名建築好き、要チェック! 期間限定公開も!竣工100周年〈神戸商船三井ビル〉はレトロ好き必見の名建築。
神戸・旧居留地地区のランドマークのひとつである〈神戸商船三井ビル〉が竣工から100周年を迎えました。大正時代に建てられた大規模オフィスビルには、重厚感のある意匠や歴史を刻んだ痕跡が残されています。〈神戸商船三井ビル〉の内部はオフィスビルのため、普段は非公開ですが、期間限定で一部が一般公開されています!その見どころに加え、メディアのみに特別公開された内観も併せてレポートします。
重厚感のある外観。
〈神戸商船三井ビル〉は、当時の新進気鋭の建築家・渡辺節が設計しました。渡辺はのちに大阪の〈ダイビル本館〉や〈綿業会館〉を手がけ、近代建築の鬼才と呼ばれています。
1922(大正11)年竣工の建物は、大正時代に建てられた大規模なオフィスとしては、その当時の姿が見られるほぼ国内唯一の建物です。
テラコッタを外壁に使った日本初の建築。
外壁の下部は石積みになっており、上部にはテラコッタ(素焼きの建材)が使われています。
重厚感のある正面入口にも注目を。柱には曲線のレリーフが優雅なイメージを想起させます。また、第二次世界大戦の生々しい弾痕も見受けられ、歴史の生き証人の一面も残されています。
また歩道のガラスブロックは、地下への採光のために設計されたもの。どこかモダンな雰囲気が感じられますね。
当時の事務室の面影を残した1階フロア。
〈神戸商船三井ビル〉はもともと、大阪商船神戸支店として建設されました。当時、事務室として使われていたフロアは現在テナント利用されていますが、梁や柱などは当初のままの姿が残されています。
今だけ見学できる!レトロな花柄タイルに手動のエレベーターと見どころ満載なエントランス。
店舗以外のエリアは通常非公開ですが、5月31日(火)までの期間中、1階エントランスのみ見学できますよ!※平日9時〜16時のみ。見学は1階エントランスで受付。
まず注目したいのは、床の花柄タイル。大正当時の色合いがそのまま現代にも引き継がれています。
聖火リレーのトーチのような形を組み合わせた照明は、天井に星型の影を映し出し、さりげなくロマンチック。
そして特筆すべきは、今も現役の手動式エレベーター!どこの階にいるのか示してくれる案内板もクラシックですね。
今回のメディア向け内覧会では、特別に手動式エレベーターに乗らせていただきました。
普段は貨物用として利用するのみとのこと。熟練のスタッフがレバーを手動で動かします。乗っている最中はふつうのエレベーターと大差ありませんが、到着時の「ガタン!」という衝撃が思いのほか大きくてビックリ。
モダンな当時の面影を残すデザインたちにも注目。
今回の見学会では非公開となる建物の内部も特別に見せていただきました。
こちらは当時使われていた初代のポスト。今よりもコンパクトなサイズですが、趣深い味わいがありますね。
各階のエレベーターホールにはメールシュートがあり、当時はこちらに入れると先ほどのポストに手紙が集まる仕組みになっていました。
一部の階段には大理石を使っていて、木製の手すりといった部分にも気品あるデザインがなされています。
限定公開の今を見逃さないで!
戦災や震災での被害を被りつつも、現代にまで建物の価値をつなげる〈神戸商船三井ビル〉。
名建築が好きな人は、ぜひこの機会をお見逃しなく!
〈神戸商船三井ビル〉
■神戸市中央区海岸通5