BARをもっと、カジュアルに。 新宿〈Jeremiah〉のバーテンダー・市川 寛さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜
お酒業界での広報歴11年!児島麻理子が、実力派の若手バーテンダーをご紹介します。第17回目の登場は、新宿〈Jeremiah〉のバーテンダー、市川 寛さん。フレアバーテンディングが繰り広げられる店内からお届けします。
本日のバーテンダーは…市川 寛さん
市川 寛
■バーテンダー歴:16年
■生年月日:1980年5月5日
■星座:牡牛座
■血液型:A型
■趣味:休みの日もフレアをしています。
NYのクラシックなバーの雰囲気が漂う新宿〈Jeremiah〉のカウンターには、日・英・米・韓の4カ国のバーテンダーがいます。個性も容姿もさまざまな多国籍チームの中でヘッドバーテンダーとしてメンバーをまとめるのが、本日のバーテンダーの市川 寛さんです。
「アメリカからきたグラハム木村はキャラクターがあって面白いので、最近はお店のYouTubeも担当しています。イギリスからきたマクドナルド健は名前のインパクトがありますが(笑)、普通にイケメンでフレアをすごく頑張っている若者ですよ」。
クールで格式を感じる内装のバーながら、賑やかな雰囲気が漂います。
フレアとは、ボトルやシェーカーを投げたり、回転させたりしながらカクテルを作るエンターティメント性の高いバーテンディングのこと。〈Jeremiah〉ではフレアバーテンダーが多く、市川さんもイギリスの大会で優勝するなど、最前線で活躍するフレアの選手です。
元は不動産会社に勤めていた市川さんが、フレアに出会ったのは23歳の時。たまたま食事に行ったお店でパフォーマンスをしているのを見て、すぐに魅了されました。
「それからは仕事の傍、そのお店でアルバイトをしてフレアを覚えていきました。そのうち、バー1本でやっていこうと思うようになって。1日4、5時間は練習していましたかね。同じ動作をずっとやって気づけば朝なんてこともありました」。
決して器用なタイプではなかった市川さん。周りからは当初辞めた方がいいよ、と言われたこともあったと言います。それでも先輩のバーにも足を運び、コーヒー1杯だけ飲んで、技をひとつ教えてもらうなどしていた努力が実り、徐々に頭角を表していきます。
「辞めようと思ったことはなかったですね。練習がとにかく楽しくて。こんなに真剣になることはこれまでなかったですから」。
いくつかのバーを渡り歩き、2年前、お店の代表の山本圭介さんに声をかけられ、〈Jeremiah〉のオープンを共に手掛けることになりました。
「お店のインスピレーションはアメリカのカクテルの祖と言われるジェリー・トーマスから。カクテルブックを初めて出したり、フレアのようなこともしていたという記録もあり、ショーマンシップのあるバーテンダーだったと言われています」。
お店のカクテルはジェリー・トーマスのカクテルブックから有名なものを引き出し、現代風に飲みやすくアレンジしたもの。1850年頃に活躍していたバーテンダーですが、当時から牛乳の脂肪分で液体をクリアにしたりなど、画期的なことをしていたジェリー・トーマスのカクテルは現代のバーテンダーも刺激するアイデアで溢れています。
「実はジェリー・トーマスは”Fat man club”という太った人の協会に入っていたり、”瓢箪クラブ”と言って瓢箪を集めていたり、またゴールドラッシュの時は金塊を掘りに行っていたりと、いろんなことに挑戦している人物だったんです。知れば知るほど面白いんですよね」。
ジェリー・トーマスの姿は今の市川さんにも大きく刺激を与えています。
「フレアって年齢がいくと皆辞めていってしまうので、僕は現役最年長のフレア選手だと思うんです。ですが、ジェリー・トーマスの姿勢も見習って、ずっと挑戦をして行きたいです。生涯フレアバーテンダーを続けていたいですね」。
ハナコラボからの質問
Q.「どんな服装の女性のお客様にドキッとしますか?」
A.「お店に入ってから上着を脱ぐとノースリーブだったりするお客様にはどきっとするかもしれません。ただ、ここはわりと男性客が多いので、なかなかどきっとする機会が持てないでいますね(笑)」。
このお店のこの一杯「ジェレマイア・リバイバー」
クラシックカクテルのひとつジンベースの「コープス・リバイバーNo.2」をツイスト。ジンにこぶみかんとライム、アブサンや梅酒、ジャスミンシロップを使用したエキゾチックでパンチがある1杯。
お酒と楽しむ一皿「キューバ・サンド」
映画『シェフ』に出てくるキューバ・サンドをイメージに作られたハーブと酸味の効いたモホポークが入ったボリュームあるサンド。ロングカクテルとともにカジュアルに楽しみたい。
市川さんのいるお店はここ。
額縁が並ぶ壁面や鹿の剥製などが飾られ、スピークイージー(もぐり酒場)スタイルの趣き。隠れ家的でありながらも、入り口の両サイドは大きく取られた窓が開いており、心地よく風が吹き抜ける。
■東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル1F
■03-6384-1201
■15:00〜24:00 日曜休
※状況に応じて営業時間が変更になります。
【本日の一言】
熟練のフレアの技を目の前で!