天ぷらの名店が五感で楽しみ、学べる”体験型”天ぷらコースを展開! 食べながら学べる!〈天ぷら 銀座おのでら〉の新感覚食べ比べコースへ。
いまからおよそ500年前にポルトガルから渡来し、日本で独自の進化を遂げた和食の代表料理・天ぷら。食材に衣をつけて油で揚げるという一見シンプルな調理法ですが、食材の仕込みや衣の種類、揚げ時間などの調整をすることで味に変化も生まれる奥深い料理でもあります。そんな天ぷらの奥深さを体感できるコースが〈天ぷら 銀座おのでら〉より登場!早速体験してきました。
天ぷら職人の技を間近で見て、楽しめる〈天ぷら 銀座おのでら〉。
〈天ぷら 銀座おのでら〉は、東京・銀座に本店を構える〈銀座おのでら〉店舗の一つで、ほかにも鮨、鉄板焼・薪焼の業態も展開。「銀座から世界へ」をコンセプトに、食を通じて洗練された日本文化を世界中に広げていくことをコンセプトにしており、『ミシュランガイド東京 2021』にて星を獲得した店舗もあるなど食通に愛される飲食グループとして知られています。
今回伺った〈天ぷら 銀座おのでら 並木通り店〉はカウンター席のみで、どの席も職人との会話を楽しめるつくりです。使用する食材も日本の四季を意識した旬の新鮮な魚介類や野菜に厳選。洗練された技とおもてなしで特別感のある食事を楽しむことができます。
料理長の鈴木芳和氏は、この道17年以上のベテラン天ぷら職人。和食店〈なだ万〉の天ぷら部門に配属され6年修業したのち、別の和食店を経験。食べ歩きで出合った〈天ぷら 銀座おのでら〉の味に惚れ込み門戸を叩き、今ではそんな同店の料理長を務めるまでになった人物です。
食材の品種の違いや調理の違いを食べ比べて学ぶ、天ぷらの魅力。
そんな〈天ぷら 銀座おのでら 並木通り店〉では、「天ぷらの魅力をもっと知ってほしい」という想いから天ぷらにまつわる「知恵」や「工夫」、「科学」そして「未来」について、おいしいコース料理を食べながら、学ぶことができる特別なコースの提供をスタート。それが「新感覚食べ比べコース」です。コースでは使用する食材の品種の違いや、調理方法の違い、カットの違いや揚げ方の違いなどによってどのような味の変化が生まれるかを、食べ比べて学べるようになっています。ちなみに訪れるタイミングによって使用される季節の食材や、食べ比べの内容も少し変わるようです。
食べ比べの前に、〈天ぷら 銀座おのでら〉名物の先付けである揚げ胡麻豆腐が提供されました。こちらは嶺岡豆腐として知られる牛乳と生クリーム入りの胡麻豆腐なのですが、同店では葛粉ではなくタピオカ粉を加えることで、よりモチモチとした食感に仕上げています。フワフワ&モッチリ食感で、やさしい胡麻と出汁の味わいが体にじんわりしみ渡りました。
車海老は「刺身」「天ぷら」「熟成天ぷら」という調理法の違いで食べ比べ。
この日は熊本県産車海老の食べ比べからスタート。身を使用する前に、海老の足部分も唐揚げにして提供いただけました。カリカリで海老煎餅のように香ばしく濃い海老の香りが魅力的です。
まずはシンプルにお刺身で。さっきまで生きていた海老を捌いたものなので、口の中で押し返してくるようなプリップリの弾力とねっとりとした甘さを感じます。
続いて捌きたての車海老を使った天ぷらをいただきます。刺身でも十分甘さを感じたのですが、火入れしたことでより甘みが引き出されていました。刺身のようなねっとりとした食感ではないもののフレッシュ感も残っていて、噛むほどに甘さが感じられます。
そして車海老の天ぷらはもう一つ用意されていました。それが一晩そのまま寝かせた車海老を使った天ぷら。捌きたての車海老に比べると少し見た目も縮んでいるような?食べてみるとより寝かせることで甘さがギュッと凝縮されていて、先程のものよりも甘く感じます。同じ食材でもここまで味わいが違ってくるとは!
