ミネラルとカルシウム豊富な黒糖を普段のお料理に使ってみたい! お料理に黒糖を使おう!沖縄八島の黒糖を使ったメニュー&レシピ。

LEARN 2022.02.25

沖縄の砂糖といえば「黒糖」。ビタミン、ミネラル、カルシウムが豊富で、美容と健康に良いといわれています。しかし、コロナ禍の影響により黒糖の需要が減り、国内の沖縄黒糖消費量が減少。在庫が過去最多となり、製糖工場が閉鎖に追い込まれています。そんな黒糖を普段のお料理にも使えることを知ってほしいと「沖縄黒糖料理」イベントが〈八芳園〉で行われました。沖縄八島の「黒糖」の個性を生かして作られたメニューをレポートします。

まずは沖縄八島の「黒糖」そのものを食べ比べ!!

白金台 八芳園

同イベントでは、〈八芳園料亭「壺中庵 - KOCHUAN」〉の料理長 菅野譲治さんによる、「沖縄黒糖 特別ディナー」を味わいながら、黒糖を料理に活かすレシピやポイントなどを教えてもらいます。
黒糖は白糖にない栄養が摂れるので、料理に活かせば美容と健康に嬉しい効果が期待できます。毎日のコーヒー、紅茶、ホットミルクなどに入れて摂るのも◎。8種類もあるので、用途によって変えて楽しむのもおすすめ。

初めに、沖縄八島の「黒糖」そのものを食べ比べてみます。左から「伊江島」、「小浜島」、「多良間島」、「波照間島」、「粟国島」、「与那国島」、「伊平屋島」、「西表島」の沖縄八島黒糖を1つ1つ粒子や風味、コクなどの違いを味わいました。シュッ!と一瞬で溶けてしまう黒糖やポロポロ、サクサクとした食感の黒糖など、どれも個性的で同じものがないのが面白い。唯一同じというならば、どれも「黒糖」の味ではあることは確かなのですが(笑)。

黒糖の旨みを活かした「ドリンク&料理」をおうちでも楽しみたい!

白金台 八芳園

今回提供されたドリンクやお料理のレシピを料理長の菅野さんに教えてもらいました。
〈八芳園料亭「壺中庵 - KOCHUAN」〉の味がお家で楽しめるよう、代用品なども記載したので、ぜひ試してみてください。まずは、食前酒に出てきたカクテル2種から。

●パッションフルーツ×パイン (左)/ ドラゴンフルーツ×マンゴー (右)
沖縄黒糖と泡盛を使い、フルーツの甘味を生かした南国沖縄を感じられる食前酒2種。
生のトロピカルジュースと泡盛、粉タイプの黒糖をシェイカーに入れて振れば簡単に沖縄風トロピカルカクテルのできあがり。

白金台 八芳園

【西表島黒糖】
・前菜 「マングローブクラブと沖縄もずく 長芋 叩きオクラ 花穂 海ぶどう」
マングローブクラブは、いわゆる「ソフトシェルクラブ」で、揚げ物にすると香ばしくてとてもおいしいです。
お取り寄せできますが、身近なもので代用するとしたら、甘エビなどの小エビ(殻付き)もおすすめ。

A. マングローブクラブの唐揚げ
<材料>1人前
・ソフトシェルクラブ(マングローブ蟹)…1/4杯
・酒…6cc
・薄口醤油…6cc
・ぶぶあられ…10g(擂粉木鉢でする)

<調理工程>
1.冷凍状態のソフトシェルクラブを凍ったまま水で表面を洗い冷蔵庫内にて解凍する
→酒、薄口しょうゆに15分漬ける
2.ペパータオルで水気を取り、お好みにカットする
3.上新粉を全体にまぶし胴体の部分だけ溶いた小麦粉を付けその部分にぶぶあられを付着させておく。提供する直前に揚げて盛り付けて完成。

B. もずく酢
<材料>1人前
・沖縄もずく…33g
・出汁…20cc
・穀物酢…7cc
・濃口醬油…3cc
・沖縄黒糖…2g

<調理工程>
1.もずくを掃除し湯通しして水気を切る
2.もずく酢13ccで仮漬けする(一日)
3.仮漬けのもずくを本漬け(17cc)する

器にB(もずく酢)を盛りつけ、その上にA(唐揚げ)を乗せて完成

【伊平屋島黒糖】
・お椀 「アーサー仕立て 芋くずアンダギーに玉蜀黍」
紫いもと芋くず、玉蜀黍(とうもろこし)を混ぜ合わせたアンダギー(油で揚げたもの)とアーサーを、かつお節でとった出汁に浮かべます。

