いいね!は社会の映し鏡。 カルチャー発ソーシャル行 Meet #2/
着服史+藤井 風テレビ with シソンヌ・ヒコロヒー CULTURE 2023.03.10

映画、小説、音楽、ドキュメンタリー…あらゆるカルチャーにはその時代の空気や変化が反映されています。そんな「社会の写し鏡」ともいえる、秀逸な作品を編集部Sが紹介。

アウェーの場でも“らしさ”を失わない藤井風。

「パーカにチェックマフラー。〝原付で迎えにいくよ〟コーデ」「馬主感あるな。乗馬クラブ御曹司コーデです」「〝おじいちゃんがヨウジヤマモトだったらいいのに〟、って本気で言ってた時期」「おシャレな民泊オーナー」。菅田将暉の私服&仕事服スナップを掲載した資料本『着服史』。231枚の写真それぞれにつけた本人コメントがまあ、どれも秀逸。お洒落の狙いや意図を明かすのはときに野暮になる危うさもあるが、まるで他人のことを評しているような語り口がおかしみと共感を呼ぶ。この優れた客観性があるから、俳優としてはもちろん、音楽という他ジャンルの表現に挑んでも、彼は常に〝彼らしく〟いられるのかもしれない。

『着服史』菅田将暉・著/5年間に着用した服のスナップを収録。表紙の菅田は永山瑛太による撮り下ろし。担当スタイリスト/ヘアメイク7人のインタビューも。(ワニブックス/1,980円)公式サイト

未知の場所でも自分を失わずに全うする、という意味では、『藤井 風テレビ with シソンヌ・ヒコロヒー』の藤井風も凄かった。シソンヌ、ヒコロヒーという、〝攻め〟と〝安定〟の両方の力を併せ持った芸人と、テレビというアウェーな空間でコントをする。無理ゲーにも程がある。が、しかし、藤井風はどこまでも藤井風のまま。「僕はお笑いもできるんですよ」みたいな虚栄心はなく、難しそうなときはヘルプを出すし、緊張も隠さない。とにかく好ましい。なんだろう、この感じ。誰もが自分をブランド化しようと力んでいる中で、〝うまくやろうとしないこと萌え〟(なんだそりゃ)みたいなことなのかも。

『藤井 風テレビ with シソンヌ・ヒコロヒー』(テレビ朝日系)/Track 1、2…とアルバムの体裁でコントと音楽がラインナップ。今年4月に2回放送。TELASAで配信中(2022年5月現在)。公式サイト

[今月の担当]編集部S/ドキュメンタリー好き。NHK『ふたりのディスタンス』の新垣結衣のナレーション、いいですよ。Twitter:@bakatono72

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