ROUND TABLE OF ART 【アートの円卓】12月5日~26日開催、目黒雅也『西荻窪をおさんぽして描く2 ~裏道編~』。
毎回、編集の大池明日香さんがアーティストと会って作品のことなど四方山話をします。本誌連載『アートの円卓』よりお届け。
本日のアーティスト…目黒雅也(めぐろ・まさや)
1977年東京・西荻窪生まれ。イラストレーター、絵本画家、新渡戸文化学園剣道教員。日本大学芸術学部卒業。歌人・枡野浩一との共作に絵本『あれたべたい』(あかね書房)などがある。
目黒:西荻窪で生まれ育ち、身近な題材として描き始めたのは一昨年の10月頃です。SNSに絵を投稿したら、街の人からも描いてほしいと言われることが増えて評判が良くて。それまでは人間を描くことが苦手な部分がありましたが、喫茶店や酒場にいる「嫌だなぁ」と思うような人をあえて描いてみたら、意外と味のあるキャラクターになって面白くなりました。
大池:目黒さんのフィルターを通した西荻窪が楽しいですね。もともと絵を目指していたんですか?
目黒:日大の付属校で美術の先生が、僕の絵を評価してくれて「日芸には学友の安西水丸がいるから」と勧めてくれて進学したんです。ある時、大学の絵の講評会で批判すらされない最悪の評価を受けた後、残っていた安西先生が「君はイラストレーションをやった方がいい、可能性を感じる」と言ってくれて、そうしようかなと。安西先生もかつて剣道をやっていたり、西荻にも取材に来ていて、波長が合ってかわいがってもらいました。
大池:いい話ですね。イラスト以外に剣道もやっているんですか?
目黒:縁があって20年くらい子どもたちに指導をしています。剣道の教員と同じ頃にイラストの仕事も始めたので、二足の草わらじ鞋で。絵のモチーフはいつも写真に撮りますが、忠実に下描きして、筋書き通りやろうとすると失敗したりするんですよね。ある程度、筋道が見えたら、あとはアドリブでやるといいというのは、剣道にも通じるところがあります。絵も描き始めてから手を動かして終わるまでのバランス感覚や瞬発力が大切。何日も何時間もかけていると、実際のモチーフから受けた感動が薄らいでしまう気がします。
大池:今回はどんな展示を?
目黒:西荻には小規模で質の高い店が多いです。これまでは人気スポットばかりでしたが、今回は普段から通るけれどあまり目立たない裏道のような風景を10㎝四方の小さなキャンバスに描きました。その場所を知っている人に、ピンポイントで刺さればいいかなと。
目黒雅也『西荻窪をおさんぽして描く2 ~裏道編~』
西荻窪を描いた新作を約60点展示予定。12月5日~26日、西荻窪のブックショップ〈BREWBOOKS〉で開催。
■東京都杉並区西荻南3-4-5
■12:00~22:00(日祝~20:00)月、第2・4火休
Navigator…大池明日香(おおち・あすか)
編集・執筆・展示など。東京の東と、酒が好き。『アメトーーク』の「ビビリ-1グランプリ」来年も楽しみにしてます!