学びを活かし、装い、楽しいファッションブランド〈KAPOK KNOT〉/シナダユイ
学びを活かし、装い、楽しいファッションブランド〈KAPOK KNOT〉/シナダユイ

ハナコラボSDGsレポート 学びを活かし、装い、楽しいファッションブランド〈KAPOK KNOT〉|シナダユイ Learn 2023.01.18

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。今回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、木の実由来のサステナブルな素材を使ったアパレルブランド〈KAPOK KNOT〉代表の深井喜翔さんに話を伺いました。

〈KAPOK KNOT MIYASHITA PARK STORE〉。
〈KAPOK KNOT MIYASHITA PARK STORE〉。

「カポック」はインドネシアに自生する植物。木の実のために木を伐採する必要がなく、軽さや暖かさという機能面に優れています。このサステナブルな素材を実用化した、〈KAPOK KNOT〉の「エシカルダウンカポック®」を世に送り出すまでの背景を追いました(ハンター風)。

社会性と事業性の両立の可能性を秘めた「カポック」に出会うまで

〈KAPOK KNOT〉代表の深井喜翔さん。
〈KAPOK KNOT〉代表の深井喜翔さん。

ーーまずは、ブランドを立ち上げようという思いに至ったきっかけをお聞かせください。

「母の勧めで10歳の頃に〈NPO〉に入ったのですが、団体のテーマの一つが“サステナブルディベロップメント”で。教育として受けてきたバックボーンもあり、大学時代はソーシャルビジネスと言われる社会課題の解決と事業をどう両立していくのかに興味があり、学んでいく中で、私自身は『社会性と事業性を両立することがサステナブル』という答えにいきつきました。その頃に、そういうことをやっていきたいという関心が芽生えましたね。

ーー大学時代には、具体的にどのような学びがあったのでしょうか?

「大学時代の研修で覚えているのが、毎年、宮古島に行き、現地の障がいのある方々が作るほうれん草を売るというマーケティングの実践勉強です。そのとき、福祉学園の理事長に『障がい者の方が作ってるとは言わず、売れるようにしてくれ』って言われたんです。要はソーシャルだとそれを売りにしがちだけれど、本当にモノとして評価されるようなマーケティング策を考えてほしい。それが、本当に続くことだと思う…って言われたことに感銘を受けて。何かを言い訳にせずに、きちんとモノとして評価され続けるような市場、ブランドを作りたいと思いました」。

ーーそのような経験の中でブランドの方向性が作られたんですね。木の実由来にこだわったのは深井さん自身が動物福祉への思いが強いからなのかと。

「アニマルライツや地球環境の保全は大事なことだとわかってはいるけれど、継続して取り入れられていないという課題感がある。カポックならより多くの人が取り入れられるような素材であり、ファッション業界やサステナブルに興味がないという人たちでも取り入れられるポテンシャルがあるなと思ったんです。社会性と事業性の両立が前提として自分の中にあったからこそ、カポックに目をつけられたというのはあります」。

ーーカポックにはどのようにして出会ったのでしょうか?

「前職で大手繊維メーカーに勤めていた頃、繊維製品品質管理士の資格を取得して、勉強していたときに素材として知りました。出会いのエピソードに関しては、みなさん劇的なストーリーを期待されるのですが(笑)、座学だったんです」。

ーー山奥で出会ったという期待ですよね(笑)。なるほど、一度ご就職されていたんですね。

「家業が創業76年のアパレルで、父とはよく話をしていましたが、学生の頃は会社を継いで事業を成長させることが全てとは思えず、一度就職しました。その後家業に入り、先々のことも考えながら悶々としていたときに、改めてカポックという素材に可能性を感じ、『エシカルダウンカポック®』を開発しました」。

「Blur the line」…体験を通して、境界線を曖昧にしていく

特殊技術でうまれた「エシカルダウンカポック®」。
特殊技術でうまれた「エシカルダウンカポック®」。

ーー開発してすぐに店舗を持たれたのですか?

「構想は2018年末から始めて、2019年10月にブランドデビュー。店舗を持ったのは2021年1月です」。

ーーコロナ禍に初出店!そこから〈MIYASHITA PARK〉へ出店するまでのストーリーをオフィシャルサイトで拝読しましたが、慎重さもありながら実験的でおもしろいなと。実際どんな感じでしたか?

「やはり大変でした。リアル店舗に関しては挑戦したことがなかったので。正直、私たちもブランドがどれだけ世の中に広まるかわからなかったので、最初は遊休不動産(企業活動にほとんど使用されていない不動産のこと)を活用し、副業のメンバーでやっていたところ、次第に世の中で注目していただけるようになりました。昨年、ついにフルタイムのメンバーを増やしてもっと成長にコミットしようと出店を決意しました」。

ーーこれまでの出店先(日本橋店)に比べて若い世代が集まる、それも商業施設なわけですが、〈KAPOK KNOT〉の客層はどの世代が1番多いのでしょう?

