本場でもめったに食べられない本来の回族伝統料理を広尾で。 身体にやさしい〈蘭州料理 ザムザムの泉〉の新メニューと夏の麺。
2021年初めに埼玉の西川口から広尾に移転した〈蘭州料理 ザムザムの泉〉。中国の西北部にある甘粛省蘭州市に住む少数民族、回族に伝わる伝統料理が食べられるお店です。牛肉麺「逸品伝統牛肉麺」が代表的なメニューですが、移転して以降、お店は第二章として進化。蘭州料理の考えや文化、おいしさに触れられる新しいメニューと夏に食べたい「涼麺」が登場しました。
イスラム教徒の回族が作る薬膳たっぷりの清真食(ハラルフード)。
広尾にある〈蘭州料理 ザムザムの泉〉は中国の西北部にある甘粛省蘭州市に住む少数民族、回族の職人が作る伝統料理を食べられる日本では貴重なお店です。イスラム教を信仰する回族は、信仰に基づいた清真食(ハラルフード)を食べるため、独特の食文化が発達。また、ハラルにはイスラムの決まりに対する「合法的なもの」という意味があると同時に、健康的、清潔、そして安全という意味もあります。
回族の料理には花椒や八角、桂皮(シナモン)、小茴香 (フェンネル)など漢方薬にも使われるスパイス、つまり薬膳が贅沢に使われることも特徴です。全ての料理にセットになっているお茶、「三泡台(サンパオタイ)」も回族の伝統的な中国茶で、美容にいいといわれるナツメやクコの実、干し葡萄などのドライフルーツが入って、氷砂糖で甘味が加えられています。
新メニューは肉や野菜がたっぷり入った手の込んだ煮込み料理。
〈蘭州料理 ザムザムの泉〉はこれまで「逸品伝統牛肉麺」が中心のメニューでしたが、蘭州料理の新しいメニューが加わりました。「Meigui」と名付けられたセットメニューで、古くから回族に伝わる煮込み料理をメインに小皿やご飯、スープ、デザートも付きます。
まずは水餃子「牛肉水餃」か食べるのがおすすめ。皮はもちろん手作りで、表面はつるんとしていてもっちり食感。豚肉ではなく、牛肉が入っている点も独特です。
前菜の「蘭州開胃涼菜」も、カウンター内の厨房で注文を受けてから味付けをします。この日はきゅうりやヤングコーンが使われていましたが、野菜のシャキシャキとした食感が感じられるように気を配られています。
メインの煮込み料理は具沢山で豪華。牛の塊肉と肉団子、厚揚げ、キクラゲの他季節の野菜もたっぷり。春雨も入っているので、スープと一緒に麺を食べたい気持ちにも応えてくれます。
「Meigui」は日本の女性はグルテンを気にする人が多いからという配慮からご飯がセットになっています。日本の米をいくつも試した結果、粒の弾力などから新潟産のコシヒカリが採用されました。煮込みに使うスープは、何種類もの薬膳素材が使われているので、冷え性の人にもおすすめです。
たくさん使われている素材は、どれも味がしっかり染みているのに、食感への気配りも感じられます。今回煮込み料理に入っていた中では、じゃがいもの切り方と火の通し方の絶妙さに驚きました。
デザートの「蘭州甜品」はさっぱりした甘さのシロップに梨を入れたもの。こちらも美容にいいといわれるくこの実とナツメヤシ入り。デザートに限らず、蘭州料理は熱々やキンと冷たい料理が提供されることはありません。それは、身体への負担の配慮なんだとか。
これからの暑い季節に身体に馴染む「涼麺」。
これからの気温の上がる季節には「涼麺」が6月11日から登場。こちらも体に馴染む温度で提供されます。こちらも具は、牛肉のほか、厚揚げ、キクラゲと季節の野菜がたっぷり。自家製のゴマペーストを加えたまろやかさも特徴です。
もちろん麺は注文を受けてからの手打ち。「逸品伝統蘭州牛肉麺」は麺は5種類の太さから選ぶことができますが、「涼麺」は「寛韮葉(クァンジゥイェ)」というニラの葉より少し広いものが使われます。
〈蘭州料理 ザムザムの泉〉では、国産のハラル牛肉の他、野菜も厳選した材料が使われているだけでなく、黒酢以外は「涼麺」に使うゴマペーストや辣油まで、すべて手作りしています。品質のよい食材が手に入りやすい日本だから、今では本場蘭州では滅多に食べられないレベルの、昔ながらの味わい深い蘭州料理が実現できているとのこと。
〈蘭州料理 ザムザムの泉〉のレシピは、蘭州でレストランを運営する家族が、味を継承する子孫だけにレシピを伝えてきた、いわば門外不出の味ばかり。ハラルの考えに則って丁寧に作られた貴重な料理と異文化体験ができる広尾の〈蘭州料理 ザムザムの泉〉に出かけてみてはいかがでしょうか?
〈ザムザムの泉〉
■東京都渋谷区広尾5-8-13 グランディール広尾 1F
■11:00~15:00、17:00~20:00(土日16:00~)
■月火休
※2021年6月20日までは月〜木休。詳しくはお店のInstagramをご確認ください。
■公式インスタグラム