女性ホルモンにまつわる注目のキーワード。 女性ホルモンを健やかに保つための11のメソッド。手軽にできて、コンディションを整えられる方法を伝授。

HEALTH 2022.05.14

なんだかいつもと違うかも?そんな違和感を覚えたなら、少しずつ女性ホルモンのバランスを整える習慣をつけていってほしい。手軽にできて、コンディションを整えられる方法を伝授。

医療の力を使ってカラダと向き合う。

生理不順、PMS、カラダの揺らぎなど女性が抱える問題はさまざま。でも、できるだけ不調を感じずに、快適に過ごしたい。そのために今、なにをすればいいのか?産婦人科専門医の宋美玄先生にお話を伺った。「ここ100年くらいで子宮内膜症や卵巣癌、子宮体がんといった、女性特有の病気が急増しています。その原因は生理と関わる時間が長くなったことにあります。生理が始まるのが早くなり、子どもを産むのが遅くなっているので、人生の生理回数が増えています。バランスよく女性ホルモンが出ていても、排卵というのはそれだけ負担があります。個人の選択になりますが、若いうちからピルを飲んで、一生の生理回数を調節して減らすという選択も勧められているのは、こういったことが要因です」

さらに、更年期に差し掛かると、女性の罹病率が圧倒的に高いといわれている、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが襲ってくる。その予防のために女性ホルモンを補充する必要もあるのだとか。「すべてを自分で考えようとせずに、気軽に婦人科に行ってください。かかりつけを見つけたら、医師に選択肢を説明してもらい、自分に合うものを選んで、あとは通うだけ。難しいことはありません。また、現代は100年生きるといわれる時代。極端な健康法ではなく、簡単なことで十分です。今の生活に取り入れられる無理のない範囲で、自分のカラダと向き合ってみてください」

年齢で変化する女性ホルモンを健やかに保つための11のメソッド

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1.規則正しい生活を送る。
正しい生活習慣がすべての基本。睡眠不足や食生活の乱れはカラダだけでなく、心にまでダメージが。当然、女性ホルモンの乱れに直結するので要注意。生活を少し整えるだけで、自律神経が働きやすくなり、体調が良くなることも。

2.カフェインはほどほどに。
カフェイン自体がホルモンバランスに影響することはないけれど、睡眠には大きく影響する。その結果、生理痛が重くなるなどの体調不良につながることも。過剰な摂取は控えて、質の良い睡眠を目指してみては。でももっと重要なのは、自分の心を大切にすること。一杯のコーヒーがリラックスにつながるなら、それはカラダに必要。あくまで心地よい日々のためだということを忘れずに。

3.心拍数が上がる運動を取り入れる。
一日中パソコンの前にいると、ほとんど心拍数に変化がない。そんなときに乱れてしまいがちなのが自律神経。外に出ることが少なくなった今は、意図的に心拍数を上げる時間をつくり、自律神経の働きを活発にする必要がある。また、ずっと座っているとなんだか気分が晴れないことも多いはず。気分転換やストレス軽減のためにも、少し達成感を得られるくらいの軽い運動を。(アドバイス・高尾美穂)

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4.栄養バランスだけでなく、“おいしい”のも大切。
栄養バランスの取れた食事はもちろん大切。でも、それに縛られすぎて、食べる喜びを感じられなくなってしまうと、心にもカラダにも悪影響が。特に生理前や生理中は、栄養面よりも楽しくおいしく食べることにこだわってみよう。

5.時間があれば一駅歩く。
忙しい毎日に筋トレや長距離のジョギングを取り入れるのはハードルが高い。でも、余裕があるときに一駅分歩くだけなら無理なく続けられそう。いつもと違う街並みに出会えるから、窮屈になりがちな日々の気分転換にもなる。

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6.簡単なストレッチも効果的。
ストレッチも血行の改善に最適!信号を待っている間に空を見上げるのがおすすめ。スマホやパソコンなどを見ていると、首の後ろ側の筋肉が前に引っ張られている状態に。普段疲れている部位をねぎらうように緩めてみよう。

7.ストレスを溜めないコツを知る。
PMSの症状が重くなったり、生理不順が引き起こされるなど、ホルモンバランスの揺れに大きく影響するストレス。でも育児や家事に仕事など、ストレスの要因は多く、溜めない方法を探ることが必須。育児や家事の目標を高く設定しすぎない、生理周期を把握して仕事を入れるなど、自分に合った工夫を。また、ストレスによるホルモンバランスの揺れには個人差があるため、自身の体質を知っておこう。

8.ときには自分を甘やかす。
PMSの症状で、強くストレスを感じる時期には自分に優しくすることを忘れずに。普段は我慢しているケーキを食べたり、ときには家事をお休みしてみたり。きちんとした生活をしようと真面目になりすぎると、リラックスはできないもの。むくみが出て、体重が気になる時期だが、女性の場合、2キロほどの変動は水分によるもの。過剰に心配せず、ケーキ1つ分くらいの心の余裕と自分への優しさを。

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9.あれこれ自分で考えず、婦人科へ。
ライフステージごとに、女性ホルモンに合わせて対処する必要があり、やることがたくさん。すべてを自分で考えるのは難しい。だから、かかりつけの婦人科を見つけることが大事。プロと相談しながら、自分のカラダと向き合って。

10.漢方を生活に取り入れてみる。
不眠、イライラ、むくみ、めまいなど、悩みに合わせた漢方薬で心身全体の調和をとり、不調の改善も図れる。体質や症状に合ったものを見極めてこそ効果が実感できるため、専門家との相談は必須。最適な漢方でバランスを整えてみて。

おすすめは、加味逍遙散(かみしょうようさん/月経異常)、抑肝散(よくかんさん/血の道症・イライラ)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん/下腹部痛み・むくみ)、五苓散(ごれいさん/むくみ)など。

11.液晶画面を見る時間を考える。
社会問題ともいえるスマホやパソコンのブルーライト。ブルーライトは、太陽光にも含まれるため、夜になっても液晶画面を見ていると、睡眠障害や自律神経の乱れを引き起こすことが証明されている。日没以降はブルーライトをカットすることが理想的だが、現代では難しい。寝る前の1時間だけでも部屋を真っ暗にして、液晶画面を見ることは控えるなど、時間を減らす工夫を。

Navigator…〈丸の内の森 レディースクリニック〉院長・宋 美玄(そん・みひょん)

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カリスマ産婦人科医として、診察の傍ら、さまざまな女性の悩み、女性の性、妊娠などについて、積極的に啓蒙活動を行う。

(Hanako1208号掲載/photo : Kenya Abe illustration : Maori Sakai text : Yuko Watari, Keiko Kodera)

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