「本当に幅広くて、1番最初のクラウドファンディングのときは20代〜50代。現在は10代のZ世代から80代の〈イッセイ ミヤケ〉が好きなハイセンスな方まで購入してくださいます。アパレルブランドのターゲットって、通常“●●代の〜のような人”で絞ると思いますが、私たちの場合は“サステナブルを無理なく取り入れたい人”。年代よりも思想やライフスタイルで絞っているため、幅広いお客様が来てくれているというのが現状です」。

ーーなるほど。

「ファッションを楽しめる状況の作り方や社会貢献の形が時代や世代によって違うだけで、〈KAPOK KNOT〉というブランドが媒介となって、こんな簡単に、気軽にサステナブルは取り入れられるのだな、と思ってもらえたら、その先にもっと色々な選択を気軽にとってもらえる社会が待っているのではないかと思っていて。そういうポジティブなパワーでのアップデートというのは人類全体でやらなければいけない。Z世代だけ変わっていけばいいみたいな気持ちではないですね」。

「KNOT LAB」の様子。素材の違いをクイズ形式で試せる。実際に触ってみると、カポックはほのかにあたたかい。※完全予約制
「KNOT LAB」の様子。素材の違いをクイズ形式で試せる。実際に触ってみると、カポックはほのかにあたたかい。※完全予約制
カポックのエシカルな魅力をより深く知ることができる。
カポックのエシカルな魅力をより深く知ることができる。

ーーそういった世代を超えてサステナブルに関心を持った人が体験できるラボがあるんですよね。

「はい。基本的に毎週やってるのは『KNOT LAB』というラボ形式での体験です。消費者と生産者って通常分かれていると思いますが、〈KAPOK KNOT〉のモノづくりの裏側を見せることで、食のように『この木の実を収穫している人は〜さんです』といった情報がわかるようにしています。あと、カポックとコットン、ウールの3つ素材を触ってみて『どれがカポックかわかりますか?』とか。そういう対話形式な要素も入れながら、ブランドや服作りの裏側を知る体験を提供しています。また、他のブランドさんとコラボで一緒にイベントをやることも。『服と○○の裏側』というテーマで、様々な角度からサステナブルを掘り下げる企画は大好評です」。

ーー実際に「ノットラボ」を体験しましたが、楽しかったです。コラボしていたジュエリーブランド(取材時は「GYPPHY(ジプフィー)」)も知ることができて良かったです。

「自分たちのモノ作りの観点だけでサステナブルな世界は実現できないと思う中で、憧れや楽しさなど、そういうものを含めて提案できているブランドさんとコラボレーションすることで、一緒に広げていけるような場を『KNOT LAB』や〈MIYASHITA PARK〉のラボスペースを中心にやっていきたいです」。

コラボも業界の境界線を越えて

読者向けにおすすめを聞いたところ、ユニセックスの「ポンチョコート(谷尻夫婦コラボ)」を挙げてくれました。
読者向けにおすすめを聞いたところ、ユニセックスの「ポンチョコート(谷尻夫婦コラボ)」を挙げてくれました。
二階堂ふみさんとのコラボレーション。
二階堂ふみさんとのコラボレーション。

ーーこれまでも女優の二階堂ふみさんや建築家の谷尻 誠さん夫婦など、私的にぐっとくるコラボが続いていて目が離せません。

「二階堂さんは本当にサステナブル、ヴィーガン、アニマルライツといった領域をきちんと配慮されていながら、ファッション業界でも認められている稀有な存在。私たちのような小さなブランドだけの力で理想の社会を実現するためにできることは限られています。一方、業界や専門領域に関わらず、同じ思想を持つ人と協力し、相乗効果でより大きな力を生み出すことで、理想の社会の実現により近づけると信じています」。

ーー何かつながりがあったのですか?

「あるとき、彼女が『衣装は動物性NG』とスタイリストさんにオファーしたのですが、人類の防寒着の歴史は、基本的に全て動物の剥ぐなどして寒さから身を守っていたので、大体がレザー、ファー、ダウンという動物由来。そんな中、〈KAPOK KNOT〉がスタイリストさんの耳に入り、二階堂さんも気に入ってくれて、自分で実際に購入してくれて。これはオファーしなければ!と、ご連絡させていただきました」。

ーーファッション性がとても高く、これを機に関心を持たれた方も多いかと。

「そうですね。とにかく反響が大きくて」。

ーー彼女自身にそういう背景があったことを私は知りませんでしたが、知的で、やはり表面的なコラボではない熱量を感じました。ブランドのイメージもそう感じますし、深井さん自身のお話も経営者の目線だなあと感じます。

「正直、これに関しては戦略的なところもあります。私自身が自分のできない領域をわかっていたというのは1個良かった点としてありますね。ビジネスサイドや繊維は理論立てて見られますが、ファッションというものに憧れを作り出す、ブランドを作るって日本のアパレルはみなさん苦労しているところで、任せられる人材、デザイナーと早い段階で一緒にできたのは非常に大きかったです」。

ーー最後に、店舗の印象的なカラーについて教えてください。

「2022年6月のリブランディングを機に、ブランドカラーにブルーを選びました。深みもあり、日本人としては藍染や藍に思い入れもあるし、“紺青(こんじょう)”の色言葉が『直感力』で。サステナブルって理論的で学びみたいなイメージがありますが、直感的にいいと思われるようなブランドにしたいなと思い、この色を選びました」。

ーー素敵です。直感的にも、論理的にも満たされました。

〈KAPOK KNOT〉

https://kapok-knot.com/

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