<材料>1人前
・紫芋…40g
・玉蜀黍(とうもろこし) 3g(粒状)
・黒糖(伊平屋島)…1g
・塩…少々
・芋くず…2g
・鰹節(血合い抜き)…5g
・昆布…4g
・アーサー(あおさ)…適量(乾燥しているもの)
・油…適量
・小麦粉…適量

<調理工程>
1.紫芋を蒸して裏漉し玉蜀黍と塩を混ぜ合わせ、芋くずを水で溶いた物でのばしていき丸く形を整える
2.(1)で作った物に小麦粉でまぶし160度の油で揚げる
3.300ccの水に昆布で出汁をとる。出汁が取れたら昆布を引き上げ鰹節を入れる(鰹の出汁が出たら濾す)
4.(3)で出来た鰹出汁に塩、薄口醬油で味を調えアーサー(乾燥の状態)を入れる
5.器に(2)で作ったアンダギーを入れ(4)の出汁を入れて完成

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【与那国島黒糖】
・おつくり 「カジキマグロと沖縄近海魚 与那国海塩と黒糖仕立ての柚子味噌」
近海魚は「イラブチャー」。代用は鯛やイサキなどの白身魚だと、沖縄料理っぽさが出せます。

<材料>1人前
・カジキマグロ…28g
・沖縄近海魚(イラブチャ―)…20g
・白味噌…10g
・黒糖(与那国島)…5g
・酢…5g
・柚子絞り汁…適量
・海塩(与那国島)…3g

<調理工程>
1.魚は卸して刺身に切りつける
2.白味噌と黒糖を鍋に入れ火にかけ混ぜる
3.黒糖がとけたら冷まし、酢と柚子の絞り汁と合わせる
4.(3)の柚子味噌を小皿につけ、(1)の刺身に添えたら完成

お肉はもちろん野菜や魚料理ともよく合う「辛みそ黒糖ダレ」。

白金台 八芳園

【粟国島黒糖】
・強肴 「アグー豚のローストと春野菜 辛みそ黒糖ダレ」
ローストされたアグー豚の香ばしい香りと、春野菜の香りをガラス製のクロッシュで封じ込め、食前にパッと開いて香りと共に味わいます。

<材料>1人前
・アグー豚…100g
・アスパラ…1本
・筍…8分の1本
・新じゃがいも…1個
・スナップエンドウ…1本
・芽キャベツ…1/2個
・蚕豆…2粒
・赤味噌…22.5g
・黒糖…12.5g
・酒…7.5g
・すり胡麻…7.5g
・濃口醬油…2.5g
・胡麻油…2.5g
・豆板醬…1g

<調理工程>
1.アグー豚は幅6センチにさく取りし、圧力なべで15分戻す(柔らかくする)
2.黒糖を酒に漬けて溶かし、赤味噌、すり胡麻、濃口醬油、胡麻油、豆板醤を合わせ鍋で少し練る
3.アスパラは固い部分を剥き、新じゃがいもは洗って蒸す
スナップエンドウ、芽キャベツ、筍、蚕豆は掃除して塩ボイルする
4.アスパラ、新じゃがいもを油で揚げる
5.(1)のアグー豚をフライパンでローストする
6.皿に(5)のアグー豚を切り出し、(3)(4)の野菜を盛り付ける
7.アグー豚、春野菜を盛り付けた上から(2)の味噌を掛けて完成

辛みそ黒糖ダレがアグー豚の甘い脂とよく合う。
辛みそ黒糖ダレがアグー豚の甘い脂とよく合う。
白金台 八芳園

●ゴーヤの×シークワーサー
おなじく沖縄黒糖と泡盛を使った、さっぱりと仕上げた食事にも合うカクテル。
今回「アグー豚のロースト」に合わせて出てきましたが、フライや天ぷらなどの脂っぽい食事と合わせると、食後もサッパリします。

薬膳効果もあるメニューにも黒糖を取り入れれば栄養価アップ!

