BARをもっと、カジュアルに。 大手町〈VIRTU〉のバーテンダー・今井 敏雄さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜
お酒業界での広報歴11年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第19回目の登場は、大手町〈VIRTU(ヴェルテュ)〉のバーテンダー、今井 敏雄さんです。今年9月に開業したばかりの〈フォーシーズンズホテル東京大手町〉のメインバーを、今回は連載初、ハナコラボ パートナーの今井未央さん、江森瞳さんに体験していただきました。
本日のバーテンダーは…今井 敏雄さん
今井 敏雄
■バーテンダー歴:12年
■生年月日:1985年2月21日
■星座:魚座
■血液型:O型
■趣味:旅行。前職場の系列のホテルでステイしたバリが印象に残ってます。
今井 敏雄さんがバーテンダーの仕事を知ったのは、ホテルで宴会業務についたとき。その後、〈シャングリラホテル東京〉、〈リッツカールトン東京〉、そして〈アマン東京〉のオープニングでヘッドバーテンダーを務めるなど、外資系ホテルのバーを渡り歩き、〈フォーシーズンズホテル東京大手町〉のメインバー〈VIRTU〉のアシスタントマネージャーに就任しました。外資系ホテルのホスピタリティをよく知る今井さんに、ハナコラボ パートナーの2人とバーの楽しみ方を直撃します。
バーテンダーさんには話しかけていいの?
江森「誰かと一緒に行く以外、一人でバーに行くことがなくて。バーテンダーさんと話したことはほとんどないのですが、バーテンダーさんって話しかけていいんですね」。
児島「カウンターに座ったら、タイミングをみてバーテンダーさんに話しかけてまったく問題ないですよ。特にホテルバーは一見さんも多いですし、常連でなくても話しやすいかなと思います。旅先でもまずホテルバーでいろいろと街のことを教えてもらうのはおすすめです」。
今井バーテンダー「バーにいらした方は何かを求めてきていると思っています。お酒を求めるのはもちろん、お話しがしたくていらっしゃる方もいる。そういう想いにお応えしていくのがバーテンダーの仕事の8割だと思っています」。
江森「もの寂しげな雰囲気…みたいな女性が来たときも話しかけてくれますか?」
今井バーテンダー「声をかけると思います!なにかあったときも安心していらしてくださいね」。
どんなオーダーが正解?
今井未央「私、言ってみたいなと思うのが、“私のイメージで作ってください”というオーダー。ちなみに私のイメージだとどんなカクテルになりますか?」
今井バーテンダー「おまかせってバーテンダーには難しくて。ヒントが欲しいってなりますね。今井さんの印象としては、華やかで明るいので、フルーツを使ったカクテルにちょっと花をあしらったりとか、あと洋服の色と合わせたりしますね」。
江森「私はカクテルがまったく分からないので、なにかお茶っぽい、飲みやすいのくださいと言ったりします。これっていいオーダーですか?」
今井バーテンダー「いいオーダーです。味わいの好みはすごくいいヒントになります」。
印象に残っているお客様は?
今井未央「過去に忘れられないお客様っていますか?強烈に印象に残っているような」。
今井バーテンダー「23、24歳のときですかね。一通りバーテンダーの仕事ができるようになって、自信をつけてきたときです。あるオーダーをされた女性のお客様にカクテルをお出ししたのですが、初めて“おいしくない”って言われたんです。自分としては天狗になっていたなあと。お出しするカクテルがそのお客様に提供できる最後になるかもしれないという気持ちで出すようにと先輩から教わってきていたのに…、と初心に返るきっかけとなりました。そのカクテルが『マンハッタン』なのですが、いまでも出すときに少し緊張しますね」。
児島「これは逆に、今井さんの『マンハッタン』を頼んでみたくなりますね」。
今井バーテンダー「後ほどお出ししますね。あの頃よりはおいしいはずです!」
バーテンダーはカクテルに名前をつけられるの?
