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カフェと喫茶店には物語がある。「渋カフェ」その22 オーストラリア留学でバリスタに。奥沢〈Okusawa Factory Coffee and Bakes〉でコーヒーと笑顔を。
Hanakoスイーツ担当が、普段訪れるカフェ&喫茶店の物語をご紹介しています。レトロなテーブル、懐かしくてかわいいメニュー。不思議と落ち着く「渋カフェ」。お茶をいただきながら、マスターやその店それぞれのストーリーに耳を傾けて。22回目は、オーストラリアでコーヒーカルチャーを学んだ店長がいる、奥沢〈Okusawa Factory Coffee and Bakes〉へ。
今回の渋カフェは奥沢の〈Okusawa Factory Coffee and Bakes〉。オープンは2016年。店長の山田舞依さんは、オーストラリアでコーヒーカルチャーを学んだ後に、立ち上げからこのお店を支えています。
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ブルーの外観と大きなカウンター。渋カフェと呼ぶには少し新しい店ですが、お米屋さんを改装した空間は天井が高く、どこか懐かしさを感じる内装です。左が山田舞依さん。
お店のオープンから遡ること4年前、山田さんは一般の会社で働いていました。美大を出たのちに、CM制作会社に勤めたこともありましたが、あまりに過酷な現場だったため転職。その後、事務職をしながら過ごしていたそう。そこでは平穏な日々が続いていましたが、もっと自分が成長できる場を探して、海外で生活したいという考えるようになります。
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こちらはメルボルンのコーヒーカルチャーをまとめた洋書『THE SPECIALTY COFFEE BOOK』。各地の人気店の紹介やコーヒーの解説が中に。店内で閲覧できます。
「そのころのビジョンは、海外で語学を勉強すること以外は漠然としていたんです。コーヒーもほとんど知らなくて(笑)。メルボルンに決めた理由も本当にたまたまで。ワーキングホリデーで行きやすいのと、仕事が見つけやすいこと。あとはビーチより都会がいいなぁというくらいだったかも」
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「一年目はとにかく働いてみようと思って、日本食レストランでキッチンのアルバイトをしていました。いわゆる語学留学の定番コースです。そこからさらに1年滞在したいと思ったときに、お客さんとも直接会えて語学力も伸ばせる仕事がいいと思い、現地の語学学校のバリスタ・コースで学んでから、カフェで働き始めました。自分でも、こういうコーヒーが好きだなとか、意識が芽生え始めたのもその頃」
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いよいよコーヒーの世界に飛び込んで行った山田さん。オーストラリアを留学先に選んだことで、結果的にオージースタイルの、のびのびしたコーヒーカルチャーの洗礼を受けることに。
「どの店も街並みや自然に溶け込んで雰囲気がステキ。誰もが職場の近くや家の近所にもお気に入り店があって、コミュニティのようになっていたり。一日に何杯も外で飲むことも多く、コーヒーが日々の生活に溶け込んでいるんです」
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シングルオリジンのコーヒーは、ハンドドリップ。カフェラテ450円、プリン300円。コーヒーとお菓子のセットは50円引きで、こちらは700円に。
同時にシェアハウスで巡り合った人たちや、いろんな国の友人とも、楽しい生活が始まります。永住権を持って長年オーストラリアに住んでいる日本人女性や、男性同士のカップル。日々夕食を囲んだり。生き方の多様性を自然に学び、それが日々の活力に変わっていく。「血がつながっていない人たちと共同生活するのは、日本では想像できなかったけれど。家族みたいに安心できる存在として、いい時間を一緒に過ごせました」
その頃になると、オーストラリアに居続けるのもいいなと思ったり、一つの仕事を続けてく自信も付いてきたという。
「入り口は、語学力アップの為に現地の人々と関われる仕事がしたいと思ったことから。でも、いざコーヒーを淹れてみると、自らの手を動かしてものを作り、しかも人に喜んでもらえるということが楽しくて。この仕事ってとてもクリエイティブだと感じるようになって」
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そんなとき、たまたまインスタグラムでフォローしていたコーヒー焙煎師・青野啓資(ひろし)さんの書き込みで、バリスタの募集告知を見つける。青野さんは今のお店の系列でもある大阪の〈エンバンクメントコーヒー〉の所属。東京に新店を開くという話を見て、思い切って応募することにした。
「オーストラリアに居続けても良かったのだけれど、今度は日本語でお客さんと交流したくなったんです」
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「美大を出て就職したけど、自分の仕事がお客さんにどう届いているのかわからなかった。でも今は、目の前で反応がわかる。あと、コーヒー豆は生産者からバイヤーの人、焙煎師、いろんな人の手を経て、世界中からここに届く。最後の部分を自分が担当しているわけだから、下手なことはできない。それもこの仕事の好きな部分です」
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