使えば使うほど愛おしくなる。 京都〈essence kyoto〉で出会う、作家さんの器たち。
今をときめく人気作家たちの器がそろうのが、〈essence kyoto〉。あれもこれもと迷いに迷うこと必至。落ち着いて、店主夫妻の作家にまつわる話にも耳を傾けて、しっかり選んでね。3月28日(月)発売Hanako1207号「大銀座こそナンバーワン!」よりお届けします。
使うことで作り手と対話、手に取ることから始まる。
平安神宮や美術館などを擁する京都・岡崎エリア。その一角、琵琶湖疎水を望むしゃれた建物の2階にあるのが〈essence kyoto〉だ。ゆったりと落ち着いた空間に、ギャラリーのように器が並ぶ。小野哲平、赤木明登、二階堂明弘……。少しでも器に関心のある人が見たら、うれしくて小躍りしそうな人気作家ばかり。どうして、こんなに集められるのか。実はこの店、京都には縁もゆかりもなかった夫婦が開いた店だ。
夫の荒谷啓一さんは20年以上、主にアジアで暮らし、里恵さんとの結婚を機に帰国。「自分たちも仕事を通して成長しながら、一生続けられる仕事をと思って、好きだった器の店を開いたのです」と、啓一さん。簡単におっしゃるのだが、ただ好きだから、とできる店ではない。「日本のよさを伝える店にしたい。器だけでなく、お茶や和ろうそくもですね。だから、外国の方も多い京都がいいと思って」と、里恵さん。何も基盤がない中、作家とのコンタクトは、いってみれば当たって砕けろ方式。この人がいいとなったら、直接交渉していったという。「どの人にも僕たちの思いを聞いてもらって、また、いろいろと話をして置かせていただくことになったんです」。2人の熱意の賜物が、店のあちこちで光を放つ。
現在、扱っている作家は20人弱。日常に使える器を軸に、常設を中心に展開している。器は使ってこそわかる。手のひらで感じたり、唇で感じたり、そうして日々愛でるものだ。作家ものの器のよさって、どんなところにあるのだろう。「器は、作家の方が自分と向かい合い、深いところまで見つめてきた内面の反映なんです。お話を聞けば聞くほど、その深さがわかります」(Webサイトのインタビューより)と啓一さん。「器を使うことで、作家の思いが伝わってくる。だから、愛着が出てくるんです」と里恵さん。自由に器を手に取るだけでも、心が豊かになるような気がするはず。
Navigator…〈essence kyoto〉
京都器のほか、妻の里恵さんが手がける、信頼できる生産者のシングルオリジンの茶葉、唐紙工房〈かみ添〉に別注した唐紙の便箋なども並ぶ。
■京都府京都市左京区岡崎円勝寺町36-1 2F
■075-744-0680
■11:00~18:00月休(不定休あり。インスタグラム@essencekyoto参照)