お茶にもっと触れてみよう。
和紅茶の郷、注目の茶園〈長野園〉へ。

LEARN 2023.05.20

和紅茶の郷として最近話題を呼ぶ小さな茶どころ「さしま茶」。注目の茶園が営むカフェは入門編に最適。予約制で工場見学も。東京から車で1時間ほど、お茶を深く知る体験が待っています!

茨城県西部の利根川流域で育まれる「さしま茶」。このエリアが今、和紅茶の郷として注目を集めている。
 
その担い手の一軒が創業七十余年の茶園〈長野園〉。茶師の花水理夫さんが手がける和紅茶が、「国産紅茶グランプリ」や「プレミアムティコンテスト」などの品評会で続々と受賞し、五ツ星ホテルやミシュランの星を持つレストランなどで提供されているのだ。
 
そもそも昨今の和紅茶人気のきっかけの一つに、中国で製茶を学んだ発酵茶アドバイザーを中心に結成された和紅茶生産者グループ(名称:「CLUB-T」)の存在がある。それまで緑茶の延長線上にあった製茶法を見直し、中国や台湾の半発酵茶の手法を導入。芳醇な香りと澄んだ甘みを持つ新機軸の和紅茶を発表し、2019年頃からコンテストを席捲するように。花水さんもこのチームの一員であり、和紅茶の新章を開いた伊達役者といえる。
 
妻の晃子さんが店長を務める直営カフェ&ショップ〈chabaco〉もユニークだ。地元・境町とアルゼンチン共和国の交流の証として建てられた旧モンテネグロ会館の跡地で、旧会館の古材を活かした店舗デザインは〈隈研吾建築都市設計事務所〉が担当。店内では〈長野園〉の全商品が購入でき、同園の和紅茶や煎茶も最適な抽出で味わえる。晃子さんのコレクションという貴重な名窯のカップ&ソーサーで和紅茶を味わえるのもうれしいサプライズだ。そしてぜひ体験してほしいのが「紅茶のテイスティング」。プロの茶師が使う鑑定杯で茶葉を飲み比べるもので、品種や製茶法による味わいの豊かな違いや、濁りのない澄んだ液色の美しさに驚かされる。

「和紅茶は入口が大事。本気で作っているものとそうでないものの差がまだまだ大きいので、おいしい茶葉と出会ってほしい」と花水さん。「手前味噌になりますが、たとえばコンテストで入賞している茶園さんの茶葉を探すのも一つの目安になります。和紅茶の楽しさに触れる近道かと」
 
そして今年2月、花水さんは紅茶専用工場を新設。リクエストの多さから、製茶作業のオフシーズンに限り茶畑や工場の見学もスタートし、製茶の現場を学べる機会も広がった(予約制)。
「和紅茶は日本人が日本人のために日本で作ったもの。だから自分たちの味覚や食スタイルにも合う。そこに可能性を感じるし、和紅茶は今後ますます面白くなると思いますよ」

志を持つ作り手を訪ねるのは、お茶を知る最高の「入口」になるはずだ。

HOW TO APPLY|茶園見学の予約法

見学内容は予約時に相談を。
期間:8月~3月 費用:半日(1.5~2時間)33,000円、1日(4~5時間)55,000円 
参加人数:10名まで。
住所:茨城県猿島郡境町百戸554-1 長野園紅茶工場 
問い合わせ:naganoen@gmail.com

話題の和紅茶を発信する<長野園>のカフェを訪ねて。

photo : MEGUMI text : Yoko Fujimori

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