Seattle Travel vol.2/美食Cityシアトルの旅レポート 西海岸の街・シアトルへ。アメリカ最古フードマーケットのフードツアーで、食い倒れてきた!
Amazon本社とともにグルメレベルも急成長を遂げている西海岸の街・シアトルの食を巡る旅。レポート2回目は、アメリカ最古の公設市場「Pike Place Market」でフードツアーに参戦し、食い倒れてきました!記事後半では西海岸で最も“ほっぺたが落ちる”クラムチャウダーも登場しますよ。
スターバックス1号店も!111年の歴史を誇る「Pike Place Market」
フードツアーの舞台は、1907年に誕生したアメリカ最古の公設市場として知られる「Pike Place Market」。シアトルのウォーターフロントにある9エイカー(約3万6414 m2 )の敷地には、約550店舗がひしめきあい観光客の胃袋をこれでもかと刺激してくるのであります。
フードツアー「SAVOR SEATTLE」はピンクの傘が目印!
「Pike Place Market」では毎日、旅行者向けに多くのフードツアーが開催されていて、今回私が参加した「SAVOR SEATTLE」のもその一つ。
ピンクの傘を目印に、ツアーガイドのジョンソンさん(アラスカ出身)が、広大なマーケットに点在する人気の7軒を2時間かけて案内してくれました。ツアーガイドは役者志望の若者が多く、みんなトークがお上手。こちらが英語が分からなくてもフレンドリーにどんどん話しかけてくれて、楽しい!
©Starbucks「Pike Place Market」にはあのスターバックスの世界第1号店も!
ちなみに「SAVOR SEATTLE」の集合場所、マーケットシアターには、有名なガムウォールが。シアターの上映時間を待つお客さんたちが壁に貼り付けたチューインガムは、いまや名物。
マーケット名物のフィッシュカンパニーでは……
なんと、スタッフがカウンターまで魚を(レジまで運ぶのが面倒なので)投げる、投げる! 店恒例のシーンに観光客は大喜び。
おいしいとこどりフードツアーがSTART!
〈1軒目〉ドーナツ店「Daily Dozen」
というわけで、早速フードツアー開始。まずは、スー&バーバラの姉妹二人が1985年にはじめたドーナツ屋さん「Daily Dozen」へGO。
口に入れると、古きよきアメリカのドーナツは、こんな素朴な味わいなのか!と感動が広がります。
〈2軒目〉ギリシアヨーグルト専門店「ELLENOS」
ローカルのミルクを使ったベリーとパッションフルーツのヨーグルトは、まるでチーズケーキのように濃厚で、鮮烈。
〈3軒目〉ハンドメイド・チーズ専門店「BEECHER’S」
長蛇の列ができていた「BEECHER’S」の店内では、チーズを作る一工程を見学することができます。
こちらは約36時間前まで牛のお腹にあったフレッシュなミルクで作った「チーズカード」。日本では聞き慣れないけど、チーズカードはフレッシュチーズの一種で、各種チーズの熟成前の状態で売られているものだそう。できたての新鮮なものでなければ食べられない、チーズ専門店だからこそ楽しめるメニューと言えます。
続いて、ジョンソンさんが持って来てくれたのは、マカロニの上にとろ〜りチーズをたっぷりかけた「マックアンドチーズ」。ペッパーが効いていて少しスパイシーな大人の味です。
〈4軒目〉ドライフルーツ専門店「チャッカチェリー」
4軒目は、今回旅をコーディネートしてくれた松田京子さんが「私の人生を変えたドライフルーツ!」とまで言い切る、ドライフルーツの専門店へ。ナチュラルな製法でつくったオーガニックのドライフルーツに、ローカルのチョコレートなどをコーティングしていて、美味しいだけじゃなく体にも優しいのが特徴。
連日大行列!シアトル発の絶品クラムチャウダーが生まれた意外な理由
〈5軒目〉私の一番のお気に入り!クラムチャウダー専門店「Pike Place Chowder」
そもそもクラムチャウダーはアメリカ東海岸で生まれた、牛乳をベースにしたクリームスープなのですが、どういうわけか西海岸にあるこの「Pike Place Chowder」は、東海岸の有名店も参加するアメリカ各地のクラムチャウダーのチャンピオンシップで優勝や入賞をかっさらっているというのです。一体どんなきっかけでこのクラムチャウダーは誕生したのでしょう?
