花井悠希の朝パン日誌 vol.8 忙しいあなたに行ってほしい、駅近パン屋さん…〈RITUEL〉と〈テコナベーグルワークス〉
お散歩しながら買いに行くのもワクワクしますが、駅近って、やはり魅力的。忙しくても美味しいパンを食べたい、そんなあなたに、駅から2分以内で着く(※私調べ)パン屋さんをご紹介します。ここなら乗り換えのタイミングにも寄れちゃいますよ。
通り抜けるはパリの風?…〈RITUEL〉の「タルト」と「エスカルゴ」
青山にお店のあるパリ発のブーランジェリー〈RITUEL〉が、この夏伊勢丹新宿店に、三越伊勢丹限定ブランド〈RITUEL le grand de blé〉(リチュエル ル グランド ブレ)としてオープン。
RITUELの看板商品「エスカルゴ」に加えて、食パンやバゲット、スティック状のパイまで、三越伊勢丹限定商品も多数あって、幅広いラインナップがずらりと並んでいます。ショーケースの中に整えられ並ぶ様は、綺麗にあたる照明も相まって、まるでジュエリーのよう。
その中で、私はこの3品をチョイスしました。
なんと気高くバターが香るパイなのか!
こんなにリッチな香りを放ち、バターのコク豊かな甘みを感じられるのに、口にねっとりと油分が残るわけではなく、サクッと軽い口切れで後味あっさりなんて、衝撃的です!
生地を薄く仕上げてあるからか、パイの主張が厚かましくないんです。涼しい顔で、すごいことやってのけちゃうタイプの人ですね。(←×人 ○パイ)
上のベイクドアップルは、りんごの酸味が生かされたフレッシュさもありつつ、シナモンの香ばしさも引き立っています。コク深いのにしつこくない、絶妙なバランスを感じずにはいられません。
一目惚れとは、まさにこの事。
見るからにしっとりと焼き上げられたさつまいもが、こぼれ落ちんばかりに積み上げられているこのルックス。あぁ、全さつまいも好きとこの眼福をシェアしたい。
リベイクしてみると、トースターのドアから、芳醇なバターの香りにのせて、フェンネルの香りが漂ってきて、おっ!?と好奇心をくすぐられます。
おやおや。
よく見れば、ゴロゴロとしたさつまいもの下に、ペーストにされたさつまいもがパイに塗られているじゃありませんか!さつまいも好きの心を掴んで離しませんね、リチュエルさん!(←謎テンション)
パイはしっとり感もありつつ、サクサクさらさらと解けていく食感。塩気が少しあるから、お芋さんを全力で引き立ててくれています。ねっとりというよりはホクホクと仕上げられたさつまいもを、パイのバターの強いコクでホールド!
そうか、私、焼き芋にバターを落として食べるのが好きなのですが、パイとさつまいもで同じ現象になっているのですね!これは大発見だ!(←大袈裟)
そして、そんなシンプルな美味しさだけかと思いきや、忘れちゃいけない散らされたフェンネル。噛むとハーブの清涼感が、風のように通り抜けていきます。目を閉じれば、初夏のヨーロッパの街並みすら見えてきそうな爽やかさ。フェンネルの香りがプラスされるだけで、どこにもないここだけのさつまいもパイに。
リチュエルを代表するパンであるエスカルゴレザンは、このパイの美味しさを心ゆくまで楽しめます!ぷりぷりのレーズンがいいアクセント!
RITUELはスカイブルーのショップ紙袋にも、パンを包んでくれるペーパーナプキンにも、パリのモチーフが可愛いイラストとなって散りばめられてるんです。このショップ紙袋を手にするだけでウキウキすること間違いなしですよ♪
みんなの好きを刺激するベーグル・・・〈テコナベーグルワークス〉のベーグル
代々木八幡駅または代々木公園駅からすぐに位置するこちら。
食感が「むぎゅむぎゅ」「ふかふか」「もちもち」と3種類あり、それぞれに合わせたフレーバーで展開されています。青のりチーズなど和風な組み合わせもあり、ここでしか出会えないようなフレーバーがたくさんあるのが魅力です!
「ふかふか」の略で「ふか」。
ベーグルらしいモチっと感がありつつ、歯切れのいい生地は、どんなフィリングやクリームがきても馴染んでくれる安定感があります。
練りこまれたスパイスココナッツクリームと煮りんごがしっかりと主張して、いいバランスです。
そして、煮りんごとクリームの部分、周りが少し空洞になっているのですが、この空洞こそ私的最高に美味なポイント!
ココナッツがしゃりっと時折顔を出す、カルダモンの香り豊かなクリーム部分も、シャキシャキと食感を残した煮りんごのコク深い甘みもたまりませんが、その2つを包むようにあいた空洞には、2つの旨味が充満していて、噛んだ時にぱふっと抜けるその空気に2つの良さが混ざり合っていてたまらないのです。
この空気、ごちそうです!
紅茶の香りがふんだんに香り立ち、とても穏やかな心地に浸ります。紅茶の香りって、なぜこんなにも心静まり、優雅な気持ちにしてくれるのでしょう。そのベーグル生地を、目を閉じ味わい食べ進めると……出てきました。キャラメルクリームandラムレーズン。
もったりとしたキャラメルクリームが、舌に絡みつきます。キャラメルもラムレーズンも大好きな私に、畳み掛けるようにキャラメルのこっくりした甘みとラムレーズンの香りと味が広がり、代わる代わるやってくる大好き味の波にクラクラします。
私を取り合いしてる!?(←妄想がすぎる)
そしてトップに散りばめられたかぼちゃの種を噛んだ瞬間、お口いっぱいに秋がやってきました。涼しくなってきた今のムードにぴったりなベーグルです。
冷凍しておいたので半分に切ってトーストしました。
トーストされたカリカリ感と、内側の<ふか>よりも少し重めなもっちり生地との対比が楽しいです。ホワイトチョコの直線的じゃない、まあるい甘みは、しみじみともちもちの生地を介して広がって、穏やかな味わい。上の二つよりもシンプルなテイストですが、大粒のクランベリーのぎゅっとした果実感が、ホワイトチョコのまったりした風味にアクセントを与え、最後まで新鮮にいただけます♪
重めの食感から柔らかめの食感まで、甘いものに甘くないもの、和風テイストまで。自分の好きをピンポイントで突いてくるベーグルに、きっと出会えるベーグル屋さんです。
これから寒くなっていく季節にもありがたい駅近パン屋さん。ぜひ頭の片隅にでも覚えていてくださいね。