J SONGBOOK 日本の音楽を学ぼう! 女優・歌手 上白石萌音さんの私を創った音楽の歴史。『絢香さんと吉岡聖恵さんが私にとっての二大巨頭。』
令和の音楽シーンで活躍するミュージシャンたちは、どんな「日本の音楽」を聴いて育ってきたのか。記憶の最初にある音楽から、活動の原点まで、そのルーツに迫ります。今回は、女優・歌手の上白石萌音さんにお話を聞きました。7月28日(木)発売Hanako1211号「J SONGBOOK 日本の音楽を学ぼう!」よりお届けします。
大橋トリオさん、ハナレグミさん、ハンバート ハンバートさん、コトリンゴさん、GLIM SPANKYさん……大好きなアーティストは数え切れないほどたくさんいるんです。でもその中で、自分のルーツは誰だろうと考えると、絢香さんと吉岡聖恵さんが私にとっての二大巨頭だなって。小さいときって、両親の趣味趣向で音楽を聴くじゃないですか。それでいうと、邦楽があんまりかからない家だったんです。父も母も洋楽好きで、スティングとかABBAとかそういった音楽が流れていて。唯一流れていたのがMr.Children。とはいえ、日本の歌をまったく知らなかったわけではなく、流行ってる曲やみんなが歌ってる曲は知っていたんです。矢島美容室とか(笑)。
私は、8歳から10歳までの3年間、父の仕事の都合でメキシコに住んでいたんですが、あるとき、日本人のお友達の家の車に乗ったとき、絢香さんの「おかえり」がかかってて。それを聴いたとき、めちゃくちゃ郷愁に駆られたんです。うわあ、帰りたい、日本に帰りたいって。それまで日本に帰りたいと考えたことがなかったんです。メキシコの生活がすごく楽しくて。でも、なぜか、「おかえり」に心が動かされた。帰国後、親に「誕生日になにがほしい?」って聞かれたとき、絢香さんのベストアルバムをねだって買ってもらいました。
そして、いきものがかりさんに出会ったのは小6のとき。ちょうどその年のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲が「YELL」で、合唱クラブに入っていたので、どんな歌なのか聴いてみようとCDを借りてきたんです。打ち抜かれました。吉岡聖恵さんの声が本当に気持ち良くて、小学生の私にまっすぐ入ってきたんです。そこから、いきものがかりさんの曲を聴くようになって。私は、お仕事を始めたのが中1の終わりからだったので、人生がいちばん転換していった時期に、寄り添ってくれる音楽になりました。環境が変わって怖かったり不安だったりしたときに、聖恵さんの歌声に励まされて。なので「ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜」を聴くといまだにエモくなる。ありありと思い出すんです、あの頃のことを。
【J SONG HISTORY】
□音楽好きの両親のもと、洋楽ばかりを聴いて育つ。
□唯一ミスチルだけはヘビロテ。メキシコで楽しい日々を過ごしていた10歳の頃、絢香の「おかえり」を聴き郷愁に駆られる。
□小6のとき、いきものがかりのアルバムをレンタル。以降、吉岡聖恵が心の師に。
Profile…上白石萌音(かみしらいし・もね)
1998年、鹿児島県生まれ。女優・歌手。小さな頃から歌うことが大好きで、ミュージカル音楽にも造詣が深い。ニューアルバム『name』は、ハンバート ハンバートの佐藤良成、森山直太朗、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦と川上つよし、小林武史、MONGOL800のキヨサク、金子隆博など、上白石さんの大好きなアーティストが参加。