店の前はこの行列!
もともと、「Pike Place Chowder」は、ウエストシアトルの小さなカフェからスタートしました。ある日、クラムチャウダーをカフェメニューの一つに加えようという話になり、オーナー、マネージャー、シェフが、MYレシピを試作してお客さんに人気投票を行ったところ……
「こんな旨いクラムチャウダーは食べたことがない!」
と圧倒的な評価を得てシェフのレシピがウィナーに。そのあまりの美味しさは、他のレシピがオーダーされなくなったという逸話があるほど。その後、順調にシーフードスープやクラムチャウダーのタイトルで記録を作り、シアトルで観光名所化するほどの伝説店へと成長したのです。
〈6軒目〉ピロシキ専門店「PIROSHKY, PIROSHKY」
続いては、本場ロシアよりも本格的なピロシキが食べられる⁉と噂の「PIROSHKY, PIROSHKY」へ。シナモンアップルなどのデザート系から、ビーフなどのお食事系までさまざまなピロシキが楽しめます。
実はこのお店、1982年にエストニア人のオーナーがオープンしたのですが、開店直前に資金不足となり、小麦粉とバターさえ買うことができない危機に見舞われた過去がありました。その際、お店の前にそっと1000ドルを置いてカンパしてくれた人物がいたそうなんです!
一体誰だろう? エストニア人オーナーが疑問に思っていたところ、その6年後に、実は同じマーケット内にある、ロシアのベーカリーショップのオーナー女性であることが判明しました。
ライバルになるかもしれないお店にも、惜しみなく優しい手を差し伸べる優しさよ。昔かっら、ずっと「Pike Place Market」は助け合いの心で成り立っていることが分かるエピソードです。
〈7軒目〉地元の超人気シェフが手がける「Etta’s Seafood Restaurant」
いよいよフードツアーもラスト。
シアトルで絶大な人気を誇り、マーケット内にも4店を構えるセレブリティシェフのトム・ダグラスさん特製クラブケーキを堪能しました。蟹やパン粉で作る東海岸のこの名物料理を、シアトルでヒットさせたときっかけとなった味です。マーケットに来たなら絶対に味わってほしい!
日本にもゆかりのある⁉市民による市民のためのマーケット
フードツアーが終わる頃にはお腹いっぱい! 長蛇の行列を横目に、ガイドのジョンソンさんが、サクッと試食用のフードを持ってきてくれるから、並ぶ必要がないのも時間の限られた旅人には嬉しかった。2時間ほどで7軒を効率的に巡れて味見もできて72ドルでした。もう、お得感しかないです。
そんな、「Pike Place Market」ですが、実は、マーケットの誕生には、日系人が大いに関係していました。その歴史を知れば、よりシアトルという街に親近感がもてると思うので最後にご紹介しましょう。
時は20世紀初頭。シアトル郊外に住む農民たちは個々に都心部へと農作物を売りにきていましたが、仲買い業者からの多額のコミッション(仲介手数料)に苦しめられていました。そこで、8人の勇敢なファーマーたちが自分たちでマーケットを開催したところ、1万人もの市民が押し寄せて商品は即完売。
「Pike Place Market」の人気っぷりを伝える当時の新聞
これが新聞で報道されると、他の農民たちも「自分たちで売れるんだ!」と仰天し、翌週の開催日には70人近くのファーマーたちが、マーケットで商売を始めました。これこそが、「Pike Place Market」の原点。
そして、当時マーケットに集まったファーマーたちの大半が日系移民だったのです。
マーケットの入り口にある黄金の豚「レイチェル」。触るとお金持ちになれるという都市伝説が
第二次世界大戦下では、日系人が強制収容所に送還されたためマーケットは閉鎖の危機に見舞われ、また、1970年代には取り壊し計画も浮上しましたが、いずれもシアトル市民の猛反対により、存続が決まりました。そして、いまや1日3万人の観光客が訪れるシアトルを代表するスポットとして人気を集めています。
85年当時、マーケットのタイルは1枚35ドルで販売。市民がタイルを購入して市民のためのマーケットを支えてきました。
ツアー情報はコチラ!
Pike Place Market Tour「Savor Seattle Food Tours」
■1501 Western Ave, Ste 301 Seattle
https://www.savorseattletours.com/
取材コーディネート:松田京子