台湾からも注目を集めるアーティスト。 愛犬アートが人気の注目作家!彫刻家・美藤圭さんの作品は、兵庫県豊岡市から世界へ発信。
地元・兵庫県豊岡市で活動する美藤圭さんは、台湾からも注目を集める彫刻家。最近の作品では、新型コロナウイルスの影響で一変してしまった世の中を見て、コンセプトも考え直したそうだ。美藤さんが作る人物像は、見るものに語りかけるような、なんとも言えない表情が魅力。2019年末に訪ねたギャラリーの様子とともに、美藤さんのアートを紐解く。
彫刻家の美藤圭さんは、「2B works」という名で活動中。豊岡市内にアトリエとギャラリーを構え、画家の奥様とそれぞれの作品づくりに励んでいる。
美藤さんの作品は、主にクスノキを削り出したもの。丸太から切り出し、大小さまざまな作品を作っている。「割烹料理のように”骨までいただく”気持ちで、端材も無駄にしません」と、小さく余った木材からもインスピレーションを受けて作品にするのだという。
美藤さんは、ペットをそっくりに再現した木彫でも人気を集めている。「最近では台湾からのオーダーもたくさんいただいています。コロナ禍のおうち時間で愛犬の写真を見つけた人が、よく問い合わせてくれたみたいです」。注文は公式サイトかインスタグラム(@kei_bito.)から。
「日々考えていること、影響された一言など、抽象的なテーマを落とし込んでいます」と、美藤さん。人形の表情はあえて曖昧にしている。「私は仏像が好きなのですが、仏像って、向き合う時の自分の心理状態によって、微笑んでいたり怒っていたり、違う表情に見えますよね。僕の作品もそうでありたいと思うんです」。しばらくじっと見つめて、じっくり考えていると、何かが伝わってくる。美藤さんは明確なメッセージを込めているわけではなく、受け止め方の正解はないという。「その上で作品に共感してもらえたら嬉しいです」。
近頃取り組んできた10作の連作シリーズ「平和の民」は、アメリカインディアンの精霊とされるカチーナ人形にヒントを得たもの。「カチーナ人形は何百体とあって、それぞれに違う意味が込められているそうです。人間でも、ひどい人も素敵な人も、自分に何かを伝えてくれるありがたい存在。『平和の民』の人形には表情はないけれど、色や形から何かを感じて欲しいと思っています」。
この作品も人によって見方が異なるだろう。どんな風に感じたか、みんなで感想を話し合うのも楽しい。「私もなるべく会話したいので、個展を開く時には在廊するように心がけています」。
こちらの作品には、コロナ禍の世界からも影響を受けた。船に乗ってる女の子は大海原に向かっているが、新型コロナウイルスが落ち着いた世界を旅しているイメージだという。月に2回ほどの常設展示を行う豊岡市のギャラリーのほか、浅草での定期的な個展なども開催。
美藤圭オフィシャルサイト
http://bitokei.com/.
photo:Tomo Ishiwatari,Kei Bito