それぞれのやりがいや思いをインタビュー。 「宇宙まわり」で働く女性たち。/宇宙キャスター、フリーアナウンサー・榎本麗美さん

LEARN 2022.01.18

一見、男性ばかりなのでは?という印象を持たれがちな宇宙業界。実は多くの女性たちが生き生きと活躍しているという。宇宙にまつわる仕事をしている方の、やりがいや思いとは?今回は、宇宙キャスター、フリーアナウンサー・榎本麗美さんにお話を伺いました。

宇宙に注ぐ情熱が、人生を切り拓いてくれた。

宇宙キャスター、フリーアナウンサー・榎本麗美さん

現在の肩書き“宇宙キャスター”は、榎本麗美さんの集大成。それを可能にしたのは、孤独でも宇宙への揺るぎない愛を持ち続けたことだった。「私のように宇宙好きの子どもは当時珍しく、宇宙キャスターと名乗って仲間ができるまでは、たった一人で宇宙と向き合っていたんです」。

宇宙に関連する化学や生物、物理に夢中になり、大学ではバイオサイエンスを専攻。卒業後、研究職に就こうと考えていたところ、高校時代の同級生に誘われてアナウンサー試験を受けることに。「何社も受けて諦めそうになると、ふと『宇宙』の2文字がよぎりました。宇宙の楽しさ、面白さを伝えたい!という一心で、地方局に内定。フリーになってからも『宇宙人』とあだ名がつくくらい宇宙の魅力を語っていましたが、変わり者だと思われていましたね」

宇宙の魅力を発信し続ける、たった一人のキャスター。

榎本さんを取り囲む空気がほんのりと変わったのは、2018年に“宇宙キャスター”と名乗り始めて少し経った頃。「当時は、ちょうどJAXAが宇宙ビジネスに力を入れ始めようとしている頃でした。出演する番組に出す企画書を、JAXAの方と相談しながら練り上げたら、採用してもらえたんです」。

それでも周りにはイロモノ扱いされたが、2020年11月、野口聡一宇宙飛行士が乗ったSPACEX社の宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げを特番で取り上げると、一気に認められるように。「どのメディアも、そのすごさに注目していないようだったので初めは自分のYouTubeで生配信をしようと思っていたんです。それをプロデューサーに話したら、番組にさせてくれて。宇宙の専門的なことはスタッフの皆さんはわからないので、私が事前資料を用意し勉強会を開き、台本を作って、構成まで決めました。そしたらみんな『宇宙キャスター、すごいじゃん!』と」

榎本さんがいま力を入れているのは、未来につながるコミュニティを作ること。「私が子どもの頃一人じゃなければ、違う未来があったかもしれません。ほんの少しのきっかけでメキメキと成長する子どもたちに、宇宙の面白さを知ってほしいなと思います」。地域密着型の公益財団法人「日本宇宙少年団(YAC)」では東京日本橋分団の分団長として旗を振り、宇宙飛行士を本気で目指す人たちが集う「めざせ!未来の宇宙飛行士講座」を開講中の、宇宙を楽しむコミュニティ「そらビ」でも代表を務める。「責任が大きくなると忘れがちですが、私が楽しんでいれば周りにも伝わるはず。ワクワクを大事にしていきたいです」

情報発信の必須アイテムと宇宙に持っていきたいもの。

【1】〈BEAMS〉製の宇宙服、ストップウォッチ、青ペンは宇宙キャスターとして必携。

【2】宇宙に持っていきたい食用コオロギと、自身が手掛けるアクセサリー「Uchury(ウチュリー)」。

Profile…榎本麗美(えのもと・れみ)

JAXA研究開発プログラム「J-SPARC」ナビゲーター、宇宙コミュニティ「そらビ」代表、YAC東京日本橋分団 分団長。

【BIOGRAPHY】
2005:大学は理工学部バイオサイエンス学科を卒業。西日本放送のアナウンサーに。

2007:フリーアナウンサーとして独立。

2013:『日テレNEWS24』のキャスターに就任。

2018:宇宙キャスターとして活動開始。2021:「宇宙キャスター」を商標登録。唯一無二の存在に。

(Hanako1204号掲載/photo : Shu Yamamoto, Wataru Kitao text : Kahoko Nishimura, Momoka Oba)

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