戸建ては、家主が時間をかけリノベーションを施したものだという。フラワースタイリストの平井かずみさんは、偶然この物件を見つけ、興味本位で内見に訪れ一目惚れ。「(前の)アトリエ兼自宅を更新したばっかりなのに」とも思ったが、この部屋で暮らしてみたいと引っ越しを決めた。2023年のことだ。
玄関を入ると、リビング兼ダイニングがあり、その奥にキッチンが続く。ニュアンスのあるタイル張りのカウンターは窓に面して明るく、コンロは贅沢な4口付き。きっと家主も料理好きな方なのだろうと想像してしまう。イギリス製の深めのホーローシンク、アンティークの蛇口やハンドル、手元を照らすランプのしつらえ、勝手口の扉の雰囲気…。キッチンを形作るひとつひとつが選び抜かれたものだとわかる。キャビネットや壁付けの棚もすでにあったもので、キッチン収納に関して平井さんが追加したものはないそう。
「そもそも使いやすいように工夫されているんです。収納も充実しているので、〝私ならどう使うか〞と考えるのが楽しい。だからこそ、キッチンにいる時間は以前よりぐんと増えました。前に住んでいたのはモダンなデザイナーズマンションで、キッチンも手狭だった。このキッチンなら3、4人立っても大丈夫なので、今の家に越してから、料理好きの友人を招いてみんなでワイワイと料理をする…みたいな機会も増えました」
2階には寝室とクローゼット。どの部屋にも家主が丁寧に施した意匠が感じられ、日本にいることを忘れる空間だ。「持ち込んだ家具や道具は、アンティークのもの以外にも、国や時代にこだわらず好きなものを選んだ」と平井さんは言うが、この家と、平井さんの持ち込んだものとの相性もとてもいい。
「この空間がそもそも自分好み。だから、これまで自分が選んできたものと、自然とテイストが合うのだと思う」
古いものや好みの合うものと調和のとれた暮らしを楽しむ。そのために多少不便を感じてもそれはそれでよしと思っているのだとも教えてくれた。
「たとえば、水道の蛇口が古いので、閉まり切らず水がポタポタ垂れることがある。また、密閉性が高くないので部屋が温まりにくいとか、小さな不便はあります。でもその分、シンクに物を溜めないようにしようとか、部屋が温まるまでゆっくりコーヒーを淹れようとか、今までだったら効率的にさっさと済ませてしまっていたようなことに目を留められるようになった。ちょうどいい不便さがあるからこそ、暮らしの営みを見つめ直せる。その心地いい塩梅を今は楽しんでいるところです」