江森「味が決まった!というときに、作ったカクテルに自分で名前をつけることもあるんですか?」
児島「バーテンダーさん個人から生まれているカクテルってたくさんあるんですよ。例えば『マルガリータ』。これは流れ弾にあたって亡くなってしまった恋人のために、ロサンゼルスのジャン・デュレッサーというバーテンダーさんが作ったカクテルです」。
今井バーテンダー「自分の作ったカクテルが後世に残っていくというのは、バーテンダーの夢ですよね。お店のオリジナルのカクテルメニューは作っていますが、それを残していくというのは難しいです。〈VIRTU〉では入口にライブラリーがあるのですが、そこに今後、1年を前半・後半に分けて『上』『下』とメニュー本を収めていきます。これを今後も続けていき、長く残っていくカクテルができたらいいなと思っています」。
ここでNYからゲストが登場!
今井バーテンダー「実はこの情勢下で日本に来れていないヘッドバーテンダーがいるんです。開業まで毎日恋人のように電話をしていて。いま繋いでもいいですか?」
3人「ぜひ」。
ジョシュア「もしもし」。
3人「日本語だ!もしもし」。
ジョシュア「日本には留学していたことがあるんです!このバーのコンセプトやカクテルを作ったジョシュアです。バーのコンセプトは”Paris meets Tokyo”。1920年代のパリに日本の要素をいれてカクテルを作りました」。
児島「今井さんとの協業はどうでしたか?」
ジョシュア「西洋と日本の出会いのコンセプトなので、日本人バーテンダーとのコラボレーションはすごくよかったと思います。日本の素材や考え方についてたくさん教えてもらいました」。
児島「どんな風にバーを楽しんでほしいですか?」
ジョシュア「39Fにあるので、眺望も楽しめるバーです。そして、1920年のパリというテーマでもあるのでタイムレスな空間だと思います。ぜひ“Be in the moment”、その瞬間を楽しむということを体験してほしいです」。
3人「いつか直接お会いできますように!ありがとうございました」。
今井さんの今後の夢は?
児島「今井さんのバーテンダーとしての今後の夢はありますか?」
今井バーテンダー「バー業界でのミシュランのような“ワールドベスト50”というランキングがあります。いまのチームで団結して、アジアでのランキングにランクインすることが夢ですね」。
児島「ソウルのフォーシーズンズのバー〈Charles H. Bar〉はアジアのランキングに入っていますよね!看板がなくて、階段の下の非常扉を開けるとすごくスタイリッシュなバーが現れるという。確かにこちらのバーもランクインしそうですね。楽しみです!」
ハナコラボ パートナー2人の感想は?
今井未央「バーには行くけど、カクテルにちゃんと向き合ったことがなかったなと。カクテルにはバーテンダーさんの想いがたくさん込められていることが分かっておもしろかったです。これからはバーテンダーさんやカクテルにも注目していきます」。
江森「バーテンダーさんと話していいというのが新鮮な驚きでした。話を聞いてほしいときとか、ちょっと寂しいときとか、バーに行くことをこれからはどんどん挑戦してみようと思います!」
お付き合いいただいたお2人、質問に答えていただいた今井さん、ありがとうございました!読者のみなさんもぜひバーへの一歩をどうぞ。
このお店のこの一杯「デュラメール」
ほのかな塩気があり海を感じる「デュラメール」は、ヘッドバーテンダーのジョシュア・ペレズさんのお勧めの1杯。テキーラのライムソーダ割りに、今井さんのアイデアで紫蘇の花を加えたもの。カクテルは日本の”7つの美徳”から構成されており、これは「名誉」がコンセプトのカクテル。
お酒と楽しむ一皿「牛カツサンド」
和牛を使った贅沢なカツサンド。横にはカツサンドと相性抜群の「トリュフフライドポテト」(1,800円)を添えて。
今井さんのいるお店はここ。
美徳の意味を持つ〈フォーシーズンズホテル東京大手町〉のバー〈VIRTU〉。1920年代のパリと日本の融合がテーマの店内は、幾何学模様のガラスや直線的な照明など、アールデコの雰囲気が漂う。フランスらしくコニャックやリキュールが並ぶ、背の高いバックバーは圧巻。
■東京都千代田区大手町1丁目2-1
■03-6810-0600
■17:00〜24:00(L.O.23:30)
※状況に応じて営業時間が変更になります。