白金台 八芳園

【波照間島黒糖】
・替鉢「アーラーミーバイと昆布の薬膳小鍋仕立て」
ミーバイの代用も鯛やハタがおすすめ。昆布は厚めでちょっぴり良いものを使うと豊かな風味が味わえます。

<材料>1人前
・アーラーミーバイ(大型ハタ)…60g 
・玉葱…28g
・昆布…18g
・九条葱…15g
・ドライナツメ…1粒
・クコの実…3粒
・煎り松の実…3粒
・露生姜…少々
・コーレーグース(調味料)…適量
・出汁…360cc
・薄口醬油…10cc
・黒糖…5g
・味醂…5cc
・塩…少々

<調理工程>
1.アーラーミーバイを切り出し、振り塩をする
2.ドライナツメ、クコの実を水で戻す、松の実はフライパンで乾煎りする
3.九条葱は細い笹打ち切りにして水でさらし、水から上げて山にしておく
4.鍋に出汁、薄口醬油、黒糖、味醂を合わせたものに(1)と昆布、ドライナツメを入れて炊く
5.玉葱をカットし(4)で炊いた出汁を入れ蒸し煮にする
6.(5)で蒸し煮にした出汁を再度(4)と合わせる
7.皿に盛り付け、お好みでコーレーグースを掛けて完成

白金台 八芳園

●「コーレーグース」
「コーレーグース」は、唐辛子を意味する沖縄方言で、島とうがらしを泡盛に漬け込んだ沖縄県の調味料です。「ソーキソバ」などの汁物をはじめ、「ゴーヤチャンプルー」などの沖縄料理に欠かせません。泡盛のクセはそれほど感じない……というか、感じられるほど味わっていられないくらい“激辛”なのでかけすぎに注意(笑)。

沖縄料理に欠かせないトロトロの角煮をのせたじゅーしーは絶品。

白金台 八芳園

【多良間島黒糖】
・食事「じゅーしー、白身魚のマース汁、昆布イチリー」
「じゅーしー」は炊き込みご飯のこと。ひじきや人参、干し椎茸を具に、出し汁で炊き込んだご飯に、トロトロに煮込まれた豚の角煮がのせられています。マース汁や昆布イリチーなどを添えるなど、おうちで作るのにも最適な3点です。

A. じゅーしー(混ぜご飯)
<材料>1人前
・豚…30g
・ひじき…5g
・干し椎茸…5g
・人参…5g
・万能ねぎ…適量
・出汁…適量
・米…一合
・水…200cc
・油…200cc
・濃口醤油…適量
・砂糖…適量
・みりん…適量

1.豚肉を圧力鍋に入れ、酒200ccと水200ccでもどす
2.ひじきをもどし、干し椎茸と人参は5mm各に切った後出汁で炊く(味つけはしない)
3.(2)で炊いた出汁14に対して濃口醤油1・みりん1の出汁をつくる
4.米1合を洗い、(3)で作った出汁1合を入れ、上にひじき・椎茸・人参を乗せて炊く
5.器に盛り付け、刻んだ万能ねぎを乗せる

B. 白身魚のマース汁
<材料>1人前
・おじさん…40g
・島豆腐…30g
・若芽…15g
・魚のあら…100g
・水…250cc
・昆布…3g
・塩…1g
・酒…3g
・薄口醬油…少々

<調理工程>
1.おじさんを3枚に卸し、身とあらを分けておく
2.身は軽く塩を振り、あらは熱湯で霜降りして
水、昆布で出汁を取る
3.(2)で出汁に霜降りした身を入れ豆腐、若芽を入れて少し炊く
4.(3)の出汁に塩、酒、薄口醬油を入れ味を調える
5.器に盛り付けて完成

C. 昆布イリチ―
<材料>1人前
・昆布…10g 戻したもの
・人参…10g
・薄揚げ…1/10枚
・薄口醬油…少々
・酒…少々
・砂糖…少々
・味醂…少々

<調理工程>
1.昆布は戻して5mm幅に、人参はマッチ棒サイズに切る、薄揚げは刻む
2.昆布は酒と砂糖で柔らかくなるまで煮る
3.(2)が柔らかくなったら人参、薄揚げを入れ薄口醬油で味を調える
4.上がりに味醂を入れ、10分程煮詰め水分をとばして完成

コーヒーと黒糖の相性を活かしたデザートも。

【小浜島黒糖】
・デザート「黒糖ラテゼリー きな粉クリーム」
「コーヒー×黒糖×きな粉」の相性バツグンな1品。この組み合わせを是非お菓子作りに活かしてほしいです。