ちなみに天ぷらにつける塩は、ドイツ原産のクリスタルロックソルトという天然岩塩を削ったもの。数千年以上前に自然が生み出した岩塩のため、不純物が少なく角の取れた塩味で、食材の味を引き出してくれるとか。もちろん天つゆも自家製です。
天ぷらに使用される小麦粉は、スーパーバイオレットという品種を使用。使う前に乾燥させるため冷蔵庫に入れているそうです。
天ぷらの揚げ油は太白胡麻油と綿実油をミックスして使用。太白胡麻油のうま味と、綿実油の軽やかさが合わさり、食べ応えはありつつもコースを一通り食べてももたれない天ぷらに仕上げているそうです。
とうもろこしは「品種」の違いを天ぷらで食べ比べ。
続いてはいま旬を迎えつつあるとうもろこしを、品種の違いで食べ比べです。使用されるのは見た目が白いホワイトショコラと、黄色いゴールドラッシュという品種。
ゴールドラッシュは、とうもろこしっぽいシャキシャキ感と、フレッシュでジューシーな甘さが特徴的。一方ホワイトショコラは、ほんのりですが後味にチョコレートや洋菓子のような甘さを感じました。どちらをより甘く感じるかは個人差があるようですが、私は甘さの質が違い、また粒立ちはゴールドラッシュの方が際立っているように思いました。
ナスは「天ぷら」と「一品料理」という調理法の違いで食べ比べ。
続いては夏野菜の旗手・ナスです。今回はとっても大きな熊本県産の赤ナスを、調理法の違いで食べ比べました。〈天ぷら 銀座おのでら 並木通り店〉には天ぷら職人の鈴木氏だけでなく、和食を担当する料理人も在籍しており、今回この食べ比べではお二人の料理勝負のような様相を呈していました。
まずは赤ナスを和食の一品料理に仕立てた、焼きナスのお浸しに松阪牛の炙りをのせたものから。薄切りの松阪牛は炙ってから甘塩っぱいタレにくぐらせていて、焼きナスは出汁をしっかり吸っていて、両者のうま味がジュワ〜っと口の中であふれます。ナスと松阪牛の間に仕込まれた花山椒もピリリとアクセントになっていて、牛肉の脂っぽさを軽減してくれていました。これは、贅沢でおいしい!
一方こちらは分厚くカットされた赤ナスを揚げた天ぷら。一見硬そうにも見えますが、火入れが絶妙なのかフワシュワ食感でびっくり。衣はカリカリなのに、中ははんぺんのような食感で、揚げ油とナスの相性の良さを感じずにはいられません。ナスという食材を主役にした勝負でいうと、天ぷらの勝ちかもしれませんね。
金目鯛は「刺身」と「天ぷら」という調理の違いで食べ比べ。
今回のコースで印象的だったのが、金目鯛の食べ比べ。まずは金目鯛のお刺身を、泡醤油につけていただきました。身はプリッと弾力があり、噛むほどにじんわりと甘い脂の味わいが感じられ、炙られた皮目の香ばしさと身の弾力という食感のコントラストも魅力的です。
そして魚の天ぷらにしては珍しい金目鯛の天ぷら。一般的に金目鯛は脂身が多いことから天ぷらに向かないと考えられていますが、鈴木氏は試行錯誤を繰り返し皮目を炙ってから高温でサッと揚げ、余熱でレアに仕上げることで、金目鯛のおいしさを天ぷらでも引き出すことができたと言います。
確かに皮目は歯切れよく、身はホロリとした食感でとてもやわらかく、金目鯛本来の香りが豊かで脂のくどさも感じません。トッピングされた大根の鬼おろしと土佐醤油でさっぱりといただけるほか、スダチも合わせてくれているのでこちらもたっぷり絞っていただくことで、より清涼感たっぷりにいただけました。
鈴木氏のスペシャリテ?! ウニは「生ウニのせ揚げ海苔」と「ウニの大葉包み揚げ」で食べ比べ。
鈴木氏の手腕が一番光っていた、いわばスペシャリテとも言えそうな一品がウニの天ぷらです。こちらは生ウニをトッピングした天ぷらと、ウニを大葉に包んで揚げたもので食べ比べです。揚げた海苔の上に生のウニをのせたこちらは、名古屋にある有名天ぷら店のメニューをリスペクトして作った一品。鮨屋でも使われるような香り高い高級海苔の天ぷらと、なめらかに舌の上でとろける生ウニの苦味や甘みがしっかりマッチしていました。
もう一つが鈴木氏考案のウニ天ぷら。大葉でウニを包んでからサッと揚げて天ぷらにしています。火入れすることでウニが驚くほど甘くなっているのですが、中心部はレアな仕上がりのためパサつきもなく、クリーミーな味わいが官能的でした。そんなウニに爽やかなアクセントを加えてくれる大葉も名脇役。このウニの天ぷらを食べるためだけにも、この店に訪れたいほどです。
締めは「天丼」と「天茶漬け」で食べ比べ。
締めはかき揚げの天ぷらを使った「天丼」とそこにお出汁をまわしかけた「天茶漬け」で食べ比べ。レンコンやマイタケ、エビなどさまざまな食材を使ったミニかき揚げは、食感も味わいもバラエティ豊かで小さいポーションながらも食べ応えがあります。
天茶漬けは、和風出汁に煎茶と塩を加えた特製出汁を天丼にまわしかけていただきます。天ぷらのうま味がお出汁に溶け出し、これまた締めにピッタリ。お出汁に煎茶を使っているからか、後味がスッキリしているように感じました。
このほかにも天ぷらを基点にした珠玉の食べ比べメニューが、訪れるタイミングによって少しずつ異なりながら提供されるようです。
こちらの「新感覚食べ比べコース」は現在〈Makuake〉限定で予約受付中のため、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか?
〈天ぷら 銀座おのでら 並木通り店〉
■東京都中央区銀座8-5-10 金成ビル6F
■03-6264-5738
■11:30〜15:30(13:30最終入店&LO)、17:00〜20:00(最終入店18:00、19:00LO)
■無休
■新感覚食べ比べコース詳細ページ