ハナコラボSDGsレポート 「サステナビリティ・ファースト」で社会実装する会社〈ユーグレナ〉|シナダユイ SUSTAINABLE 2022.10.02

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第76回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、〈ユーグレナ〉の広報宣伝部 部長・北見裕介さんに話を伺いました。

石油に代わるバイオ燃料にも!

SDGs 品田さん

ーー〈ユーグレナ〉のジェット機が飛んだという話題を見聞きして1番気になっています。藻(ユーグレナ)が食べ物になり、“バイオ燃料”にもなるなんて!エネルギー問題を解決できるようになったらすごいのではないか、ユーグレナは救世主になりうるんのではないかと勝手に期待しています(笑)。

「多分、いま1番〈ユーグレナ〉という会社を象徴する話だと思います。〈ユーグレナ〉は2020年にミドリムシの会社からアップデートして『サステナビリティ・ファースト』というフィロソフィーに変えました。その年に変えたのも、バイオ燃料のできること、できないことをきちんとお伝えしていくため。その中で、私たちは2020年4月にバイオ燃料のディーゼル、車でいう軽油相当のものを出荷し始めました。いままで普通に石油で走っていた車に入れて、そのまま走らせることができるんです」。

ーーえ!それってすごくないですか。

「いま普通の乗用車って、電気自動車・水素自動車など別の代替手段は見つかっていますが、例えばバスや大きな船は代替手段が見つかっていないんです。電気になると充電する頻度が高くなってしまう。その分野でニーズが高まっているのがバイオディーゼルです。もう一つがジェット燃料で、2021年6月に初めて空に飛ばしたのですが、これも昨日まで普通に飛んでいた飛行機に給油可能なASTMというアメリカの規格に沿ったものになります。もう5回以上飛ばしているんです」。

ーー電気自動車や水素みたいにチャージするためのステーションとかも作らなくていいですね。

「『サステナビリティ・ファースト』の話をさせてもらった理由は 、原料としてユーグレナの油脂と、使用済みの食用油の2種類を大きく使っているからです。使用済みの食用油100%で走らせるバイオ燃料を作る技術はヨーロッパで結構発達しています。ただ、藻類を使ったバイオ燃料はまだ未発達の分野で、当初藻類だけのバイオ燃料を私たちもチャレンジしていましたが、藻類だけにこだわりすぎて2030年に初めて出来たとしたらSDGsの達成年を超えてしまう。はやく作らなければいけないと考えて、いまある原材料の2つを複合して作ることに踏み切りました。バイオ燃料をなぜ〈ユーグレナ〉が国産で最初に出せているかは、こだわりを止めたから。1番、大事なことは作り、使える状況をつくることですよね。作って世に出さないと誰も使い始めない」。

ーーまずは世の中に送りだしたんですね。

「こういったイノベーションは日本にいっぱいあると思いますが、それが当たり前にならないと使える場面がなく、日常生活に浸透していかない。まずは、使える状態を作ることを優先にしました。実際、使ってみると『ああ、大丈夫なんだ』と思い、みなさんが色々なことにチャレンジし始めるので」。

広がり続けるユーグレナの力

ーー以前、牛の餌の研究で「ユーグレナを食べたら排出するメタンの量が減った」と新聞で読み、ユーグレナは色々な可能性を秘めてるなと。他にも、サステナビリティの分野で進めてることはありますか?

「飼料の業界でいうと、そのほかにも養殖が得意な会社にパートナーとして入ってもらいながら、三重県多気町で『多気サステナブル・サーモン』にチャレンジしました。佐賀県では農業をしています。化粧品も事業になっています」。

ーーそうですよね。実は今回話を伺ったきっかけは、〈ユーグレナ〉が発売したオーガニックコスメブランド〈lavita ORGANICS(ラビタ オーガニクス)〉の存在を知り、私も一気に距離感が縮まった気がしたからなんです。

「ユーグレナの研究開発は、培養する方法がわかってくると出来ることが一気に開けてくるんですよ。一つは食品としての利用。エキス、美容成分を抜き出すことができたのが化粧品。油分の部分をワックスエステルとして抽出してやるとバイオ燃料の原料になるし、さらにそれの廃棄する部分、バイオ燃料にしなかった部分とかを使えば農業で使えるみたいなことも始まってますし応用が一気に広がりだしたんです」。

ーーだから最近、よく見るようになったんですね。なぜ化粧品?と思っていました。

「〈CONC(コンク)〉という美容液も出していまして、これは〈lavita ORGANICS(ラビタ オーガニクス)〉より少し前に出したのですが、〈インテグリカルチャー〉さんという〈ユーグレナ〉も出資している細胞培養技術の研究に特化したスタートアップ企業なんです。〈ユーグレナ〉がスタートアップ企業から一定の規模まで事業を成長させることに成功したのであれば、そのノウハウを協業していくことで、他の企業も大きくなっていきます。“スタートアップが元気になっていくと、国が元気になっていく”という考え方で、技術力の支援をするファンドも作っています」。

ーーなるほど。

「イノベーションが社会実装(得られた研究成果を社会問題解決のために応用、展開すること)されないままになってしまうともったいないので、とにかく社会実装させていく。使える状態を作っていくことを大切にしています」。

ーー実におもしろいですね!ありがとうございました。

〈ユーグレナ〉

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