A. コーヒーゼリー
<材料>10人前
・コーヒー豆…60g
・水…900cc
・黒糖(小浜島)…120g
・粉ゼラチン…10g
・水…50cc ※ゼラチンを戻す用

<調理工程>
1.コーヒーをコーヒーメーカーで落とす
2.コーヒーの出来上がりが約660ccなので水を800ccになるまで足す
3.コーヒーを鍋に入れ黒糖、ゼラチンを混ぜ溶かしながら、火にかける
☆沸騰させない温度にする、上がりは900cc
4.粗熱を取り容器に流す(1人前90cc)
5.冷却器に入れ固める
※食後のデザートサイズで1人前90ccですが、180ccにすれば通常サイズのデザート5人前になります。

B. ホイップクリーム
<材料>10人前
生クリーム(乳脂肪分35%のもの)…100cc
きな粉…20g
黒糖…10g ※粉末状のもの

<調理工程>
1.生クリーム・きな粉・グラニュー糖を混ぜ2分立てのホイップクリームを作る
(氷水をボールの下に敷き、ホイップする)
提供時にコーヒーゼリーの上にきなこ粉ホイップクリームを掛けて完成。

白金台 八芳園

【伊江島黒糖】
・デザート「黒糖ティラミス」
ティラミスも「コーヒー×黒糖」の組み合わせで作られています。黒糖はマスカルポーネなどのフレッシュチーズやクリームチーズと相性がよく、バスクチーズケーキなどのお菓子にもピッタリです。

A. 黒糖ビスキュイ

<材料>1人前
・卵黄…4g
・黒糖…2.4g
・トリモリン…0.3g
・卵白…6.4g
・グラニュー糖…4g
・薄力粉…3.4g
・強力粉…3.4g

<調理工程>
1.ほぐした卵黄、黒糖、トリモリンを混ぜる
2.卵白とグラニュー糖を泡立てる
3.ふるった薄力粉と強力粉を混ぜ合わせる
4.(1)と(2)を合わせて(3)の粉とまぜる
5.(4)をまとめてから、クッキングシートの上に、丸口をつかって、ティラミスを作る容器の長さに絞り出す
6.(5)の上に粉砂糖をふる
7.上段180℃、下段170℃(火力2/3)設定のオーブンで10分ほど焼く

B. 黒糖シロップ
<材料>1人前
・水…10g
・黒糖…6.4g
・ラム酒…0.9g
・オペラアンビ…2g
(水0.9/グラニュー糖0.9/コーヒー0.01)

<調理工程>
1.水と黒糖を鍋にいれて火にかけ黒糖を溶かす
2.火を止めて粗熱が取れたら、残りの材料を加えて混ぜる

C. 黒糖ティラミス
<材料>1人前
・卵黄…5.5g
・水…3.4g
・グラニュー糖…2.1g
・黒糖…2.1g
・マスカルポーネチーズ…17g
・生クリーム(乳脂肪35%のもの)…4g
・板ゼラチン…0.25g
・水(分量外)

<調理工程>
1.水、グラニュー糖、黒糖を鍋で温めて砂糖を溶かす
2.ボウルにほぐした卵黄を湯煎しながら、(1)を加えながら泡立てる
3.(2)にほぐしたマスカルポーネチーズを混ぜる
4.ふやかしたゼラチンを湯煎で溶かす
5.湯煎で温めながら、(3)の一部適量を(4)に加えて混ぜる(だまにならないように注意)
6.(5)を濾しながら(3)に加えて混ぜる
7.生クリームを7~8分に泡立て、(6)とまぜる

Aのビスキュイの半量を器(バットなど)の底に隙間なく敷く
Bのシロップの半量をかける
さらにCのティラミスの半量を乗せる
そのうえに、Aの残り、Bシロップ、Cティラミスをさらに重ねる

黒糖ときな粉(分量外)を好みの比率で合わせ、茶こしで仕上げに振って完成。

黒糖に含まれる天然のオリゴ糖「ラフィノース」が、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えくれます。また、便秘や肌荒れなどの肌トラブルも改善してくれたり、シミやそばかすを防ぐ美肌効果がありますので、毎日飲むコーヒーやお料理に使うのがおすすめ!ぜひ、沖縄料理作りにもチャレンジしてみてくださいね。

〈沖縄黒糖〉
公式サイト

〈八芳園料亭「壺中庵 - KOCHUAN」〉
公式サイト

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